新作ドキュメンタリー。一日限定。そして追悼。UKロックを劇場で。
昨年から今年は音楽関連の映画が数々公開されています。そこで今回は、この秋から冬にかけて公開される3作のUKロック関連の映画をご紹介します。
残念ですが、この原稿を書いている時点で、私自身、まだ試写に行けていなかったり、本上映前の作品だったりしますので、あくまでもご紹介というかご案内になりますが、お時間のある方はぜひ足を運んではいかがでしょうか?
まずはオアシス「オアシス:スーパーソニック」です。
1991年、兄ノエルが弟リアムのバンドに加入してから、2日間で25万人を集め、当時の野外コンサートとしての動員記録を更新した96年のネブワースでの公演までの軌跡を追ったノキュメンタリーです。
製作総指揮はリアム&ノエル・ギャラガーと共に、『AMY エイミー』で第88回アカデミー賞長編ドキュメンタリー賞受賞のアシフ・カパディアが手掛け、監督は『グアンタナモ、僕たちが見た真実』で2006年ベルリン国際映画祭銀熊賞を受賞したマット・ホワイトクロスです。
リアム&ノエル兄弟に対する新たなインタビュー、メンバーや関係者たちの証言、そしてもちろん名曲の数々をとらえた貴重なライブ映像を楽しむことができるようです。
現在も時折、相変わらずの兄弟舌戦がニュースで伝わってきます。再結成は夢のまた夢といったところでしょうが、結成からわずか5年で全世界の音楽シーンの頂点にたどり着いたオアシスのダイナミズムを改めて体感し、検証することのできるチャンスと言えるでしょう。
「オアシス:スーパーソニック」は12月24日(土)より角川シネマ有楽町ほかで全国公開です。
お次はザ・ローリング・ストーンズ「ストーンズ オレ!オレ!オレ! ア・トリップ・アクロス・ラテンアメリカ」です。
今年3月25日、ストーンズは120万人の観衆の前で、初のキューバ公演を行いまいした。この模様はライブDVD「ハバナ・ムーン ストーンズ・ライヴ・イン・キューバ2016」として、先日一般リリースされたばかりです。
「ストーンズ オレ!オレ!オレ! ア・トリップ・アクロス・ラテンアメリカ」は、11月30日に全国16都道府県の全19劇場にて、何と一夜限りのプレミアムな劇場上映(東京・神奈川・愛知・大阪では、2回上映予定。)です。
三つ目はデヴィッド・ボウイの主演映画「地球に落ちてきた男」です。
76年にニコラス・ローグが監督したこちらの作品は、ボウイファンには知られた作品ですが、来年(2017年)のボウイの一周忌に際して、全国一斉の追悼上映が決定しました。
本作の(直接ではないのですが)続編とも受け取れる舞台が、昨年オフブロードウェイで上演された舞台作品「ラザルス」です。物語は地球に落ちてきたまま故郷の星に帰れず、酒浸りで40年以上を過ごした異星人の後日譚というもので、こちらはつい先日オリジナルキャストの歌と、この舞台のために書き下ろし録音されたボウイの未発表曲を収録したアルバム「ラザルス」(名義はデヴィッド・ボウイ/オリジナル・ニューヨーク。・キャスト)としてリリースされたばかりです。
本作の追悼公開時期には東京で彼の大回顧展「デヴィッド・ボウイ・イズ」も開催されます。一周忌のタイミングで、あらためて独創的なボウイの作品群に迫ってみてはいかがでしょうか。
「地球に落ちてきた男」はシネマート新宿ほかにて2017年1月7日から1月13日に期間限定ロードショーです。
以上、駆け足でしたが3つのUK関連作品をご紹介しました。
この秋から冬にかけてはこの他にもチェット・ベイカーの自伝映画「ブルーに生まれついて」が11月26日から、またマイルス・デイヴィスの伝記映画「MILES AHEAD / マイルス・デイヴィス 空白の5年間」が12月23日より公開されます。
いよいよ冬の到来を感じる寒さに入るようですが、コートやジャケットで暖かくして、ぜひ劇場に足を運んでください。それではまた!
内田 正樹
エディター、ライター、ディレクター。雑誌SWITCH編集長を経てフリーランスに。音楽をはじめファッション、映画、演劇ほか様々な分野におけるインタビュー、オフィシャルライティングや、パンフレットや宣伝制作の編集/テキスト/コピーライティングなどに携わる。不定期でテレビ/ラジオ出演や、イベント/web番組のMCも務めている。近年の主な執筆媒体は音楽ナタリー、Yahoo!ニュース特集、共同通信社(文化欄)、SWITCH、サンデー毎日、encoreほか。編著書に『東京事変 チャンネルガイド』、『椎名林檎 音楽家のカルテ』がある。