イギリスが舞台のおすすめ洋書 | BRITISH MADE

川合亮平、僕のUK観光道 イギリスが舞台のおすすめ洋書

2020.09.15

こんにちは、洋書大好きっ子ちゃんの川合亮平です。

先日「面白い!」洋書小説を読んだので、紹介します。

正確に書くと、“読んでいる”になりますが。

なぜかというと、シリーズ物でまだ全巻制覇していないから。

全7巻のクロニクル(年代記)になります。
僕は今のところ3巻まで読みました。

第1巻目『Only Time Will Tell』は2011年刊行、

そして

最終の7巻目『This Was a Man』は2016年刊行です。

割と最近の作品ですね。

なぜ選んだか?

理由1:前から気になっていた英国作家:Jeffrey Archer(ジェフリー・アーチャー)氏の作品であるということ。

彼の作品はこれまで一冊も読んだことなかったんですが、英国では(日本でも?)誰もが知る大御所作家のようです。

理由2:『The Clifton Chronicle(クリフトン年代記シリーズ)』のAmazonレビュー評価がとにかくめちゃくちゃ高い。

理由3:僕の大好きな英国人作家アンソニー・ホロウィッツ氏が、この作品の著名人レビューに名を連ねていたことも大きな要因になりました↓↓

“I was utterly hooked. It was an absurdly enjoyable read.”
—Anthony Horowitz, “Daily Telegraph” (London)

「とにかくめっちゃハマったわ。嘘かと思うくらいに面白かったで」
―アンソニー・ホロウィッツ “デイリー・テレグラフ(ロンドン)

理由4:内容的に、“ブリストル港町出身、ワーキング・クラスの少年の成長記”というのが、僕の気持ちにピッタリきたし、しかも“英語は平易で読みやすい”という情報もありました。

よし!これしかない!

という感じで選びました。

作品概要

フィクションの大河小説です。

ジャンルとしてはSFやファンタジーではなく、あくまで現実世界を舞台にしており、時代背景も史実に沿って展開していきます。

全体的なトーンとしては(これまで読んだ限りで述べると)基本的に快活な感じで、ハラハラ・ドキドキ・ワクワクの読書体験が味わえています。

1920年、舞台は第一次世界大戦の爪痕残る英国ブリストルの波止場町、
主人公のハリーが誕生するところから物語はスタートします。

僕は最後まで読了していないので自分で確かめたわけではないのですが、

とある説明によると、全7巻で100年間をカヴァーする年代記ということ。

ちなみに1巻目は1920年から始まり、ナチスの台頭により英国とドイツの戦争が始まった1939年までがカヴァーされています。

おすすめポイント

■ 誰もがハマれる構成です。

良い意味で“濃い”キャラクターが少なくない数登場するのですが、その中でも物語の進行を担っているキャラクターたちが主人公のハリーの他にも何名も登場します。

小説の構成としては、そういった中核キャラクター達の一人称で語られる章と、神様目線(または著者目線)で語られる章と2つの語りが交互になって進んでいきます。

面白いのは、例えばある章は、1920年―1923年の間のAさん視点の語り。
次の章は、全く同じ時間軸なんだけど、Bさん視点の語り。
そんなふうに同じ事実を複数の人の目を通して描きながら、物語が進展していく点です。

様々なキャラクターが登場するので、読者をあまり選ばない小説だと思いますよ。

例えば1巻の重要舞台の1つは英国の寄宿学校なんだけど、そういった事象にあんまり興味がない人でも、そこで飽きて読むのを辞めるのはもったいないと思います。

なぜなら、この物語、100年間を描いてるんですよ!
だから、読み進めていくと自分が興味を持てる場面設定に出会える確率がとても高いと思うんですよ。


■ 展開がダイナミック!

とにかくいろんなことが起こります。
(いや、まあ、何も起こらなければ冒険小説になりにくいんですけどね)

物語の展開が早いので、“大味”と評することもできるかもしれませんが、でも僕個人的にはこの作品の醍醐味は、ダイナミックでドラマチックなストーリーテリングにあると思っています。

ミステリー、ロマンス、アドベンチャー、ヒストリー、ドラマ、・・・、そういった要素が渾然一体となって、めくるめく展開していく様が爽快です。

要所要所で「バンバンバンバンバーーーン!」と頭の中で効果音が自然に出てくる「アッ」というイベントが出てきます。

例えば、1巻の最後の盛り上がりとか、かなりのものでしたよ。
「えぇ!?そうなの!?」となって、もう2巻に進まないと仕方ない状態で幕が閉じるんですから。


■ 英語が読みやすい!

なぜなのか分かりませんが、英語が易しいです。ジェフリー・アーチャー氏の特徴なのかな?彼の他の本を読んでないのでなんとも言いかねますが。

でもこの『The Clifton Chronicle(クリフトン年代記シリーズ)』はあくまで大人向けの小説なんですよ(もちろん子供が読んでも差し支えないと思うけど)。

洋書に挑戦したいけど、わざと簡単に書かれた英語学習者向けの英語本や、英語は比較的易しいんだけど、子供向けの児童書はちょっと・・・、と思われてるアダルトなあなたにオススメのシリーズといえます。
僕、この本の前は、Robert Galbraith氏(J.K.ローリングさんの別名)の『The Cuckoo’s Calling』を読んでたんだけど、英語難易度の落差がとても激しく感じました。

『The Cuckoo’s Calling』はちょい難し目、そして『The Clifton Chronicle(クリフトン年代記シリーズ)』は易しいです。
いかがでしたでしょうか?

もしピンときたら気軽に手にとって読んでみてくださいねー。

川合亮平でした。

P.S. ついでに関連作品も読んでみようぜ!

■ その1

2015年刊行。『All the Light We Cannot See』。
アマゾンを見るとその脅威の高レビューに驚くと思います。
レビュー数約3万件で評価平均4.5以上ですからね。
そして世界各国の名だたるブックアワードも沢山受賞。

僕がそもそもなぜこれを読もうと思ったか。
経緯は忘れましたが、予備知識全くなしで読み始めて、一生忘れられない読書体験となりました。
今でも胸にずっと残っているシーンや感情があります。

『The Clifton Chronicle(クリフトン年代記シリーズ)』との関連は、
それぞれの本の主人公が同時代に生きた同年代(多分同い年)ということ。

そして両作品とも、時代背景が物語に与える影響がかなり大きい。
そういう意味で、同じ時代を、1つは英国人青年、そしてもう1つはドイツ人青年の視点で眺められる、というのが大変興味深い。

とまれ、クリフトンシリーズはどちらかというエンタテイメントより、そして『All the Light We Cannot See』はどちらかというと重厚な文芸作品という趣なので読書感は異なりますが、それもまた一興です。

■ その2

ミステリーの女王といえば、英国が誇るアガサ・クリスティさんだと思います。

そんな彼女の単作の中で、セールスナンバーワンなのが確かこの作品なんです。

『And Then There Were None』

僕が大好きな現代ミステリー作家であるアンソニー・ホロウィッツさんのクリスティ愛がすごいので、それに影響されて手に取った一冊。

どの作品でもよかったんですが、たまたまこの1冊とご縁があったようで。

『The Clifton Chronicle(クリフトン年代記シリーズ)』とは時代がかぶっています。

最も、クリフトンシリーズは100年間の物語、そして『And Then There Were None』 は、数週間の物語スパンなんで、被っているのは“一部”ではありますが。

でも、英国のその時代(1939年前後、第1次世界大戦から第2次世界大戦への移行期)の感触や雰囲気、風俗を英国人の登場人物のセリフや立ち居振る舞いなどから、2つの別の作品で比べるというのは文化的に有意義な試みだなぁと自己満足しています。

で、『And Then There Were None』 の感想はどうだったかって?

うん、面白かったですよ。
書かれた時代的に英語が現代の小説よりも読みづらいかなと思ってたんですが、それほどでもなかったですしね。

僕的にはミステリーというよりなんとなくホラー感の方が強くてゾクゾクしながら読みました。

■ その3

『The Mitford Murders: (The Mitford Murders Series Book 1)』

こちらの作品の舞台は1920年代の英国なので、『The Clifton Chronicle(クリフトン年代記シリーズ)』と(一部)被っています。

当時の英国の階級制、いわゆる、上階と下階、貴族と使用人、そして、町の貧しいワーキングクラスと富裕層、といった社会構造は両方の作品の重要な骨子になっている部分です。
2つの物語を通じてそのような部分に触れると、より立体的に当時の様子を想像することができます。

ミットフォード・マーダーズはシリーズ物の本格ミステリーです。

主人公が女性ということもあり、スタイリッシュでエレガント、そして時にチャーミングな要素があり、それがこの作品の1つの魅力になっていると思います。

主人公であるワーキングクラスの英国人女性が、階級社会に制限されながらも、時には垣根を軽やかに超えて躍動していく感じが、『The Clifton Chronicle(クリフトン年代記シリーズ)』で描かれる大きな流れと共通している部分だと思います。

第1巻は2018年刊行、そして最新の第4巻が2021年の1月に刊行予定のようです。

シリーズが進むごとに時間軸も進んでおり、このシリーズもクリフトン・シリーズも歴史をベースにしたフィクションという意味でいうと、両作品が時代的にクロスオーバーする部分はまだまだ沢山ありそうですね(僕は、ミットフォード・マーダーズは今の所1巻しか読んでないので全体的な事は明言しかねますが)
Text by R.Kawai


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川合 亮平

川合 亮平

(かわいりょうへい)

通訳者・東京在住

関西の人気テレビ番組で紹介され、累計1万部突破の『なんでやねんを英語で言えますか?』(KADOKAWA)をはじめ、著書・翻訳書・関連書は10冊以上を数える。

通訳者としては直近で東京五輪関連のビジネス会議、アスリート通訳に携わる。その他、歌手のエド・シーラン、映画『ファンタビ』シリーズのエディ・レッドメイン、BBCドラマ『シャーロック』のベネディクト・カンバーバッチ、マーティン・フリーマン、ヒットドラマ『ダウントン・アビー』の主要キャストなど、ミュージシャン、俳優への通訳・インタビューも多数手がけている。

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