クレイグ版ボンド最終章を考察
4月25日(日本時間)、007シリーズ最新作『BOND 25』 についての公式会見プログラムが世界へ生中継されました。 会見では、主要キャストとざっくりしたイントロダクションが発表になりました。まずジェームズ・ボンド役のダニエル・クレイグはもちろん、前作のボンドガールを務めたレア・セドゥに、マネーペニー役のナオミ・ハリス、武器開発係であるQ役のベン・ウィショー、M役のレイフ・ファインズ、ビル・タナー役のロリー・キニアというMI6チームの面々が続投します。
脚本はこれまでも007シリーズを手掛けてきたニール・パーヴィス&ロバート・ウェイドにキャリー・フクナガらを含めたチームによる執筆です。
当初起用されていたダニー・ボイルから交代となったキャリー・フクナガは日系アメリカ人です。日系アメリカ人が007シリーズを監督するのは初めてのことで、しかも彼は映画よりもテレビドラマシリーズで知られた監督です。いずれも、シリーズとしては異例の大抜擢と言えるでしょう。
私は彼の監督作では、マシュー・マコノヒーが出演した激シブな『TRUE DETECTIVE/二人の刑事』シーズン1が好きです(日本でも視聴できます)。
例えば『スカイフォール』の撮監は『ショーシャンクの空に』、『ノーカントリー』、『ブレードランナー2049』を手掛けた名将ロジャー・ディーキンス、『スペクター』は『裏切りのサーカス』『ダンケルグ』を手掛けたホイテ・ヴァン・ホイテマでした。
次作で登板するリヌス・サンドグレンは、近年では『ファースト・マン』そして、やはり何と言ってもアカデミー撮影賞を受賞した『ラ・ラ・ランド』で知られています。
また衣装のスティラット・ラーラーブは、これまでに『スティーブ・ジョブス』や『スラムドッグ$ミリオネア』を手掛けています。
さて、撮影はすでにジャマイカでクランクインしていますが、気になるのは多くのファンが待ち望んでいた正式タイトルは発表されなかった点です。
理由には、脚本がいまだ撮影中に変更されまくっていて着地を迎えていないからという説と、既出のタイトルをリブートするのでは?という説があがっています。ちなみに24作のなかで、同じタイトルが二度使われたことは未だありません。
1967年のパロディ映画『カジノ・ロワイヤル』は、007シリーズにおいては全くの別物扱いで公式にはシリーズとしてカウントされていません。
そうそう。それと、ボンドカーとして、アストン・マーティンが初の電気自動車を投入するそうです。いや、Qよ、そこはガソリン車でいいじゃん!?と個人的には思うのですが、ミーハーというか節操がないほど時代の流れに逆らわなかったことが、たしかにこのシリーズの長寿の秘訣であることも否定ができないので……でも、なんかちょっとさみしいな……(泣)。
関連リンク
傑作『007 カジノ・ロワイヤル』をフルオーケストラと共に堪能!
内田 正樹
エディター、ライター、ディレクター。雑誌SWITCH編集長を経てフリーランスに。音楽をはじめファッション、映画、演劇ほか様々な分野におけるインタビュー、オフィシャルライティングや、パンフレットや宣伝制作の編集/テキスト/コピーライティングなどに携わる。不定期でテレビ/ラジオ出演や、イベント/web番組のMCも務めている。近年の主な執筆媒体は音楽ナタリー、Yahoo!ニュース特集、共同通信社(文化欄)、SWITCH、サンデー毎日、encoreほか。編著書に『東京事変 チャンネルガイド』、『椎名林檎 音楽家のカルテ』がある。