笑ってはいけないダニエル・クレイグ | BRITISH MADE

BM RECORDS TOKYOへようこそ 笑ってはいけないダニエル・クレイグ

2020.03.12

007公開延期。それでも面白過ぎるダニエル・クレイグ映像集。

このコーナーでも筆者のイチ推しとして度々紹介してきた007シリーズ最新作「007/ノー・タイム・トゥ・ダイ」ですが、皆様ご承知の通り、昨今の新型コロナウィルスの影響により、全世界で公開延期が決定。これを受けて、日本も当初の今年4月10日から、あらためて11月20日ロードショーがアナウンスされました。
こればかりは致し方ないです。相当数の興行収益が見込まれる中国では劇場が閉鎖されていて、イタリアも深刻な事態に。日本でも映画館は開いているものの、政府の自粛要請から、現時点でコンサートや演劇などエンターテインメント興業の中止や延期だらけ。海外でもSXSWやコーチュラなど世界有数のイベントやフェスも中止や延期が発表されています。

アーティストの単独ツアーについては、まだ5月以降の大きなキャンセルは発表されていない模様ですが、直近の来日公演についてはことごとく中止となっています。

話を007に戻しますが、前述の通り中国市場での収益が見込めず、他も軒並みダメージをくらっている昨今です。予定通り公開されていた場合、世界興収は当初の予測より3割以上も落ち込んたはずとも言われています。

映画では春に公開予定の作品を初夏に延期したケースもありましたが、こればかりは劇場のシフトや他の公開作の関係も関わってきます。夏ど真ん中に予定の大作は(ウィルス騒動が鎮静化していれば)もちろん予定のスクリーンを手放さずに公開したいでしょう。

監督の交代劇などもあり、クランク・インこそかなりの突貫状態だったようですが、キャリー・フクナガ監督も、主演かつ自らプロデューサーにも名を連ねているダニエル・クレイグも、今回の仕上がりにはかなりの自信を持っている模様です。ウィルス騒動もなく、予定通り公開されていたら「007/スカイフォール」超えとなるシリーズ最高の初速収益も有り得たわけです。そのため海外の非公式ファンサイト「MI6-HQ.com」では、「公衆の安全確保とクレイグの最後の花道のために公開延期を」と訴える嘆願書も掲載されました。

言うまでもなく「007/ノー・タイム・トゥ・ダイ」は大作級です。掲示物などは作り直しですし、CM費用などもさらにかかります(※ちなみに今回の延期による損失は3000万から5000万ドルとも言われています……)が、要は「この騒動とその余波はまだ当面収束しない」と踏んだのでしょうし、ファンの飢餓感を煽るだけ煽ってきちんと収益も含めて良い形でクレイグ=ボンドシリーズの花道を飾るためにも、11月公開は英断だったと私は捉えています。

……と、かなり前置きが長くなりましたが、今回、このコーナーを書くにあたって、ちょっと悩みました。「アガるUKロック」、「音楽で元気を」といったテーマもアリっちゃアリなんですが、何せその音楽ビジネスが日本では岐路に立たされているような状況でもあり。

あ、もちろんサブスクリプションやオフィシャルのビデオコンテンツなどにはどんどん課金しましょうね! こういう時期だからこそ、エンターテイメントの灯を消さないためにも、それはとても大事なことです。

で、今回は私がここ最近むちゃくちゃ笑ったコンテンツを紹介することに。そう、くだんのダニエル・クレイグが3月7日にアメリカのバラエティ番組「Saturday Night Live」に出演した際の映像です。以下、いくつか貼っていきます。

こちらはすでにトバし気味だった出演予告から。

ええ、こんな共演者はイヤですよね、わかりますわかります。

はい、誰ですか? 「笑顔が怖い」なんて言っているのは? 廊下に立ってなさい。

007シリーズしかご存知ないかたはクールでコワモテな印象が強いかもしれませんが、そもそもクレイグは音楽演劇学校を出て舞台でデビューした俳優です。実力もあるし、コメディも大好きな様子でかなりノリノリです。特に007シリーズのPR稼働では(戦略的に?)ボンドとは対極的にはっちゃける傾向があるのですが、今回も新作の特出し画像と銘打ったコメディやウィルスネタなど、かなりトバしています(笑)。

ウォッカマティーニ、じゃなくて、レッドブルをパイングラスで、ってあんた…(苦笑)。

さらにこの二つに至ってはいろいろな意味でヒドい(笑)。

この日はウィークエンドも出演しました。

ちなみにこちらは同番組の過去出演の映像です。

1975年から続く「Saturday Night Live」の誕生には、イギリスの「Monty Python」シリーズの影響も大きかったと言われています。「モンティ・パイソン」についてはまた機会があればあらためて書いてみたいと思いますが、ともかくボンド自体のキャラクターとボンド俳優というパブリックイメージを上手く逆手に取って、シニカルで楽しいコントを見せてくれています。

あと、番組は違いますがこちらもボンドネタ。CBSの「The Late Show with Stephen Colbert」から。レンタカーをなかなか借りられないボンド。本人が「笑ってはいけないジェームズ・ボンド」状態になっているのもウケる(笑)。
ついでにこちらも。今回の「007/ノー・タイム・トゥ・ダイ」と連動したハイネケンのタイアップCMです。プロダクトは何とアルコール“ゼロ”のノンアルコールビール。華麗にキメた「007/スペクター」時の過去CMと併せてご覧あれ。
クレイグは007シリーズの他にも、2017年にはスティーブン・ソダーバーグ監督の「ローガン・ラッキー」で服役中の金庫破りジョー・バング役を演じていました。興行的にはあまりふるわかなったようですが、クレイグの楽しそうなアウトロー役が観られます。
最近では、先日公開された「ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密」ですね。こちらは名探偵ブノワ・ブラン役。彼の演技自体はそこまでコミカルではありませんが、ミステリーの小品として話題を呼びました。
一ファンとして寂しい限りですが、ともかく次作でクレイグ=ボンドとはお別れの模様。ボンド俳優はどうしてもボンドのイメージが大衆に強く刷り込まれるため、その後のキャリアがパッとしなかった俳優もいましたが、どうやら彼は大丈夫な気がします。ウィルス感染の収束を願いつつ、11月を楽しみに待ちたいと思います。

いかがでしたか。暗い世相ですが、どうかユーモアも忘れずに。それではまた!

Text by Uchida Masaki


plofile
内田 正樹

内田 正樹

エディター、ライター、ディレクター。雑誌SWITCH編集長を経てフリーランスに。音楽をはじめファッション、映画、演劇ほか様々な分野におけるインタビュー、オフィシャルライティングや、パンフレットや宣伝制作の編集/テキスト/コピーライティングなどに携わる。不定期でテレビ/ラジオ出演や、イベント/web番組のMCも務めている。近年の主な執筆媒体は音楽ナタリー、Yahoo!ニュース特集、共同通信社(文化欄)、SWITCH、サンデー毎日、encoreほか。編著書に『東京事変 チャンネルガイド』、『椎名林檎 音楽家のカルテ』がある。

内田 正樹さんの
記事一覧はこちら

同じカテゴリの最新記事