サム・スミスの新作から振り返るセンシティブなUKシンガー。 | BRITISH MADE

BM RECORDS TOKYOへようこそ サム・スミスの新作から振り返るセンシティブなUKシンガー。

2017.11.09

フレディ・マーキュリーからエド・シーランまで。

前回このSTORIESでサム・スミスのニューシングルについて取り上げましたが、その投稿のアップの直後にニューアルバムのリリースが発表となり、先日リリースされました。インスタなどで電撃発表して、ひと月足らずでリリース。いやはやSNS時代ですねえ。月一更新のコラムでは追いきれません(笑)。
新作「スリル・オブ・イット・オール」は、一言で言えば、“別離の哀しい”を歌ったアルバムです。先行シングル「トゥー・グッド・アット・グッバイズ〜さよならに慣れすぎて」が象徴するように、彼は前作から今作までの間に恋人との別れを経験したそうで、今作ではその傷心が歌われています。
シルキーなウィスパーボイスは健在。もの哀しい歌詞が多いですが、ジャズやR&Bの要素がふんだんに散りばめられたアレンジも効果的に作用していて、儚くも美しい曲ばかりです。
20171109_sam
ダイエットに成功してスリムになった自身の顔を使ったアルバムジャケットは、ルーヴェン・アファナドールの撮影によるもので、衣装はケイスリー・ヘイフォードのチャーリー・ケイスリー・ヘイフォードが担当したそうです。

日本盤ライナーノーツによると、彼はここ暫く、アレサ・フランクリンとジョージ・マイケルを特に愛聴していたとのこと。アレサにはソウルフルを、自身と同じようにゲイであることを公表していたジョージにはシンパシーを感じていたのかもしれません。

ではここからサムと同じように繊細なイメージを持つUK出身のヴォーカリストを駆け足で振り返ってみましょう。まず前述のジョージ・マイケルはこのコラムでも何度か取り上げました。
彼が生前最後に取り組んでいたドキュメンタリー『ジョージ・マイケル:フリーダム』が10月28日に行われた第30回東京国際映画祭にてジャパン・プレミア上映されました。
ジョージ自らナレーションも担当した『ジョージ・マイケル:フリーダム』は、セカンド・ソロアルバム『Listen Without Prejudice Vol.1』を制作するまでの期間に最高裁まで争うことになったレコード会社との確執や恋人の死まで、彼の人生の激動期に焦点を当てながら活動の軌跡を追ったドキュメンタリー作品だそうです。初公開のオフショットを含む秘蔵映像に加え、エルトン・ジョン、リアム・ギャラガー、ナイル・ロジャース、スティーヴィー・ワンダー、マーク・ロンソン、メアリー・J.ブライジ、トレイシー・エミン、ケイト・モスらが出演しています。私は未見ですがこれは是非とも観たい一作です。

そしてやはり以前も懐メロ特集でちらっと触れたボーイ・ジョージ。80年代にカルチャー・クラブのヴォーカリストとして一斉を風靡した彼も現在56歳です。
もちろんフレディ・マーキュリーも外せません。彼のソロアルバム「Mr.バッド・ガイ」に収録されたナンバーです。ちなみにクイーンのアルバム「メイド・イン・ヘブン」にはこの曲のクイーン演奏バージョンが収録されています。
この曲、日本ではノエビア化粧品のCMで広く知られました。
アコースティックなサウンドでソウルフルな歌声を聴かせるのはコリーヌ・ベイリー・レイ。彼女は79年にカリブの小国セントクリストファー・ネイビス出身の父と、イギリス人の母との間にリーズで生まれました。地道な活動を続けていて、日本でもファンの多いシンガーです。
恋人との経験から美しくも赤裸々な歌詞を歌った女性歌手といえばアデルでしょう。サム同様007シリーズの主題歌を歌った一人でもあります。彼女は先日、イギリスで最も裕福な30歳未満のセレブに輝いたと報じられました。『ヒート』誌による毎年恒例のランキング、リッチ・リストで、その資産は1億3200万ポンド(約200億円)。2年連続の1位でした。
そして上記のランキングで3位に入ったのがエド・シーラン。この「シェイプ・オブ・ユー」は日本のFMラジオでもかなりパワープレイされました。残念ながら自転車事故の怪我により、先日予定されていた来日公演は延期となってしまいました。早期の再公演に期待ですね。
いかがでしょうか。久々に聴く歌声も、まだ聴いたことのなかった歌声も、ぜひこの機会に楽しんでいただけたらと思います。秋から冬にかけてのBGMにもぜひ。ではまた!

Text by Uchida Masaki

plofile
内田 正樹

内田 正樹

エディター、ライター、ディレクター。雑誌SWITCH編集長を経てフリーランスに。音楽をはじめファッション、映画、演劇ほか様々な分野におけるインタビュー、オフィシャルライティングや、パンフレットや宣伝制作の編集/テキスト/コピーライティングなどに携わる。不定期でテレビ/ラジオ出演や、イベント/web番組のMCも務めている。近年の主な執筆媒体は音楽ナタリー、Yahoo!ニュース特集、共同通信社(文化欄)、SWITCH、サンデー毎日、encoreほか。編著書に『東京事変 チャンネルガイド』、『椎名林檎 音楽家のカルテ』がある。

内田 正樹さんの
記事一覧はこちら

同じカテゴリの最新記事