続いて劇中における重要な役割を担っている音楽にも触れたい。例えば、“Le Freak”、“Ran Kan Kan”などの王道ナンバーをはじめ、ロック、ジャズ、ディスコ、マンボ、R&B など、多種多様なジャンルがダンスシーンと組み合わさっている。本編の台詞を拝借するならば、まさに”マッシュアップ”だ。これらが素晴らしい芝居を見事に助長しており、思わず体が揺れてしまう。
最後に、本作のロケーションについても紹介したい。本作では、幾度となくロンドンの町並みが登場する。中でも印象深いのは、サンドラとチャーリーがクリスマスの夜を過ごすSOHO でのデートシーンだ。実はこのシーンをはじめ、本作では基本的にゲリラ撮影を敢行している。つまり、自然の環境をそのまま背景として活かしている。職業柄、自身も撮影スタッフとして映画に参加することがあるが、こういった撮影では思いもよらぬハプニングが起こる可能性が十二分にある。さぞかし緊張する瞬間であったことが容易に想像できる。しかし、その甲斐あってか、両人は見事に街に溶け込んでいてしっくりくる。ちなみに彼らが食事をした店舗は、以前ロンドンの旅で紹介したレストランの付近であり、このシーンを目にしたときはつい高揚してしまった。先述したロンドンのシーンだけでなく、ローマにおけるシーンも重要性が高い。ネタバレになるため詳細は記述しないが、とりわけここでのビフの回想話は琴線に触れる。以前からイタリアにも足を伸ばしてみたいと目論んでいたが、この作品に背中を押され時を移さずローマ行きのチケットを購入した。
「輝ける人生」
8 月25 日(土)シネスイッチ銀座、新宿武蔵野館ほか全国公開
配給:アルバトロス・フィルム
http://kagayakeru-jinsei.com
部坂 尚吾
1985年山口県宇部市生まれ、広島県東広島市育ち。松竹京都撮影所、テレビ朝日にて番組制作に携わった後、2011年よりスタイリストとして活動を始める。2015年江東衣裳を設立。映画、CM、雑誌、俳優のスタイリングを主に担い、各種媒体の企画、製作、ディレクション、執筆等も行っている。山下達郎と読売ジャイアンツの熱狂的なファン。毎月第三土曜日KRYラジオ「どよーDA!」に出演中。
江東衣裳
http://www.koto-clothing.com