ニューアルバムもさることながら、映画がとんでもなくイイんです!
いよいよ発売しました、ストーンズのニューアルバム『ブルー&ロンサム』!!構想50年、製作3日(笑)という、彼らの原点回帰にして新境地とも言える全編ブルースカバーによる新作アルバムは、どうやら長年のファンのみならず多くのリスナーから賞賛で迎えられたようです。よかったよかった。
いや、実際これは傑作アルバムです。ともかくミックのボーカルとハープの気合と表現力が凄まじいったらありゃしない。未聴の方はぜひ。
ブルースを知らなくたって大丈夫! 何せ今回彼らが取り上げたナンバーはロック通でも知っている人は限られるような、ブルース通じゃなきゃ知らないナンバーばかりですから(笑)、そんなこと関係なく彼らの必殺グルーヴにヤラれちゃってください!!
ちなみに本作から「ライド・エム・オン・ダウン」の新作MVが解禁となりました。
さて、前回このコラムで紹介した1日限定上映だったストーンズのドキュメンタリー、『ストーンズ オレ!オレ!オレ! ア・トリップ・アクロス・ラテンアメリカ』を観てきました。
そして、そうした観客の熱はバンドにもきっちり伝わります。演奏の気合がまあハンパじゃない。
まあ日本の観客がおとなしいのはもう知れ渡っていることだし、もちろんマナーも大事ですが、そりゃ来日公演でも熱いプレーが聴きたけりゃまずオーディエンスから意識をあらためなきゃダメだよなとつくづく考えさせられましたね。
その他にも、衝撃のキースの雨乞い(!?)シーンや、ファンなら感涙必至の、バックルームで撮影されたミック&キースによる“或るパフォーマンス”が観られます。ヒントは“カ○トリーほにゃらら”です(笑)。これがもうねえ、本当に泣けるんですよ!!
ともかく全編を通して監督のポール・ダグテイル(※『ハバナ・ムーン』も彼が監督)と撮影クルーの手腕が素晴らしいのです。中南米の自由を求める民族闘争史とそれにリンクしたロック史の勉強になることはもちろん、キューバ市民の日常を捉えた姿にも歴史的な価値があると言っていいでしょう。
オバマが来訪して、国交正常化の夜明けが見えた瞬間からのストーンズライブは、結果的にカストロ最後の大仕事となってしまいました。ギターの弦も満足に入手できないため、スチールを加工して弦の代用品を製造している人たちやライブの会場を訪れた人々が「これからキューバは変わる」と目を輝かせている姿にはちょっと複雑な想いがこみ上げてきます。
そんなこの『オレ!オレ!オレ!』、もっと広く観ていただきたい作品なのですが、現在は映像作品『ハバナ・ムーン』の500セット通販限定プレミアムセットでしか入手することが叶いません。 いや、それでもお釣りがくる傑作なので購入できる方にはぜひともお薦めしたいのですが……なんと!映画の高評を受けて、来年1月に『オレ!オレ!オレ!』と『ハバナ・ムーン』の、やはり一日限りのセット上映会が決定したそうです!!
期日は1月4日。会場はZepp DiverCityとZepp Nambaで、開場:13:30 開演:14:00 終演:18:00を予定しています。2作品同時上映というトライは、今回が全世界初だそうです。
すでにチケットは発売中。正月にお時間のあるお近くの方は、ぜひとも足を運んでみてはいかがでしょうか? 詳細はこちらのリンクまで。
ちなみにファッション的にはミック・ジャガーのスタイリッシュなオフ時のコーディネートが楽しめます(キースは相変わらずです(笑))ので、ぜひ注目してみましょう。
今年もお読みいただいてありがとうございました。毎回シュミ視点全開なSTORIESではございますが、来年も皆さんにUKロックの話題をお届けできるよう頑張ります。あ、来年はもうちょっとファッションに寄せて書こうかな?(笑)。では皆さん、UKロックでよい年末年始を!!
内田 正樹
エディター、ライター、ディレクター。雑誌SWITCH編集長を経てフリーランスに。音楽をはじめファッション、映画、演劇ほか様々な分野におけるインタビュー、オフィシャルライティングや、パンフレットや宣伝制作の編集/テキスト/コピーライティングなどに携わる。不定期でテレビ/ラジオ出演や、イベント/web番組のMCも務めている。近年の主な執筆媒体は音楽ナタリー、Yahoo!ニュース特集、共同通信社(文化欄)、SWITCH、サンデー毎日、encoreほか。編著書に『東京事変 チャンネルガイド』、『椎名林檎 音楽家のカルテ』がある。