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日本発祥の絵文字は世界で大ブーム
「絵文字」と聞いて真っ先に思い浮かべるのが、やはりスマートフォンのコミュニケーションアプリやSNSの文書に添える、あのユニークな「アイコン」のことである。「嬉しい」や「悲しい」などの感情表現や笑いを誘うユニークなものまで、その種類はさまざまで、ときには言葉はなく絵文字だけでやり取りすることもあるほど。もはや文書に付属するただの「添え物」ではなく、コミュニケーションの主役になりつつある。しかしこの絵文字、実は日本国内だけでなく「Emoji」として世界中に広まり、大きなブームになっていることはあまり知られていない。日本発祥の絵文字が海を越えて世界中の人々に愛用されていると聞くと、なぜか嬉しくなるし、日本文化としてとても誇らしくも思える。
そもそも絵文字が世界中に広まっていくようになったのは、iPhoneが日本デビューする際に孫正義氏が絵文字の重要性をアップル社に熱弁し、それが受け入れられたのがきっかけだったという。iPhoneに絵文字が標準搭載になったことで、世界にも絵文字が広まったわけだ。
ちなみに海外での発音での「E」はあくまで「イー」の発音なので「イーモウジ」と呼ぶ。Karakoke=カラオキ、Sake=サキと同じ法則である。
辞書にも載り賞も獲得した“イーモウジ”
ところでこの“Emoji”は、世界最大の英語辞典「オックスフォード」にも掲載されている正しい「英語」である。それだけでなく、オックスフォード辞典が主催する、その年に注目を集めた言葉を選ぶ2015年の「ワード・オブ・ザ・イヤー」に、外国人から大人気の「嬉し泣き顔」が選ばれるなど、私たちの想像とは裏腹に華やかな受賞経歴も持ち合わせている。さて、私たちの知らないところでブームとなっているEmojiだが、実は今、これを使った「デモ行進」が行われている、ということはご存知だろうか。場所は、Emojiがブームとなっている英国だ。
言葉の壁を越えた世界平和のアイコン
絵文字デモに使用されたプラカードの一例。「自然破壊反対」という意味が込められる。
今、ロンドンでは携帯電話を持たない世代にまでEmojiが人気で、Emojiを描いたTシャツやバッグなども売られているほど、そのブームは情熱にあふれているのである。移民を多く抱える国は必然的にデモが多くなってしまい、英国でもプラカードに主張を書き、声高に「○○に反対!」とシュプレヒコールを挙げる大勢での行進をよく見かける。
そんな光景を目にしていたロンドンのデザイン会社Pentagramのネレシュさんが考えたのは、ブームのEmojiを使った新しいスタイルのデモ行進だ。「Earthmojis」と名付けられたこのデモは、ときとして過激になりがちな一般的なデモとは違い、Emojiのビジュアルを使うことで穏やかな雰囲気が生まれ、なおかつ注目度も増す、というアイデアである。そして、非言語であるEmojiは、言葉の壁を越え移民の人たちにもメッセージが届きやすいと、良いことづくめなのだという。
例えば、「ブルドーザー」と「木」、そして「悲しい顔」のEmojiが並べば、それが森林伐採による自然破壊への危惧を訴えているのだと理解できる。
他にも、「クルマ」と「バツ」に並べて、「自転車」と「両手を上げている人」が描かれていれば、クルマよりも自転車を使ったほうがエコな生活を送れるという提案になる。
言語の壁を壊し、多くの人種、民族と簡単かつ穏やかに意思の疎通ができる“絵文字=Emoji”が、人種や言葉の壁を越え、世界平和を実現してくれることを熱望したい。親しみのあるユニーク記号が、世界平和のアイコンになってくれる日も遠くないのかもしれない。