イギリスの王室御用達についての話です。
英国王室の御用達を表すものとして、『ロイヤルワラント(=令状)』と『ロイヤルアームス(=紋章)』の2つがあります。
ブランドや個人が、ワラントを授かることによって、アームスを掲げることを許されるわけです。
かれこれ15年以上も前になりますが、地元の古着屋で、(例のオイリーな狩猟ジャケットの)エンブレムが3つ並んだタグを初めて目にしたとき、とても気になってしまいました。
「それぞれ、どういう意味なんだろう?」
ということで高校生当時、市立図書館で調べてみたのでした。
みなさまは、ご存知でしょうか。
【THE QUEEN】
エリザベス2世の紋章(兼、イギリスの国章)です。
記されたモットーはフランス語で『神と我が権利』。
スコットランドではデザインが微妙に異なり、サポーター(ライオンとユニコーン)の配置が逆転したりします。
これはエリザベスがイギリス連合王国女王であると同時に、スコットランド単独としての王位にもあるためです。
【THE DUKE OF EDINBURGH】
エリザベス女王の夫(王配)である、エディンバラ公フィリップ殿下のロイヤルアームス。
フィリップの家系にはロシアを含むヨーロッパ諸国の王族の名が連なっており、彼自身も元々はギリシャ国籍で、ギリシャおよびデンマークの王子でした。
5代前の英国女王ビクトリアの玄孫(やしゃご)でもあります。
その差別的失言の多さから語録まで出版されているエディンバラ公ですが、高齢のため、この8月で公務から引退することが決まっています。
【THE PRINCE OF WALES】
現ウェールズ公、いわゆるチャールズ王太子のことですね。
象徴的な3枚の羽根はオストリッチ(駝鳥)のもので、ドイツ語によるモットーは『私は奉仕する』。
『プリンスオブウェールズ』という称号は14世紀以降、王太子(=次期国王)のみが継承することが慣例となっていますが、その由来として、イングランドとウェールズの因縁深い逸話が存在します。
詳しく調べてみると、紋章学と呼ばれる細かいルールや、デザインの細部が持つ意味などを知ることができます。
日本の皇室御用達とは異なり、5年以上の提供実績が最低条件とされ、一度認定を受けても5年ごとに審査・更新されます。
時代背景や嗜好の変化、あるいは加齢などによる、ワラントホルダーの変遷を考察してみるのもまた一興かもしれません。
「またチャールズか…ファッション関連に多いな。」
遥か極西の島国のロイヤルファミリーに、なんだか親しみが湧いてしまいそうですね。
以上、イギリスの王室御用達についての話でした。
それでは。