始まりは1958年、英国陸軍を退官したロビンが、ロンドン近郊にある瀟洒なクラブハウスでクリケットに興じるシーン。お馴染みのアイボリーウェアで決めたロビンがベストショットを決めるのを、Vネックのクリケットセーターを着たり、カノチエを被り、ストライプジャケットを羽織った仲間たちが囲む。ハイティーを楽しみながら試合の動向を見守るのは、後にロビンの妻となり、波乱の半生を共に生きることになるダイアナだ。テーブルの上にはハイティーには必須のお湯を高温で保てる銀のティーポットが置いてある。その後、ロビンは愛車MG(っぽいクラシックカー)のサイドシートにダイアナを乗せてカントリーロードをドライブする。
それにしても、イギリス人の健啖家ぶり、場所を選ばない食事好きには驚く。屋外でのハイティーなんて序の口で、人工呼吸器付き車椅子ごとロビンを車に乗せた家族が、訪れたスペインの山道脇で、テーブルを設置して赤ワインとパンとソーセージで堂々とディナーを始めてしまう。これは恐らく、否、間違いなく、中世の英国貴族がハンティングをしながら外で食事をする習慣の名残と思われ、後に、この習慣はピクニックという形で庶民にも受け継がれることになる。
「ブレス しあわせの呼吸」
9月7日(金)より角川シネマ有楽町他にて全国公開
監督:アンディ・サーキス
出演:アンドリュー・ガーフィールド、クレア・フォイ、トム・ホランダー、ヒュー・ボネヴィル
2017年 / イギリス / 英語 / 118分 / シネスコ / 原題:BREATHE /日本語字幕:松浦美奈 / 配給:KADOKAWA
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