お気に入りの1足を磨きあげる至福の時間。さらなる満足度アップが期待できるポイントを、BRITISH MADEスタッフの中川さんに教えてもらった。アウトソールの種類からグッドイヤーウェルトの特徴、修理タイミングなど、イギリス靴に欠かせない知識がしっかり身につくはず。
「シューメンテナンスの時間を、一層有意義なものとするために、いくつかのアドバイスを。まずはソールの種類を知りましょう。大きく分けるとレザーとゴムの2種類。イギリス靴で一般的なのは前者ですが、ケアがほとんど不要で水に強い後者も魅力があります。幾つかのバリエーションがありますので、次回のソール張替え時にチェンジを検討してはいかがでしょう?
次に高級靴のスタンダードといえる製法、グッドイヤーウェルトについて。ごくシンプルにいうなら、本体と靴底が分離できる作り。アッパー、インソールは一体構造ですが、アウトソールとの間にウェルトと呼ばれる細革が挟まれています。このウェルトと中底につくリブがあるおかげで、ソールだけを交換できます。ウェルトの仕様も複数あり、ルックスに若干の違いが。通な方はこだわって選んでらっしゃいますね。ウェルト=コバでもあり、コバとアッパーの隙間は汚れが溜まりやすいポイント。お手入れの際にはしっかりブラッシングを。同時にチェックしたいのがソールの傷み具合。特につま先とヒールはダメージを受けやすい箇所です。つま先はアウトソール、ヒールならトップリフトの修理だけで済む状態であれば、比較的短い期間で低コストに。少し早いくらいのタイミングで修理に出すのをおすすめします。
また、あまりに減りが早いようならサイズ選択ミスの疑いが。大きいと蹴ったり引きずったりしやすいため、かかとが擦れ、ライニングにも負荷がかかります。ジャストサイズを選ぶことは履き心地の良さを引き出すだけでなく、修理頻度まで下げる効果があるわけです。
最後に、お手持ちのパートナーたちが長生きするポイントを少々。保管時には必ずシューキーパーを入れてください。シワが伸び、反り返りも抑えられます。濡れてしまったら新聞紙で中の湿気を吸い取り、アウトソールまで乾くよう浮かせて放置を。ドライ後はアウトソール用クリームでのケアが有効です。お手入れ時は複数のブラシを使って。靴が喜び、ご自身の充実感にもつながると思いますよ」。
革靴では最もポピュラーであり、フォーマルシーンにも適した上品さを持つ。足に馴染み永く愛せる、通気性が良いなどの長所がある反面、水に弱い。
■ダイナイトソール
イギリス靴の合成ゴム底といえばこちら。100年以上の歴史を持ち、側面からは凹凸が見えないデザインのため、ビジネスでも使える。レザーソールより反り返りが少なく、非常に堅牢だがやや重い。
■クレープソール
柔軟で軽く、クッション性が高いため、長時間履き続けても疲れにくい。ただし、フォーマルには不向き。路面が高温だと、天然ゴム独特の粘りを感じることも。
■コマンドソール
山道や岩場といった過酷な環境にも対応し、最高クラスの耐久性を誇る。カントリー、ワーク、ミリタリー系のブーツでおなじみ。ドレス感こそないが、無骨な魅力は満点。
■ビブラムソール
世界最大のラバーソールメーカー、イタリアのビブラム社が製造するソールの総称。バリエーションが豊富で、新素材も積極的に導入する。どちらかというとカジュアル向け。
アッパーとインソールをアウトソールに直接縫い付けず、ウェルトと呼ばれる平面の1枚革を噛ませて接合する製法。丈夫で履きこむほど自分の足に馴染み、ソール交換もしやすい。
■グッドイヤーウェルト
ウェルトを中継してアウトソールとアッパーが繋がっている構造のため、ウェルト=コバが張り出している。コバの幅が広いほど、カジュアルな印象に。
■ストームウェルト
ウェルトに山型のヒダを作り、アッパーの縁に沿って縫い付ける。アッパーとソールの結合部が塞がるので、ホコリや水が侵入しにくい。
■スプリットウェルト
ストームウェルトの1種。山型のヒダを形成するのではなく、ウェルト自体を二股に裂き、上部分でアッパーとソールの隙間を塞ぐ。切りっぱなしの革がコバに出るのが特徴。
■ヴェルトショーン
アッパーをウェルトに被せて縫い付ける仕様。完全に隙間が埋まるので、水や異物侵入に強い。ただし、高い技術と専用マシーンが必要なため、ほかの仕様より少数しか生産できない。
※後編では、「ソール交換のタイミング」「革靴を長持ちさせるために」をお届けします。
「シューメンテナンスの時間を、一層有意義なものとするために、いくつかのアドバイスを。まずはソールの種類を知りましょう。大きく分けるとレザーとゴムの2種類。イギリス靴で一般的なのは前者ですが、ケアがほとんど不要で水に強い後者も魅力があります。幾つかのバリエーションがありますので、次回のソール張替え時にチェンジを検討してはいかがでしょう?
次に高級靴のスタンダードといえる製法、グッドイヤーウェルトについて。ごくシンプルにいうなら、本体と靴底が分離できる作り。アッパー、インソールは一体構造ですが、アウトソールとの間にウェルトと呼ばれる細革が挟まれています。このウェルトと中底につくリブがあるおかげで、ソールだけを交換できます。ウェルトの仕様も複数あり、ルックスに若干の違いが。通な方はこだわって選んでらっしゃいますね。ウェルト=コバでもあり、コバとアッパーの隙間は汚れが溜まりやすいポイント。お手入れの際にはしっかりブラッシングを。同時にチェックしたいのがソールの傷み具合。特につま先とヒールはダメージを受けやすい箇所です。つま先はアウトソール、ヒールならトップリフトの修理だけで済む状態であれば、比較的短い期間で低コストに。少し早いくらいのタイミングで修理に出すのをおすすめします。
また、あまりに減りが早いようならサイズ選択ミスの疑いが。大きいと蹴ったり引きずったりしやすいため、かかとが擦れ、ライニングにも負荷がかかります。ジャストサイズを選ぶことは履き心地の良さを引き出すだけでなく、修理頻度まで下げる効果があるわけです。
最後に、お手持ちのパートナーたちが長生きするポイントを少々。保管時には必ずシューキーパーを入れてください。シワが伸び、反り返りも抑えられます。濡れてしまったら新聞紙で中の湿気を吸い取り、アウトソールまで乾くよう浮かせて放置を。ドライ後はアウトソール用クリームでのケアが有効です。お手入れ時は複数のブラシを使って。靴が喜び、ご自身の充実感にもつながると思いますよ」。
ソールの特徴を知る
■レザーソール革靴では最もポピュラーであり、フォーマルシーンにも適した上品さを持つ。足に馴染み永く愛せる、通気性が良いなどの長所がある反面、水に弱い。
■ダイナイトソール
イギリス靴の合成ゴム底といえばこちら。100年以上の歴史を持ち、側面からは凹凸が見えないデザインのため、ビジネスでも使える。レザーソールより反り返りが少なく、非常に堅牢だがやや重い。
■クレープソール
柔軟で軽く、クッション性が高いため、長時間履き続けても疲れにくい。ただし、フォーマルには不向き。路面が高温だと、天然ゴム独特の粘りを感じることも。
■コマンドソール
山道や岩場といった過酷な環境にも対応し、最高クラスの耐久性を誇る。カントリー、ワーク、ミリタリー系のブーツでおなじみ。ドレス感こそないが、無骨な魅力は満点。
■ビブラムソール
世界最大のラバーソールメーカー、イタリアのビブラム社が製造するソールの総称。バリエーションが豊富で、新素材も積極的に導入する。どちらかというとカジュアル向け。
グッドイヤーウェルト製法とウェルトの種類
■グッドイヤーウェルト製法とは?アッパーとインソールをアウトソールに直接縫い付けず、ウェルトと呼ばれる平面の1枚革を噛ませて接合する製法。丈夫で履きこむほど自分の足に馴染み、ソール交換もしやすい。
■グッドイヤーウェルト
ウェルトを中継してアウトソールとアッパーが繋がっている構造のため、ウェルト=コバが張り出している。コバの幅が広いほど、カジュアルな印象に。
■ストームウェルト
ウェルトに山型のヒダを作り、アッパーの縁に沿って縫い付ける。アッパーとソールの結合部が塞がるので、ホコリや水が侵入しにくい。
■スプリットウェルト
ストームウェルトの1種。山型のヒダを形成するのではなく、ウェルト自体を二股に裂き、上部分でアッパーとソールの隙間を塞ぐ。切りっぱなしの革がコバに出るのが特徴。
■ヴェルトショーン
アッパーをウェルトに被せて縫い付ける仕様。完全に隙間が埋まるので、水や異物侵入に強い。ただし、高い技術と専用マシーンが必要なため、ほかの仕様より少数しか生産できない。
※後編では、「ソール交換のタイミング」「革靴を長持ちさせるために」をお届けします。