サム・スミス、ボンドを歌う | BRITISH MADE

BM RECORDS TOKYOへようこそ サム・スミス、ボンドを歌う

2015.10.22

いよいよ12月4日、「007」シリーズ最新作の「007スペクター」が公開されます。ダニエル・クレイグ演じる6代目ジェームズ・ボンドが、自身の出生にまつわる最大の困難に挑むと言われています。
長年のシリーズだけに多くのファンを持つこのシリーズ、お好きな方ならご存知の通り“スペクター”とは初期のシリーズでボンドを苦しめた秘密結社の名前です。いよいよ強烈な切り札を切ってきたサム・メンデス監督の手腕と、何といってもストーリーの顛末が気になるところですね(名悪役“ブロフェルド”は復活するのか!?などなど)。
ルイ・アームストロング、ウィングス、デュラン・デュラン、マドンナにジャック・ホワイト&アリシア・キーズやアデルと、これまでも錚々たる顔ぶれの面々が歌ってきた「007」シリーズはその本編同様、その主題歌も毎回大きく注目されます。

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今回、公開に先駆けて発表されたのはサム・スミスのシングル「Writing’s On The Wall」です。ロンドン生まれの彼は、ロンドンの芸能学校ナショナル・ユース・ミュージック・シアターに入学して歌と作曲の技法を学びました。
2014年のデビューアルバム「In The Lonely Hour」でグラミー賞最多の4部門を受賞しました。ところが今年の春に声帯故障のため手術を受け、多くのファンからその健康と美声の安否が心配されていました。でも復帰第1作となったこのシングルにおける女性のように繊細で伸びやかなボーカル、さらに終盤のファルセットのピッチを聴くと、どうやら“完全復活”と言っていい模様です(よかったよかった)。まさに英国を代表する映画シリーズと、英国一の若手トップボーカリスト、夢の共演の実現と相成りました。
本稿執筆時点では日本盤がリリース前なので、オフィシャルな日本語訳詞は目にしていないのですが、タイトルの「Writing’s On The Wall」は旧約聖書に由来する表現のようですね。“不吉の予兆”とでも解釈すればいいのでしょうか。もう、この時点で「ああ、ボンド、またキッツい経験させられちゃうんだろうなあ……」という予感がプンプンです。

 

リリースと同時に公開されたこの曲のミュージックビデオでは、タイトなスーツを着たサムのパフォーマンスとオーバーラップしながら、映画の特報にも使われていなかったシーンがてんこ盛り。さながら映画のイメージビデオをも兼ねたような見応えの仕上がりです。

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実は私、ハマり始めこそ近年ですが、軽い“オタク”がつく程度にはボンドマニアでして。先だって久々に仕事でロンドンを訪れた際には、フィルム・ミュージアムで開催されていたボンドカー博覧会「BOND IN MOTION」も覗いてきました。「007」シリーズの音楽については、新作鑑賞後にまた書かせてもらうかもしれません(笑)。

ちなみにジェームズ・ボンド、5代目のピアーズ・ブロズナンと当代のダニエル・クレイグが、劇中でチャーチの靴を履いていました。ピアーズがディプロマット、チェットウインドを、ダニエルがプレスリー、フィリップとライダーⅢでしたね。流石はチャーチ。はい、だからライダーⅢは私も持っています(爆)。
かなり趣味に走った初回となりましたが、今回からこのSTORIES内でUKミュージックとファッションやカルチャーの繋がりについて書かせてもらうことになりました。
東京から、しばらくの間、どうぞよろしくお願いします。

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Text&Photo by Uchida Masaki


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内田 正樹

内田 正樹

エディター、ライター、ディレクター。雑誌SWITCH編集長を経てフリーランスに。音楽をはじめファッション、映画、演劇ほか様々な分野におけるインタビュー、オフィシャルライティングや、パンフレットや宣伝制作の編集/テキスト/コピーライティングなどに携わる。不定期でテレビ/ラジオ出演や、イベント/web番組のMCも務めている。近年の主な執筆媒体は音楽ナタリー、Yahoo!ニュース特集、共同通信社(文化欄)、SWITCH、サンデー毎日、encoreほか。編著書に『東京事変 チャンネルガイド』、『椎名林檎 音楽家のカルテ』がある。

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