華やかさよりもスタンダードが今の気分

ステンカラーこそ日本のコート史における不朽の定番

発行:講談社 絵本アイビーボーイ図鑑掲載。
そんなステンカラーコートだが、その呼び名はフランス語のスーティアン・コル(中世ヨーロッパのウエアに見られたヒダ襟を支える台襟)から由来したとの説がある。また、形的には1800年代半ば頃からスコットランド・インバーネス近郊の、バルマカーンにて着られていた重衣料がその源流と記す本もある。歴史は古いがこのバルマカーン型が一気に普及した背景には、ミッドセンチュリーの時代、アメリカ東部を拠点としたアイビーリーガーの存在が大きかった。本邦において馴染みが深いというのも、現代日本男子のお洒落原点と言われる1960年代以降、アイビールックを皮切りにステンカラーコートがしっかり外套の定番として受け入れられてきたからだと考えられる。
シンプルかつ味わい深い雰囲気作りが重要

JOSEPH CHEANEYのAVON CとCAIRNGORM 2R。
さて、着こなし方はどうすべきか。基本的にはどう着てもサマになるのがステンカラーの良いところで、多くの人が安心感を抱いているのもまさにそういう部分と思われる。しかしトレンド商売をしている身としては、いくつか提案したい装い方がある。ひとつはアランセーターなどとの組みあわせスタイル。オフホワイトの縄編みを効かせたローゲージのクルーネックにネルのグレーウールパンツ、良く磨いた黒革のウイングチップを合わせてみるのはどうだろう。その場合のコートは定番のベージュもアリだが、爽やかな印象のネイビーも見逃せない。今風のスタンダードでありながら、深い味わいを備えたルックスに仕上がるはずだ。すっきりスタンダードに仕上げる今季風と同時に、ラギッドな脇役を挟み込むレイヤードスタイルも、この秋冬期は注目が集まっている。
例えばジージャンやビンテージ系のハンティングベストなど。その他、粗いツイードのジレをカマしてもメリハリある装いになること確実だ。ボトムスは先ほどのグレーパンツでも良いし、ジーンズやチノでも上手くいくに違いない。もっとシティボーイを気取りたい人には、スウェットパンツ&白スニーカーとの合わせもおすすめしておきたい。
Text by T.Hasegawa / 長谷川 剛