あなたの街にも実は「イギリス」があるかもしれません。
神妙な面持ちで始めてしまいましたが、緊急事態宣言発令の延長から、5/30に実会場開催を予定していた今回のブリティッシュ・コレクターズ・マーケットは止むを得ず、延期を決定しました。
お楽しみいただいておりました方々には誠に申し訳ありません。またいつか、いや次こそは。と、毎日を健康に気を遣いつつ、いつも通りに過ごしながら計画している日々でございます。
そこでオンラインショップでの開催に合わせまして、今回から「あなたの街のイギリス」をテーマに、日本で知るイギリス情報をお届けします。
まずは、ブリティッシュカトラリー、アンティーク雑貨などで展示予定でした「佐倉マナーハウス」へ訪れました。場所は千葉 佐倉市。成田空港も近く、交通アクセスは意外にも便利。道さえ空いていれば車で都心から小一時間ほどで着いてしまいます。
伺ったのは日差しが強い夏日のような晴れの日。雨の多い連休中から、観測史上最速の梅雨入りをした日本では、外出も存分にできず。なんだかパッとしないような天気が続きますね。それでも初夏の兆しを感じる!と思うこの頃。晴れの日が恋しくなります。
みたいな会話をしていればすぐに着いてしまうでしょう。緑が生い茂る、自然のトンネルをくぐれば目的地付近の佐倉市に到着です。そしてこちらが佐倉マナーハウスへの入り口。
(本当にお店の入り口?)と心の声が聞こえてきそうですね。わかります。なにせよそう思ったのは私もその1人。しかし、勇気を持ってグイッと踏み入れてください。いや、イギリスや旅が好きなら、というよりもはや勇気がなくても大丈夫です。そこには思いがけないイギリスの世界観が待っています。
赤レンガ造りの2階建て一軒家、そして見渡す限りのグリーン。
おそらくGoogle Mapで調べると真っ先にたどり着くシンボル的な情報となりつつある、ムーミン的な小屋。(フィンランドですが!)これだけで全貌は分かりませんが、アイコニックな建物ですね!
そして足元の、石。なんと、コッツウォルズからわざわざ運んできたというコッツウォルズストーンが敷かれています。建材に詳しい方ならご存知かもしれませんが、石にも正式名があるとは。
もうお気づきでしょうか、この溢れんばかりのイギリスを。日柄もよく、木漏れ日が気持ちいい最高の天気。まるで思い焦がれたイギリスのカントリーサイドを彷彿させます。こんな場所が関東にあるなんて…と初めてきた人は、誰しもが思ってしまうのでは。前述と同様ですが少なくとも私はそう思いました。マスクをしてはいますが、空いた口が塞がりません。
流行る気持ちを抑えつつ本館へ。
入り口から早速、アンティーク雑貨とカトラリーが所狭しと並びます。
お店を回るときは仕事柄イギリスものに注目することが多いのですが
どこを見てもアンティーク。そして目に映るイギリス!…こんなお店は初めてです。
フロアと部屋によって細かくカテゴライズされていて、1Fの入り口は、まるでイギリスの蚤の市のような品揃え。佐倉マナーハウスのロゴを取り入れたチャリやら、グレンロイヤルのボトルグリーンカラーのインスピレーションの1つともなった深緑の空き瓶…良い意味でのごちゃごちゃ感がとてもキャッチーで、長居は必須です。なので今回はリズムよく奥へ進むことにします。
お次は真ん中のスペース。ブリティッシュカトラリーで有名なDenby(デンビー)、Burleigh(バーレイ)の現行品やレアモデルが展開されています。
既に廃盤となってしまったものなどから、ここでしかお目見えできないメーカーまで実に幅広いラインアップ。
ちなみにデンビーは炻器(せっき)でバーレイは陶磁器。個人的に今のデンビーの艶っぽい質感も好みです。この深い青色は、どことなく藍の色合いがあって親しみを感じますし、もしかするとイギリスの陶器、磁気類は日本にもインスピレーションを受けていたのでは…となんとなく感じました。
バーレイ伝統技術の銅板転写。漂う170年以上続くクラフトマンシップ。
デンビーは若い世代の方々にも人気があるとのこと。イギリス陶器が気になる方はストーク・オン・トレントで調べると面白い記事が結構出てくるので、ぜひご覧ください。
さて、さらにグイッと奥へ。まだこちらでご紹介は半分くらいです。
1階階奥にはアンティークカトラリーが並びます。
ますます希少になってきた陶器デザイナーSusie Cooper(スージー クーパー)さんの作品…
ボート(船)の半身で作られた棚!から…お馴染みどこからでも目の合うウィンスタンレイキャット。
さらに。
中央にはなんと暖炉が!実際、真冬のシーズンに使用されるとのことで、佐倉マナーハウスの名物の1つになっているのだそう。冬に向けて今から薪を用意しているとか。
薪。どこかで見たと思いきや、もしやあのムーミン小屋(と勝手に呼んでいる)あの隣。
こちらでしたか。この薪の数々、店長さん中心にスタッフの方々が自ら切っているそうです。素敵。
そして個人的にグッと来たのがこちらです。
ちょっとこのシルエットだけではわかりづらいんですが、取手のついた木製のFireplace Bellows(ベローズ)と呼ばれる火起こしです。
背面。いわゆるキャンプでいうフーッとかやる火起こし棒や団扇も良いのですが、持っていたら最上級クラスに格好良い。蛇腹部分は革製、大振りの鋲を打っているディテールが何とも無骨で良いんですよ。(残念ながら暖炉専用で非売品でした。)
そして2階はというと。
おうち時間が多くなりそうな今、これまた必要となってきそうな裁縫関連のグッズを販売されています。
ヴィンテージクロス、ミシン(こちらはおそらくインテリアとして)などを販売されています。
こちらの棚はオーナーさんが趣味で作ったものを展示されているため、非売品でしたが…素敵なので、ぜひみて欲しいです。
さて、皆様お待ちかねの横のカフェスペースです。
店舗休日ということもあって、今回は自然光だけのシチュエーションのおかげもあったかもですが、なんとも神秘的な雰囲気…。
それもそのはず。実はこちらの内装、教会を参考としているのだそう。
外観もこのように、教会仕立て。全面ガラス張りで開放感もすごい。
内装のヘリンボーン仕上げの床。このこだわりようでカフェは本館の後から作られたのだというから驚きです。たまたま木漏れ日が魚っぽく撮れまして、頭上からは天気が良ければ、浴びるばかりの木漏れ日を堪能できるわけです。
木漏れ日?
そう、カフェスペースには2本の木が、ありのままの姿であるんですよね。入った時から気がついてはいましたけれど、いつわかるわからないとかが重要ではなく、単純に建物の作りとしての潔さに魅力しか感じます。
こちらのカフェで使用されている什器もアンティーク。そう、お店で食事をして気に入れば購入もできます。展示だけでなく実際に使っているものを購入できる。現在進行で時を重ねていくアンティーク。今も使うことができる「長く使える」ものとしての価値を表しているようで、なるほど、と!
ちなみに…レジ横お土産では無いですが、イギリスならではのお菓子やフードが!アーティザンビスケットや、ブリティッシュメイドでも取り扱いのあったダルメインマーマレードも!お店では本格スコーン、アフタヌーンティーも堪能できます。(完全予約制とのこと)
そして「イギリスといえば」でパッと思いつくのがレンガ。その色に注目です。
レンガは、その土地の「土の色」によって色味が異なるのだとか。例えば赤レンガはイギリスでお馴染みだと思いきや、実は赤みのある土があるのはイギリスでも中東、ロンドンなど都市部はクリーム系の土が多く白色に近いレンガとなるそうです。当然と言えば当然ですが、その場所の雰囲気などは、そういった色味の記憶が残りやすいなと。
余談ですが、この日はベージュのスウェードシューズを履いて行きまして、つい撮ってしまった1枚です。やっぱり様になりますね。なんかこう、イギリスものをバサッと置いただけで、そこの風景がイギリスとして完成される感覚があるような、開いた口が塞がらないくらいイギリスでした。マスクしているので見えませんが。いわゆるツクリモノの雰囲気はない、日本に居ながらもイギリス気分に浸れる場所だと感じました。
お出かけするのも何かと気を遣う世の中ではございますが、そろそろイギリスが恋しくなっている方から、これから行きたいという方にまで、まずはぜひ行ってみて欲しい佐倉マナーハウスです。
なお、取材は昨今の環境を考慮し、店頭休日に行いました。もちろん消毒・マスクなども万全なのであしからず。なんて断りを早く書かない日が来ることを切に願います。
佐倉マナーハウス
〒285-0846
千葉県佐倉市上志津1329
https://tasman-inter.net/?mode=f3
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