だが、似て欲しくないところも似てしまうのが、英国と日本のサガでもある。それが浮き彫りとなっているのが、英国領時代のインドから突如現れた数学の天才シュリニヴァーサ・ラマヌジャンの半生を映画化した『奇蹟がくれた数式』で描かれている。
ハーディ教授は当時としては珍しいリベラルな思想の持ち主で、植民地の一般人からの投書であっても、才能を見抜いて大学に招くと決めた。だが、問題はここから。学歴ゼロで植民地出身のラマヌジャンは、差別の対象となってしまった。人を本質ではなく「ブランディング」して値踏みしているからだ。たしかに、どこの馬の骨とも知れぬ者を怪しむのは当然だ。だが、ラマヌジャンの非凡な才能は、ハーディ教授が手紙一つで見抜いている。今だったら、教授のお墨付きを得た時点で、差別も偏見も受けないだろう。これが英国、ひいては日本でもダメなところといえるのではないだろうか。
それだけでなく、英国男子の美しさは、身なりの清潔さだけではなく、紳士であることもプラスに。ラマヌジャンをとりまく学友たちは、そのほとんどが良家出身のお坊ちゃん。偏見的な目で彼を観る者も当然いるのだが、なかには遠い国からわざわざ勉学のためにやってきたラマヌジャンに紳士として接する者も現れる。教授陣にしてもそうだ。ほとんどの教授はラマヌジャンの言うことなど耳を貸さないが、ハーディ教授をはじめ、数名の理解者達は「いったいどうしたらラマヌジャンが認められるだろう」ということを考えて行動する。このやさしさ、紳士的な行動こそ、英国男子の魅力であり、英国学園ものの映画が人々を魅了する大きな理由となっているといえるだろう。
このように、この作品には、佳き英国、ダメな英国の両側面が描かれている。よいものはよい、悪いものは悪いとキチンと認め、それを真っ向から描くことができる英国。そのスタイルに、英国ファンは魅了されるに違いない。
映画『奇蹟がくれた数式』
「10/22(土)より、角川シネマ有楽町、Bunkamuraル・シネマ他全国ロードショー」
kiseki-sushiki.jp
BRITISH MADE店頭に映画の半券提示をお持ちいただき、BRITISH MADEメンバーズカードに入会いただくと「奇蹟がくれた数式・オリジナルノート」をプレゼント!数量限定です。