「“普段遣い”こそ良いもの」を欲するアイデンティティは何処からきているのか | 京都店 青山店 | BRITISH MADE Staff blog

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「“普段遣い”こそ良いもの」を欲するアイデンティティは何処からきているのか | 京都店 青山店

みなさまこんにちは。青山本店の安藤です。

 

今回は祝・京都店オープン!ということで、京都にゆかりのあるモノコトブログにしてみようと思います。ちょ~~っと長くなってしまいましたが(苦笑)、どうぞおつきあい下さい。

 

さて、みなさんは「民芸(=民衆的工芸)」という単語を耳にしたことがありますか?「一般の民衆が日々の生活に必要とする品」を指し、美術評論家の柳宗悦、陶芸作家の浜田庄司や河井寛次郎らによって作られた言葉です。

 

大正時代末期の1926年、当時の工芸品は鑑賞を主とした華美な作品が主流であり、大量生産の工業製品も少しずつ生活に浸透しつつありました。そんな中、彼らは民衆の日用品の中に「用の美」を見出し、「美術品に負けない“健全な美”が宿っている、美は生活の中にある」と提唱します。近代化や西洋化への安易な流れに警鐘を鳴らしつつ、日本各地の「手仕事」を通して生活道具の中にある美しさや、より良い生活とは何かを追求していきました。

※河井寛次郎記念館内

 

この活動は「民芸運動」と呼ばれます。さらに、ずば抜けた美的センスを持ち、目利きでもある彼らが「良い」と思ったものに共感する人が増え、新しい価値観が生み出されていきます……民芸運動は今でいうインフルエンサーとそのフォロワーが巻き起こした「バズる」現象だったのです。

 

この時期から彼らとの深い交流を通し、新しい世界を切り開いたのがイギリス人陶芸家、バーナード・リーチです。西洋と東洋の融合を目指したリーチは、20世紀の陶芸界巨匠と呼ばれています。

 

1920年にリーチは浜田庄司とともに渡英。イングランド南西部の小さな海辺の町、セントアイヴスでリーチ・ポタリ―を創立しました。

セントアイヴスの港 Photo by Richard Bell on Unsplash

 

リーチ・ポタリーは、芸術家と職人が一緒になって陶芸にいそしむ場となり、日本で得た知識や技術をイギリスに根づかせていきます。陶芸において、鑑賞としてだけでなく実用性も重視していたリーチは、民芸運動が提唱する「用の美」を英国でも共有していきました。

リーチ・ポタリ―の風景 Photo by THOR on Wikicommons

 

リーチと浜田庄司が作った登り窯は1970年代ごろまで使用された後、博物館展示となりましたが、リーチ・ポタリ―は現在も製陶所として運営され、リーチの意志を継ぐ陶芸家たちが制作に励んでいます。ちなみに昨年、リーチ・ポタリー開窯100周年を記念し、「ましこ×セントアイヴス100年祭」が栃木県益子町で行われましたが、BRITISH MADEも出店させていただきました!

※「ましこ×セントアイヴス100年祭」記念碑より 左:浜田庄司  右:バーナード・リーチ

 

1934年、リーチは日本へ再訪。以降もたびたび日本を訪れ、個展の開催や「民芸」の仲間たちと一緒に日本の地方窯を回っています。リーチは陶芸を通じて日本の心を西洋に伝えるとともに、英国の伝統技法を日本の窯場で作陶指導し、たくさんの作家に影響を与えました。

※濱田庄司参考館内 登り窯

 

さて、先月(2022年4月)にBRITISH MADE京都店がオープンしましたが、京都には民芸を伝えるのに欠かせない場所があります。京都店スタッフの松永さんがさっそく現地に行ってくれました!

■河井寛次郎記念館

【開館時間】10:00~17:00(入館16:30)
【入館料】大人900円、高・大学生500円、小・中学生300円、年間パス3,000円
【休館日】月曜日(祝日の場合は翌日)、夏期・冬期休館あり
【電話】075-561-3585
【アクセス】市バス「馬町」バス停から徒歩約1分、京阪本線「清水五条駅」から徒歩約10分 Google map
【公式ホームページ】http://www.kanjiro.jp/

※3・6・9・12月に展示替えあり。
※館内の写真撮影は、受付にてお申し出ください。

※河井寛次郎

 

河井寛次郎は陶芸のみならず、木彫やデザイン、詩や随筆など多岐の分野で作品を残しており、リーチとも深い交流がありました。作品はあたたかく、愛くるしい佇まいを持つものが多く、人柄がにじみ出ているようです。

この場所には様々な美を愛する人が集ったことから、京都は「民芸はじまりの地」とも言われています。

「『こ……ここは、パワースポットか!?』と思うほど、大きなぬくもりに包まれている場所です。私がこちらに初めて伺った際は民芸のミの字も知らなかったのですが、ここで登り窯の存在を知り感動したことを覚えています」と松永さんは話します。現地では良い交流もあり、とても楽しかったようです。

※記念館内の登り窯

記念館では民芸の心、普段の生活に寄り添う「美」を五感で感じることができます。運がよければ、看板猫のえきちゃんに会えるかも!?

 

民芸の捉え方に関しては私も日々店頭にいて思うのですが、BRITISH MADEでは「メインで使えるものにこだわりたい」「毎日使うものこそ良いものが欲しい」というお客さまがとても多く、そんなお客さまから熱く支持され、オープン時から販売しつづけている定番商品もたくさんあります。

シーズン品の位置づけも、流行感度が高い商品というよりも、あくまで季節に応じた使いやすさ、お客さまのニーズに合わせたものづくりがベースであり、可愛さや格好良さをその延長線上に乗せていく……そういう意味において、BRITISH MADEが販売しているのはあくまで「実用品」ではないか、という印象は私自身、入社当初から持っており今も変わっていません。

私たちが共通して持っている「好き」は、まさにイギリスにおける民芸的な視野・精神に根ざしているんです。その精神がバーナード・リーチや浜田庄司、河井寛次郎ら先人たちの国を越えた交流から生まれていたとしたら、とても素敵だなと思います。

民芸のような美学はこれからの時代、ますます意義のあるものになっていくと思います。今度京都へいらした際は、河井寛次郎記念館でゆったり過ごしてみませんか。

また、元気いっぱいなスタッフも、BRITISH MADE京都店でお待ちしています!

 

写真:京都店 松永  本文:青山店 安藤

 

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〒600-8005 
京都府京都市下京区四条通り富小路東入立売東町23‐2  2階
TEL : 075-606-5801
営業時間:12:00~20:00
定休日:火曜日(祝日の場合は営業いたします)

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定休日: 火曜日(祝日の場合は営業いたします)