話題作「TENETテネット」にも出演。英国が誇る87歳の名優
現在公開中の映画「TENET テネット」が話題です。新型コロナの影響による劇場営業の関係で北米市場では制作側の目算に届いていないようですが、それでも十分なヒットと言えるのでは。自分も見ましたが、なるほど、無茶苦茶面白かったです。
何より多くの大作が延期を強いられているこの時期、多くの観客に“映画”を見る喜びを与えてくれています。
劇中、短いシーンですが、主人公の“名も無き男”を援助する(*そしてこのシーンのやりとり、洋服好きをニヤリとさせますよね)クロスビー役で出演しているのがマイケル・ケインです。
マイケル・ケインは南ロンドンのロザーハイド生まれキャンバーウェル育ち。第二次大戦後に兵役を務め、その後、舞台監督の助手などを務めながらロンドンの演劇学校で演技を学び、舞台俳優となりました。
当初、芸名はマイケル・スコットでしたが、先に同名の俳優が存在していたため、偶然、オデオンで上映されていた「ケイン号の叛乱」から姓を取ってマイケル・ケインと名乗ると、1956年、「韓国の丘」でスクリーンデビュー。1964年の「ズール戦争」で注目され、1965年にはレン・デイトンのスパイ小説を原作とした「国際諜報部」シリーズに主演します。
2002年には「オースティン・パワーズ ゴールドメンバー」に出演、2014年にはスパイ組織のリーダー、アーサー役で「キングスマン」にも出演しています。スパイ映画風味の強い「TENETテネット」然り、その手の作品からのラブコールが多い俳優とも言えますね。
御歳87歳、気難しそうでいて、しかし多作なサー・マイケル・ケインはまだまだバリバリ現役です。いつの時代も飄々とした佇まいと確かな演技力が魅力的な名優の今後に是非とも注目してください。それではまた。
内田 正樹
エディター、ライター、ディレクター。雑誌SWITCH編集長を経てフリーランスに。音楽をはじめファッション、映画、演劇ほか様々な分野におけるインタビュー、オフィシャルライティングや、パンフレットや宣伝制作の編集/テキスト/コピーライティングなどに携わる。不定期でテレビ/ラジオ出演や、イベント/web番組のMCも務めている。近年の主な執筆媒体は音楽ナタリー、Yahoo!ニュース特集、共同通信社(文化欄)、SWITCH、サンデー毎日、encoreほか。編著書に『東京事変 チャンネルガイド』、『椎名林檎 音楽家のカルテ』がある。