冬素材で大好きなニット。
毎年のようにあれこれと買い足し買い足し、いつのまにか衣装ケースがニットで埋まるほどになってしまいました。
なのでぜひとも毎週土曜日のブログではニットに関する記事を上げたいと考えていたのですが、
(イギリスといえばウールみたいなところもありますし)
ふと、『アパレルに従事する人が使う専門用語って、一般的にどこまで知られているんだ??』
と思いました。
私たちは日常会話のように使っているのでついつい接客にも使いがちですが、知らない方からすれば「それって何?」とつっこむ所が満載ですよね。
そんなこんなで私自身曖昧な部分を整理する意味もあり、改めて調べてみたのですが膨大な情報量。。
今回はざっくりと2分類の“毛”をまとめてみました。
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原料となる素材は羊毛と獣毛に分かれます。
WOOL(羊毛)
みなさんご存知、その名の通り羊の毛です。
羊の毛はクリンプと呼ばれる縮れた繊維が集まって組織化されており、繊維同士の隙間に空気を含むことで保温力に優れています。また、パーマをかけた髪と同様に弾力性も高いことが特徴です。
ウールは人の髪の毛のような構造で出来ていて、表面はスケールと呼ばれるキューティクルのようなもので覆われており、中は収縮率の異なる2層のたんぱく質で作られています。内部の収縮が異なることで、ウール特有のクリンプが起こります。
表面は水を弾き、内部では吸湿する真逆の性質があります。
ちなみに、これらの性質を活かし加工(内部に水分を含ませスケールを開き噛み合わせ圧縮する)されたものがフェルトです。
ウールの代表格であるメリノウールは、上記で説明したクリンプが多く、弾力性にも優れている特徴から、繊維組織が絡まり合いやすく撚りやすいため毛が抜けにくく、より緻密な糸ができます。
また、毛が細く長さも均一に揃いやすいため、ソフトで柔らかな手触りとニット特有の光沢感から、高級感もあります。
薄手で軽いことからサマ―ウールや秋冬のスーツなどにも使用されるウールです。
■メリノウールの特徴まとめ
高い保温性と吸湿性
型崩れもしにくく、シワも回復させやすい。
細番手のため、ピリングに注意
水を含ませ加工したものがメルトン。
HAIR(獣毛)
羊毛以外の動物毛を指します。
代表格はモヘヤやカシミヤなどの山羊、ラクダ、アルパカ、ウサギなど。
特徴はひとまとめにし難いため、モヘヤを紹介します。
モヘヤは、アンゴラヤギの毛を使用した獣毛素材です。
ウールと比べクリンプが少ないため、ウールなどの弾力性の高い素材との混織で用いられることが多いです。
人間で言うところの直毛のため伸び縮みはないので、単体でフェルトに加工することは出来ませんが、毛髄(毛髪の中心部)が蜂の巣のように中空構造になっていることから断熱性に富み保湿能力も高いことで、吸湿スピードはウールの倍と言われています。
最大の特徴は毛織物の中でも一番の光沢感。
ウールに比べてスケール(髪の毛のキューティクルのようなもの)が小さく組織の表面は非常に滑らかなため、この光沢感が出ます。
生地にすると優れたシャリ感が出るためスーツ生地としても重宝されており、先述の断熱性に優れている特徴もあるので、夏物のスーツによく使われます。
ちなみにモヘヤは、仔ヤギと成ヤギ(?)で種類が変わります。
キッドモヘヤ(仔ヤギ)は細くて柔らかい毛が特徴で若くなればなるほど高級とされ、アダルトモヘヤ(成ヤギ)は太く固い毛が特徴です。毛の特徴は人間と同じですね。
■モヘヤの特徴まとめ
ウールの吸湿スピードは約2倍
断熱性に富んでいるため、冬は暖かく夏は涼しい
スケールが小さく光沢感とコシが特徴
染色がしやすい
…簡単ですが、今回は代表的な2種類の素材をご紹介させて頂きました。
使用している原料に違いがあればその特徴も変わり、用途によっても選ぶ素材が変わってくるところが私が思う素材の面白い部分です。
色々な素材を試してみて、実際に着てみて、体感して違いを知る事もファッションの楽しみ方の1つかと思います。