こんにちは、川合亮平です。
2020年も11月になりましたね。
この前、アメリカのとあるポッドキャスト番組を聴いていると、
何か日常的な希望が叶わなかった話題で、
「まあ仕方ないか。だって2020年だもんねー。」
というセリフに出会いました。
『2020年』という言葉を、“諦めの代名詞”として使ってるんです。
僕個人的に、この考え方はなかなかナイスだなぁと思いました。
今年はあれもできなかった、
あそこにも行けなかった、
あの人にも会えなかった、
とウジウジするのも一興かと思います。
でも、それらに対して「ま、2020年やから仕方ないか〜」と考えるんです。
肩をすくめる仕草をしながら変顔でも作れれば完璧だと思います。
すべて時代のせいにしてあっけらかんと振り切るのです。
ありだと思います。
・・・・、しかしねぇ・・・。
とはいえ、振り返ってみると、
今年の夏はいつものようにイギリスで過ごせなかったなぁ、
ずっと東京の自宅に篭って、あんまりどこにも行けなかったなぁ、
友達ともあんまり会えなかったなぁ・・・(ウジウジ)
ドラマであれ、本であれ、映画であれ、エンタメ作品の中に没頭すれば、その時間だけは異空間の中で、自分の想像力の中で自由に羽ばたけます。
そういう意味で、僕個人的に2020年は読書の可能性をことさら感じた年でした。
そんなわけで、今回の記事では現実逃避にもってこいのエンタメ作品を紹介します。
今、僕が、イチオシの作品・・・、
それは、英国のティーネイジ・スパイ・アレックス・ライダーだっ!!
「え、ティーネイジ? つまり10代ってこと? いやぁ、私はアラサーだからパスパス。」
と思われたあなた、ちょっと待ってください。
アラフォーの僕からお願いします。
イギリス人のティーネイジャー アレックス・ライダーがスパイとして大活躍する『アレックス・ライダー』シリーズは、便意的にはいわゆる“ヤングアダルト”の部類に入る小説シリーズです。
しかし、作者である(僕が敬愛してやまない)アンソニー・ホロウィッツ氏は、「Alex Rider books are adults’ books for children.(アレックス・ライダーシリーズは、子供のために書かれた大人の本なんだ)」
とおっしゃっています。
“子供のために書かれた大人の本”、とっても哲学的なフレーズですが、敢えて僕が個人的な感覚を交えて意訳するなら「ヤングアダルトだからってなめんなよ」です。
「またまた〜」と思われたあなたは、以下のトレーラー動画をご覧ください。
今年満を辞して公開開始されたアレックス・ライダー最新ドラマの予告編です。
(今のところ日本で、ドラマ『Alex Riderアレックス・ライダー』を観る場合、動画配信サービスのU-NEXTか、CSのAXNミステリーというチョイスがあるようです。字幕・吹き替え版があるようです。)
アレックス(俳優:オット・ファラント)の必要以上に鋭い眼光とか、エッジの効いた映像演出とか、アグレッシブなドラムンベースのBGMとか、これ、子供向けじゃないよね?
そうなんですよ。
海外ドラマ『Alex Riderアレックス・ライダー』は、はっきり言ってヤングアダルト向けではなく、アダルト向けです。
主人公がティーネイジャーというだけで、大人向けドラマです(もちろんティーネイジャーも楽しめると思いますが)。
僕は最初何も知らずに、ティーネイジャー未満の子どもたちと一緒に観たんですが、正直びびりました。
とにかく、ドラマとして完成度が高くとても面白い。釘付けになります。
ロンドンの景色もカッコいいし、マスターストーリーテラーであるホロウィッツ氏原作なのでストーリー展開は折り紙つき。
あと、主人公のオットさんをはじめ、キャストがかなり良いなぁというのが個人的な感想です。
イギリス好きは要チェックなドラマだと思うし、例えば007シリーズが好きな人なんかは、まず高い確率で楽しめると思いますよ。
だって、アレックス・ライダーが誕生したきっかけは、ボンドの大ファンであるホロウィッツ氏が「ジェイムズ・ボンドがティーネイジャーだったら?」という発想を持ったことに端をはってしているのです。
ちなみに、ホロウィッツ氏は、本家007のイアン・フレミング財団から直々に依頼を受けて、007シリーズ公式続編小説も手がけれられているんですよ。(そして、その評価もとても高い)
第1作目(洋書) 『Trigger Mortis: A James Bond Novel』
第1作目翻訳版 『007 逆襲のトリガー (角川文庫)』
第2作目(洋書) 『Forever and a Day: A James Bond Novel』
今年(2020年)刊行されたAlex Riderシリーズ最新第13作目が『NIGHSHADEナイトシェイド』。
僕はそもそもホロウィッツ氏が最近精力的に刊行しているミステリー小説を大いに楽しんだことがきっかけで、氏のファンになったんです。
Alex Riderシリーズには手をつけてなかったんだけど、最近のミステリーを一通り読み終え、ホロウィッツ・ロスとなり、『NIGHSHADEナイトシェイド』を手にしたという経緯です。
いきなりシリーズ13作目から入ってついていけるか?という一抹の不安はあったのですが、そんな不安は何処吹く風、期待をはるかに上回る超エキサイティングな読書体験を得ることができました。
一連のミステリー作品群より、むしろこっちの方が好きかも、というくらい楽しめた。ほんとに。
エンターテイメント作品として純粋に優れているのはもちろんなんだけど、ホロウィッツ作品にはそれだけでは語れない“何か”が物語の奥の方でうごめいているんです。
「創造のエネルギーのひとつは怒りなどのある種のマイナスパワー」とホロウィッツ氏はあるインタビューで語っていました。
体罰・虐待が当たり前の英国寄宿学校で、スポーツも勉強もダメダメだったという陰鬱で抑圧された少年時代を過ごした氏は、「アレックス・ライダーを通じて、子ども時代の鬱憤を発散している」という趣旨のことも語っていらっしゃいます。
イチ読者として、展開の早いスリル満点のスパイ物語に手に汗握りながらも、上記のような切実なパワーを無意識的に感じるからこそ、“おもしろい”以上の何かが胸に残るのかもしれません。
あ、そうそう、先日「Nightshade読み始めたよー」というツイートをしたところ、
作者のホロウィッツさんから一言メッセージをいただいたので、こちらにリンクを貼っておきます。
以下の動画は、Nighshade刊行記念動画です。
コロナでロックダウンの最中、ロンドンからライブ配信されたもの。
全編英語ですが、濃い内容ですので、興味ある方は是非ご覧ください。
今回の記事の最後として、上記動画の中で僕が印象に残っている氏のメッセージを引用します。
子供の頃はずっと落ちこぼれだったけど、夢だった作家になることができました、という文脈の中で発せられた言葉です。
Whatever you want to do in life, you can do if you believe in it enough.
Always believe in yourself.
Never let anybody put you down.
Never let anybody say you can’t do it.
『人生の中でやりたい事が何であれ、それを強く信じれば叶います。
自分の事をいつも信じよう。
自分を蔑むような人の声には絶対耳を貸しちゃいけない。
夢が叶わないなんて言葉は信じちゃいけない。』
川合亮平でした。
2020年も11月になりましたね。
この前、アメリカのとあるポッドキャスト番組を聴いていると、
何か日常的な希望が叶わなかった話題で、
「まあ仕方ないか。だって2020年だもんねー。」
というセリフに出会いました。
『2020年』という言葉を、“諦めの代名詞”として使ってるんです。
僕個人的に、この考え方はなかなかナイスだなぁと思いました。
今年はあれもできなかった、
あそこにも行けなかった、
あの人にも会えなかった、
とウジウジするのも一興かと思います。
でも、それらに対して「ま、2020年やから仕方ないか〜」と考えるんです。
肩をすくめる仕草をしながら変顔でも作れれば完璧だと思います。
すべて時代のせいにしてあっけらかんと振り切るのです。
ありだと思います。
・・・・、しかしねぇ・・・。
とはいえ、振り返ってみると、
今年の夏はいつものようにイギリスで過ごせなかったなぁ、
ずっと東京の自宅に篭って、あんまりどこにも行けなかったなぁ、
友達ともあんまり会えなかったなぁ・・・(ウジウジ)
エンタメがあるじゃないか!
外部の状況がどうであれ、現実逃避できればこっちのもんです。ドラマであれ、本であれ、映画であれ、エンタメ作品の中に没頭すれば、その時間だけは異空間の中で、自分の想像力の中で自由に羽ばたけます。
そういう意味で、僕個人的に2020年は読書の可能性をことさら感じた年でした。
そんなわけで、今回の記事では現実逃避にもってこいのエンタメ作品を紹介します。
今、僕が、イチオシの作品・・・、
それは、英国のティーネイジ・スパイ・アレックス・ライダーだっ!!
「え、ティーネイジ? つまり10代ってこと? いやぁ、私はアラサーだからパスパス。」
と思われたあなた、ちょっと待ってください。
アラフォーの僕からお願いします。
イギリス人のティーネイジャー アレックス・ライダーがスパイとして大活躍する『アレックス・ライダー』シリーズは、便意的にはいわゆる“ヤングアダルト”の部類に入る小説シリーズです。
しかし、作者である(僕が敬愛してやまない)アンソニー・ホロウィッツ氏は、「Alex Rider books are adults’ books for children.(アレックス・ライダーシリーズは、子供のために書かれた大人の本なんだ)」
とおっしゃっています。
“子供のために書かれた大人の本”、とっても哲学的なフレーズですが、敢えて僕が個人的な感覚を交えて意訳するなら「ヤングアダルトだからってなめんなよ」です。
「またまた〜」と思われたあなたは、以下のトレーラー動画をご覧ください。
今年満を辞して公開開始されたアレックス・ライダー最新ドラマの予告編です。
おすすめ:海外ドラマ『Alex Riderアレックス・ライダー』
ダークでハードでスリリングでしょ?アレックス(俳優:オット・ファラント)の必要以上に鋭い眼光とか、エッジの効いた映像演出とか、アグレッシブなドラムンベースのBGMとか、これ、子供向けじゃないよね?
そうなんですよ。
海外ドラマ『Alex Riderアレックス・ライダー』は、はっきり言ってヤングアダルト向けではなく、アダルト向けです。
主人公がティーネイジャーというだけで、大人向けドラマです(もちろんティーネイジャーも楽しめると思いますが)。
僕は最初何も知らずに、ティーネイジャー未満の子どもたちと一緒に観たんですが、正直びびりました。
とにかく、ドラマとして完成度が高くとても面白い。釘付けになります。
ロンドンの景色もカッコいいし、マスターストーリーテラーであるホロウィッツ氏原作なのでストーリー展開は折り紙つき。
あと、主人公のオットさんをはじめ、キャストがかなり良いなぁというのが個人的な感想です。
イギリス好きは要チェックなドラマだと思うし、例えば007シリーズが好きな人なんかは、まず高い確率で楽しめると思いますよ。
だって、アレックス・ライダーが誕生したきっかけは、ボンドの大ファンであるホロウィッツ氏が「ジェイムズ・ボンドがティーネイジャーだったら?」という発想を持ったことに端をはってしているのです。
ちなみに、ホロウィッツ氏は、本家007のイアン・フレミング財団から直々に依頼を受けて、007シリーズ公式続編小説も手がけれられているんですよ。(そして、その評価もとても高い)
第1作目(洋書) 『Trigger Mortis: A James Bond Novel』
第1作目翻訳版 『007 逆襲のトリガー (角川文庫)』
第2作目(洋書) 『Forever and a Day: A James Bond Novel』
おすすめ:最新刊『NIGHSHADEナイトシェイド』
僕はそもそもホロウィッツ氏が最近精力的に刊行しているミステリー小説を大いに楽しんだことがきっかけで、氏のファンになったんです。
Alex Riderシリーズには手をつけてなかったんだけど、最近のミステリーを一通り読み終え、ホロウィッツ・ロスとなり、『NIGHSHADEナイトシェイド』を手にしたという経緯です。
いきなりシリーズ13作目から入ってついていけるか?という一抹の不安はあったのですが、そんな不安は何処吹く風、期待をはるかに上回る超エキサイティングな読書体験を得ることができました。
一連のミステリー作品群より、むしろこっちの方が好きかも、というくらい楽しめた。ほんとに。
エンターテイメント作品として純粋に優れているのはもちろんなんだけど、ホロウィッツ作品にはそれだけでは語れない“何か”が物語の奥の方でうごめいているんです。
「創造のエネルギーのひとつは怒りなどのある種のマイナスパワー」とホロウィッツ氏はあるインタビューで語っていました。
体罰・虐待が当たり前の英国寄宿学校で、スポーツも勉強もダメダメだったという陰鬱で抑圧された少年時代を過ごした氏は、「アレックス・ライダーを通じて、子ども時代の鬱憤を発散している」という趣旨のことも語っていらっしゃいます。
イチ読者として、展開の早いスリル満点のスパイ物語に手に汗握りながらも、上記のような切実なパワーを無意識的に感じるからこそ、“おもしろい”以上の何かが胸に残るのかもしれません。
アレックス・ライダー、ドラマで観るか?書籍で読むか?
どちらにしても、とくと楽しまれてください。あ、そうそう、先日「Nightshade読み始めたよー」というツイートをしたところ、
作者のホロウィッツさんから一言メッセージをいただいたので、こちらにリンクを貼っておきます。
Yes.
— Ryohei KAWAI 川合亮平 (@ryoheikawai) September 11, 2020
I have worked hard enough this week.
Here’s the reward.
The latest book of Alex Rider series by great @AnthonyHorowitz pic.twitter.com/e8ScOXTW0h
コロナでロックダウンの最中、ロンドンからライブ配信されたもの。
今回の記事の最後として、上記動画の中で僕が印象に残っている氏のメッセージを引用します。
子供の頃はずっと落ちこぼれだったけど、夢だった作家になることができました、という文脈の中で発せられた言葉です。
Whatever you want to do in life, you can do if you believe in it enough.
Always believe in yourself.
Never let anybody put you down.
Never let anybody say you can’t do it.
『人生の中でやりたい事が何であれ、それを強く信じれば叶います。
自分の事をいつも信じよう。
自分を蔑むような人の声には絶対耳を貸しちゃいけない。
夢が叶わないなんて言葉は信じちゃいけない。』
川合亮平でした。
川合 亮平
(かわいりょうへい)
通訳者・東京在住
関西の人気テレビ番組で紹介され、累計1万部突破の『なんでやねんを英語で言えますか?』(KADOKAWA)をはじめ、著書・翻訳書・関連書は10冊以上を数える。
通訳者としては直近で東京五輪関連のビジネス会議、アスリート通訳に携わる。その他、歌手のエド・シーラン、映画『ファンタビ』シリーズのエディ・レッドメイン、BBCドラマ『シャーロック』のベネディクト・カンバーバッチ、マーティン・フリーマン、ヒットドラマ『ダウントン・アビー』の主要キャストなど、ミュージシャン、俳優への通訳・インタビューも多数手がけている。