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2021.01.14

新作映画『ザ・ビートルズ:Get Back』、2021年8月27日公開

先ごろ、映画『ザ・ビートルズ:Get Back』が、2021年8月27日に世界同時劇場公開されるという発表がありました。

映画『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズのピーター・ジャクソン監督が手掛けたこの『ザ・ビートルズ:Get Back』は、当初2020年9月公開を予定していましたが、コロナ禍の影響で延期に。かくしてこの仕切り直しとなりました。

ピーター・ジャクソン監督自身が登場してコメントを語っている予告編がこちらです。
ただコメントにもある通り、これは本編予告ではなく、あくまでもフッテージ(素材)を繋ぎ合わせた映像とのこと。とは言え、これ、現段階でかなり期待が持てます。というか、ちょっとびっくりしました。
こちらは2003年リリースの再編集盤『レット・イット・ビー…ネイキッド』です。
『ザ・ビートルズ:Get Back』は、のちにアルバム『レット・イット・ビー』として世に出ることとなった、俗に言う“ゲット・バック・セッション”の模様の記録映像で、ロンドンのサヴィル・ロウはにあった当時のアップル・コア本社ビル屋上で行われた、いわゆる“ルーフトップ・コンサート”のライヴも全編収録されるそうです(下記は公式の「ドント・レット・ミー・ダウン」より)。
そもそも、この頃の彼らの模様は、1970年公開の映画『レット・イット・ビー』に収められていました。アルバム『レット・イット・ビー』は、この70年の映画のサウンドトラックという位置付けです。映画は、「ペイパーバック・ライター」や「レイン」等のプロモーション・フィルムを手掛けたマイケル・リンゼイ・ホッグ監督が担当しています。

映画『レット・イット・ビー』の当初のテーマは、彼らのリハーサルとライヴ演奏をファンに届けることでした。しかし結局は解散へと向かう当時のメンバー間の険悪な空気が記録される結果に。その作品の印象から、当時の4人の不協和音を伝えるドキュメンタリーのテキストも多く存在しています。

ところが、このフッテージを観ると、ちょっとびっくり。何だか楽しそうな表情が多いんですよ。「決して悪いことばかりじゃなかったんだよ!」といったところなのでしょうか。しかもYouTubeの時点でこの映像の解像度と音質!! 私は世に溢れるほどいらっしゃるビートルマニアの皆さんに比べたら半可通なレベルなのですが、それでもかなり期待が持てます。

本作にはポール・マッカートニーとリンゴ・スター、オノ・ヨーコ、オリヴィア・ハリスン(ジョージ・ハリスンの未亡人)も全面協力。すでに仕上がりへの期待や好意的なコメントを表明しています。

今回の『ザ・ビートルズ:Get Back』は、当時マイケル・リンゼイ・ホッグが撮影した55時間分の未発表映像と140時間のほぼ未発表の音源を基に編集されているそうです。それにしてもザ・ビートルズに限らず毎度思いますが、未発表素材って、随分と時間が経ってから「まだあんのかよ!?」ってくらいの量が出てくるものですよねえ(そしてあとどんだけ眠ってるんでしょうか?)。

ともあれ、この『ザ・ビートルズ:Get Back』がビートルズ後期の姿をより克明に伝えてくれることは確かな模様です。

ポールも先ごろステイホームのなか一人で作ったアルバム『マッカートニーⅢ』をリリースしたばかり(傑作!)。リンゴも同じくステイホーム期間に制作したという3月19日にニューEP『Zoom In』のリリースを発表しています。下記は『マッカートニーⅢ』のトレーラーとポールも参加した先行シングル「Here’s To The Nights」です。

また『ダブルファンタジー – ジョン&ヨーコ展』も東京のソニーミュージアム六本木にて2月18日まで開催中。ジョージについては1970年のセッションを収めたボブ・ディランのアルバム『1970』50周年記念盤が2月26日に発売されます。

そしてザ・ビートルズの各ストリーミングアカウントでは、「The Beatles – Study Songs Vol.1」、「The Beatles – Study Songs Vol.2」、「Meditation Mix」「The Beatles For Kids – Morning, Afternoon & Night」、 「Got To Get You Into My Life」、「The Beatles – Getting Better All Time」、「At Home With The Beatles」など、様々な用途に合わせたステイホームのための再編集EPがリリースされています。最新リリースは「The Beatles – We Can Work It Out」です。日々の時間に彩りを与えてくれるプレイリストとしてお薦めしておきます。

イギリスも日本も度重なるロックダウン/緊急事態宣言に苦戦を強いられていますが、本作の8月の全世界同時公開が実現することを願いつつ、『ザ・ビートルズ:Get Back』の完成を楽しみに待ちたいと思います。それではまた!

Text by Uchida Masaki


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内田 正樹

内田 正樹

エディター、ライター、ディレクター。雑誌SWITCH編集長を経てフリーランスに。音楽をはじめファッション、映画、演劇ほか様々な分野におけるインタビュー、オフィシャルライティングや、パンフレットや宣伝制作の編集/テキスト/コピーライティングなどに携わる。不定期でテレビ/ラジオ出演や、イベント/web番組のMCも務めている。近年の主な執筆媒体は音楽ナタリー、Yahoo!ニュース特集、共同通信社(文化欄)、SWITCH、サンデー毎日、encoreほか。編著書に『東京事変 チャンネルガイド』、『椎名林檎 音楽家のカルテ』がある。

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