5000人のオーディエンスとライブの安全性を検証
去る5月2日、ビートルズの地元でお馴染みイングランド北部リバプールで、イギリスではロックダウン解除後初のライブイベントが開催されました。こちらがBBCの記事とNMEのニュース映像です。
このライブの模様は日本のニュースでも紹介されていました。私はその映像をたまたま見ていたのですが、ヘッドライナーを務めたブロッサムズの面々がインタビューを受けていました。
マンチェスター出身のブロッサムズは2013年に結成された5人組のギターロックバンド。メンバーはトム・オグデン(Vo)、ジョー・ドノヴァン(Ds)、チャーリー・ソルト(B)、ジョシュ・デューハースト(G)、マイルス・ケロック(Key)です。当初はザ・ストーン・ローゼズ、オアシス、アークティック・モンキーズなどに憧れて演奏と曲作りを始めたそうで、バンド名の由来はストックホルムに実在するバーの店名とのこと。
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一頃は下火になったように感じられたUKのロックバンドも、THE 1975の登場からまた徐々に活気付き、ブロッサムズのようなバンドも躍り出てきました。この辺りの背景はちょうど雑誌『MUSIC MAGAZINE』の最新号(2021年5月号)で特集が組まれていてとても勉強になりました。ここ3年くらいの間にシェイム、ブラック・ミディ、ゴート・ガール、ブラック・カントリー・ニュー・ロード、スクイッドなど、突出したサウンドを鳴らすアーティストが次々とシーンに躍り出ている様子が分かります。ご興味のある方はぜひ書店で。
この辺り、無論、変異株の問題もあるのでまだまだどの国も油断は出来ませんが、厳しいロックダウンがなく、ワクチン摂取の遅れも致命的と叫ばれている日本は、かなり遅れた一進一退の状況を繰り返していると言わざるを得ません。
アメリカやロンドンに比べたら東京はまだ生のエンターテイメントを楽しめているという見方も出来るかもしれませんが、ともあれ緊急事態宣言延長のなか、日本のライブイベントは今も入場制限と自粛の狭間で都度判断を迫られています。
ライブにせよ映画館にせよ劇場にせよ美術館にせよ(もちろん「人の流れを包括的に制限したい」が大前提にあるとは言うものの)何より手厚い補償や科学的なエビデンス(の説明)も乏しいままでの自粛の要請は、やはりどうしても場当たり的に感じられてしまいます。個人的には政府からの一刻も早い現実的な文化事業への補償や「ニューノーマル」時代を見据えた前向きな施策を願うばかりです。
ちなみにこちらは7月9日にリリースされるザ・ローリング・ストーンズ『ア・ビガー・バン:ライヴ・オン・コパカバーナ・ビーチ』のDVD&ブルーレイのPRです。
*文中のアーティスト/アルバム及び楽曲タイトル表記はいずれも日本盤CDに準じています。
内田 正樹
エディター、ライター、ディレクター。雑誌SWITCH編集長を経てフリーランスに。音楽をはじめファッション、映画、演劇ほか様々な分野におけるインタビュー、オフィシャルライティングや、パンフレットや宣伝制作の編集/テキスト/コピーライティングなどに携わる。不定期でテレビ/ラジオ出演や、イベント/web番組のMCも務めている。近年の主な執筆媒体は音楽ナタリー、Yahoo!ニュース特集、共同通信社(文化欄)、SWITCH、サンデー毎日、encoreほか。編著書に『東京事変 チャンネルガイド』、『椎名林檎 音楽家のカルテ』がある。