上の写真はケンブリッジ大学に1350年に創立したトリニティホールの学生寮で、数年前ここで生活していたことがありました。
モノトーンの紋章が特徴的ですね。
有名校である故、世界各国から学生が集う訳ですが、数少ないイギリス人のとある学生からこのような興味深い話を聞きました。
『一概には言えないけど、ケンブリッジ大学に来るイギリス人学生はUpper Class(上流階級)の人間が多いんだ。』
イギリスでは上流階級、中流階級、下流階級と大きく分けて3つ、未だに意識的な側面では続いており、一種の文化になっているようです。
前置きが長くなりましたが、今回はその中でも下流階級(労働階級)が発祥の文化についてのお話です。
1950年代後半から1960年代前半のイギリスに若者の中で1つのムーブメントが起きました。日本でもモッズコートで聞き馴染みのあるモッズです。
モッズとは上流階級の人々に憧れ、三つボタンの細身のスーツや、フレッドペリーの鹿子シャツ、リーバイス501などに身を包み、R&Bやソウルを好む下流階級の若者達のことを指します。(広域でライフスタイルも含むそうです。)
彼らは主にスクーターで移動するのですが、雨の多いイギリスをスクーターで移動するとなけなしのお金で買った洋服が汚れてしまいます。
その汚れから自身の一張羅を守る為に比較的手に入れやすかったm-51等のミリタリーコートを着たことがモッズコートの始まりといわれています。
この年代に細身のスーツ姿のバンドときいて、皆さんは思い出すバンドがありますでしょうか。
・・・・・あまりピンとこないですよね。
実は、ビートルズはモッズの衣装を着てデビューしているのです。
この時彼らが履いている日本でいうところのサイドゴアブーツにも色々と歴史があるのですがそれは長くなるのでまた次回に…
ただ、ビートルズのメンバー達は本当はロッカーズが好きでロッカーズの衣装でデビューしようとしていたのですがプロデューサーに止められ、やむなくモッズの衣装を着たそうです。
フランク ロッダム監督の『さらば青春の光』ではモッズとロッカーズの抗争が描かれているのですが、モッズの憧れの的でもあったthe whoのアルバム「四重人格」に沿ってストーリーが展開されていきます。
そこにもフレッドペリーの鹿子シャツが登場します。
テニスシャツにミリタリーパーカーの合わせが今また新鮮に映ります。
上流階級の人々がテニスをする時に着ていた物が下流階級の若者によって世間へのアンチテーゼアイコンとして昇華されたのです。
そんな振り幅がフレッドペリーの魅力かもしれません。
(そんなフレッドペリーの鹿子シャツがなんとブリティッシュメイド各店でお買い求め頂けます!)
イギリスの魅力とは、伝統的で歴史的な物から、パンク、モッズ等のアンダーグラウンドなカルチャーまでどこにフォーカスしても興味深い点だと、私は思います。
新宿店 渡辺