大好きなドレイクスのシャンタンタイにお別れを告げる日が来ました。
春夏秋冬共に着用していたネイビーとベージュのレジメンタルはどんなスーツやジャケットに合わせても、コーディネートのポイントになっていました。
数年使用しておりますが、まだまだ綺麗です。
しかし、私はこのタイがどのように作られているか知りたいと思います。
銀座店のスタッフにも1名、ドレイクスのタイを解体したスタッフがいるため、これから私も挑戦します。
タグも今とは違いますね。もちろんドレイクスならではのハンドロールを解体していきます。
さぁ、ハサミを入れましょう。
さようなら、シャンタン!
タイキーパーも容赦なくカットします!
生地の真ん中にネイビーの糸が付いていますが、ここはおそらくカンヌキ止めで表地を止めると同時に芯地も止めていました。
タイの中心のまつりもカットしていきます。
大剣の大部分を解体することができました。
大剣と小剣の繋ぎ目まで到達しました。
と思っていると二つ目の繋ぎ目があることに気づきます。
このように台形の生地が大剣と小剣の間を繋いでいます。これは生地代も手間も多くかかるでしょう。
ここにこれまで気付かなかったとは自分を情けないと思います。
ドレイクスの表示タグはまつりと共に縫われており、外すことができないようになっています。
さらに小剣側の芯地は表示タグ付近で表地と留められていました。
表地と芯地の解体作業が完了したところです。
不思議なのは剣の両端の部分がえぐれています。これはパターン上そうなっているのか、何か理由があるのか考えていましたが理由はその後の解体作業で理解することができました。
次は大剣と小剣を別々にします。
二箇所の縫い目をほどきます。
ネクタイはバイヤス(生地に対して斜め45°の角度)でカットされているため、実際の生地をカットする際は上の図のように裁断されるのではないでしょうか。
せっかくなのでこの端の部分もほどいてみましょう。
カットです。
特に端の始末はされずくるくる巻いて糸でまつられているだけでした。
これを手作業で行っているというのはすごいことです。どのタイもこの仕上げによって端の始末が軽やかに見えます。
先ほど気になっていた両端がえぐれた形状になっていた理由を初めて理解しました。
生地はひし形状にカットされていますが、端を巻き始めの部分のため結果的にそのような見えがかりとなっているのでいした。
こうして見ると、端の処理をする為に多くの生地を巻き込み端をロール上にしていることが分かりますね。
最後に芯地をご覧ください。
ドレイクスの芯地は両端の中心二箇所のみで留められており、表地と芯地が自由に動く仕様になっております。
他のタイを解体した経験はありませんが、これがドレイクスのタイの軽さ、柔らかさを表現する重要なポイントなのではないでしょうか。
他にもハンドロールというだけあって、裁断した生地を手作業で巻いていきますが、このシェイプを職人ひとりひとりが作っていると考えると非常に感動します。
また、ドレイクスの芯地は現在4種類あり、それは表地の質感によって選択されます。例えば、重く硬い生地には柔らかい芯地を。軽く柔らかい生地にはやや固めの芯地を。
生地や仕様によって芯地を変えることで、商品としてある程度均一な雰囲気をキープしているのではないでしょうか。
今回の経験でドレイクスのタイは一般的には高価なものですが、それだけの手間隙をかけて一本一本作られているのだと実感しました。
皆様はいかがでしたでしょうか。
この解体したタイはしばらく銀座店に保管するつもりですので、お気軽にご覧にいらしてください。
ドレイクス銀座店 中川