今は無きモノ作りを知る。ドレイクスのアーカイブアイテム。|Drake’s銀座店 Naka | BRITISH MADE Staff blog

BLOG

今は無きモノ作りを知る。ドレイクスのアーカイブアイテム。|Drake’s銀座店 Naka

80年代~90年代頃のドレイクスの品は私もほとんど見たことがありません。つい先日の土日のことですが、よく銀座店に足を運んでくださるお客様が私にその当時買われた商品を見せてくださいました。少し前にスカーフのブログを書いたばかりだった私はとても興奮したくさん話を聞かせていただきました。

こちらの2点がドレイクスでも初期の頃の品ですがいかがでしょうか。タイガーモチーフのものはシルク100%の大判スクエアスカーフで、下のチェックのマフラーはなんとキャメルヘア100%の品だそうです。どちらもわざわざ銀座店に持ってきてくださったもので、今ではもう作っていない、または作ることのできない品々でした。

その日のお客様の服装もとても素晴らしく、プライベートホワイトV.C.のモーターサイクルコートにチルデンセーター、シャツはドレイクスのシャツ工場になる前のクリーブオブロンドンのオリジナルシャツ、コートの肩にはこのドレイクスのマフラーをラフに提げていました。

 

1点1点見てみましょう。

今季もスカーフで用意しているタイガーモチーフ柄です。こちらはどうやらドレイクスがこのモチーフを始めた初期の頃のものらしく80年代~90年代頃に購入されたそうです。現在のドレイクスのスカーフでも希少となったイギリス製のもので生地の質感や細部の仕様が現行の品とは少し違うようです。まず生地に関して言えば、現在用意しているシルク100%のスカーフやポケットチーフよりも、生地が地厚でねっとりとしたような肌触りでした。

使われているシルクの量がまず違いますし、こういった織りのシルク生地を今生産することができるのかも疑問です。ボルドーの地にネイビーやゴールド、ブラウン系の美しい配色です。おそらく今では少なくなってきたハンドプリントの贅沢な生地でしょう。

仕様として気になったのは生地の端のまつりです。見えますか。もしよければ拡大してご覧ください。

現行のものは生地裏側で端をくるくると巻きつつ糸でまつることが多いのですが、昔のスカーフは生地の表側でくるくると巻き、まつっていたようです。上の写真の通り生地の裏にMackel J. Drakeのタグがあり、裏側の端はフラットになっていますね。

まずこの仕様の違いが個人的にはとても新鮮でした。生地の表からまつりが見えるようになっており、手で縫った端の処理に揺らぎがあり愛らしい表情となっているように思います。手でまつることでミシンでは不可能な表情を生み出しています。この端の処理は現在のハンドロールタイの剣先にも垣間見ることができます。

タイなのでまつり部分は裏にしています。生地を裏からすくっているため表側は小さなステッチと生地の波うちが見え、ハンドでの柔らかな表情を楽しめます。話が逸れたのでスカーフに戻ります。

新旧のタイガーモチーフスカーフを並べてみました。虎の表情や身体の縞模様が微妙に違いますね。以前の方が使用している色数は少なめで、今は多くの色を使用してプリントしています。そのあたりはプリント技術が発達したおかげなのかもしれませんし、根本的なプリント方法の差でもあるかもしれません。

お客様がお持ちになったもう1点はドレイクスがブランドとして始まった初期の頃から毎シーズン用意している定番的なマフラーです。とは言え、今とは全く違う要素があります。それが、このマフラーはキャメルヘア100%の生地を使用している点です。

キャメルヘアはキャメル色の印象が強いですよね。しかし、このマフラーはなんとも贅沢にキャメルヘアに色を入れてこのような複雑な生地を作り上げています。一体何色の糸を使っているのでしょう。きっとどうしてもキャメルヘアの質感で色柄物を提案したかったんでしょう。独特の優しい色合いに染まっており複数色重なるととても綺麗です。

表面の触り心地はキャメルヘアならではの繊細な雰囲気ですが、しっかりと撚られた糸と密な織りで芯にはコシがあるように思います。柔らかさとコシを併せ持ったイギリスらしい贅沢でとても美しいマフラーでした。このようなマフラーやストールのコレクションでドレイクスはお客様から愛されるようになったのだと、歴史を感じることができました。

様々なブランドでよく聞く『昔のものの方が良かった』という言葉。新旧のモノ作りのどちらが良かったというのはとても難しい問題です。現在では手にすることのできない手の込んだモノがきっと過去にはあったでしょうし、それを探すこともとても魅力的なことだとは思います。視点を変えれば過去には表現することのできなかったモノのデザインや作り方が今現在にはあるのだと思います。

昔のものも今のものも、どちらに偏ることもなく自分の感性でファッションを楽しんでいきましょう。私たちが今買って大事にするものはいつか次の世代の人たちが、あの時代のモノ作りは良かったといってくれる時がくるはずですから。新旧問わずの今手に入るモノを楽しみながら時代の移り変わりを楽しんでいきましょう。

 

最後にはなりますが、明日26日(土)、27日(日)には銀座店にご来店いただいた方にお飲み物もお渡ししたいと思います。

もし来店された方はゆったりと店内をお楽しみください。本年もありがとうございました。お身体にお気をつけて良い年をお迎えください。

Drake’s銀座店 Naka

 

Drake’s 銀座店
〒104-0061
東京都中央区銀座6-10-1 GINZA SIX 5F
TEL:03-6263-9955
Email:ginza@drakes.com
営業時間:10:30~20:30