ドレススタイルを完成させる小物として忘れてはならないポケットチーフ。欧米ではテーラード仕立てのスーツやジャケットを着込んだ際は、特別な理由がないかぎりチーフを胸に挿すべきと多くのドレッサーが口を揃える必需品。しかし意外にも日本ではまだまだその精神やスタイルは定着していない。ドレススタイルにおける大人のマナーとして、いま一度ポケットチーフの存在を見直したい。そこでフォーマルスタイルのときはもちろん、ビジネスシーンやファッションをより個性に楽しみたいときなどなど、胸ポケットへのひと挿しで装いがグッとシックに華やかに引き立つ使い方を、注目のスタイリストと一緒に考えてみた。
古代エジプト人も愛用した
ポケットチーフのオリジンは古く、紀元前2000年まで遡ることができる。古代エジプト人は漂白したリネンや光沢あるシルクにてチーフ状の布辺を作り出し、富裕層などは街が発する悪臭を和らげるため、その布に香りを託し衣服内にしのばせていたという。この習慣は中世のヨーロッパにまで引き継がれ、今日のポケットチーフの原型になったという。
そして近代的なポケットチーフの使用に関しては14世紀、英国リチャード二世時代の王室記録が最古のものとされており、リチャードは刺繍やレースで縁取られた華美なハンカチーフを愛用していた。そして、チューダー朝やスチュアート朝の時代になるとプリントデザインの需要が高まり、バリエーションも増え、色とりどりの種類が作りだされるようになったチーフは、ある意味コレクターズアイテムとしての広がりを持つまでに進化する。
しかしポケットチーフの煩雑化を嫌ったマリー・アントワネットにより、当時のフランスでは法律によりチーフは正方形に限定され、より現代的なフォルムを獲得するに至ったという。意匠を凝らしたポケットチーフも、19世紀に入り英国を中心にツーピースのスーツが台頭すると、シックでシンプルな白無地などのスタイルに転換。それまでパンツのポケットに入れられていたチーフだが、コインなどで汚れることを避けることから胸ポケットに挿すスタイルが考案された。
以来、胸に挿すチーフは紳士のたしなみとして意匠化され定着し、正統派スタイルを心掛ける男子のマストアイテムとして、今日まで連綿と継承されているのである。
知っておきたい
基本にして万能。
呼び方は「ティービー・フォールド」。スクエア・フォールドとも呼ばれる最もポピュラーな畳み方。アメリカのテレビキャスターが考案したことからTVの名が付いたとの説がある。普段のビジネススタイル(スーツやジャケット&パンツスタイルを含む)から、パーティシーンや礼装にまで利用できる万能的な畳み方。
2. 平行する両角を合わせて半分に畳む。
3. 1/4の正方形になるよう再び畳む。
4. さらに半分に折りたたむ。
5. 胸ポケットの深さに合わせて下部を織り上げる
6. 角が外(腕)側に向くようポケットに挿し込む
ドレス精神を象徴する
折り目正しい“3つの山”
こちらは「スリーピークス」と呼ばれる挿し方。チーフそれぞれの角を立たせた畳み方が3つの“山”を思わせることからその名が付いた。華やかさのなかに折り目正しさが感じられることから、フォーマルスタイルに用いられることが多い。ブラックスーツやタキシードをはじめ、パーティや礼装のときに用いたい。
ソフトなエレガンス
日常使いしやすい畳み方のひとつが「パフド」。TVフォールドが折り目正しいエレガンスをミニマルに表現したものに対し、パフドスタイルはドレスの気分をモダンに合理化したものとも捉えられる。「パフ=ひと吹き」の意からも分かるように、この畳み方で大切なのは優雅な膨らみ感。ゆえにリネンよりシルクチーフにて楽しむ人も多い。
その日の気分が形になる
「クラッシュド」とは、簡単に言うとパフドスタイルの天地を逆にしたもの。つまりチーフの角のほうを上向きに露出させるスタイルだ。スリーピークスのように角を綿密に整えて畳まないことから、その時々で様々なフォルムに仕上げられることも醍醐味のひとつ。ビジネスシーンというよりはアンタイドや華やかなスーツスタイルのとき、それにカジュアルなジャケット&パンツの装いのシーンに適す。
この三枚を持っていれば
まず絶対に用意すべきが白無地リネンの一枚。「こちらは普段のビジネススタイルから休日のカジュアルなどのジャケット&パンツの装い、それにタキシードを含めた品格ある礼装にまで対応する万能品です(四方)」。その他、白を主体としつつ四辺のエッジにカラーをあしらったチーフは「シックでありつつ個性をさり気なく主張できるバランスに優れたデザイン。持っておくことで胸元を演出するバリエーションも確実に増えるでしょう(四方)」。エッジのカラーはネイビーやブルー、それにグレーなどが使い勝手も良い。パーティやレセプションなど華やかなシーンに出席することも考慮し、シルクのチーフも一枚用意しておくのが理想的。「写真はダークカラーをベースとしたものですが、白色ベースでももちろんOK。パーティシーンまで考慮するならカラーはやはりホワイトかネイビー、それにグレーが基本になります。また、配される柄ですが、小さめのドット(水玉)柄は極めて英国的な洒落感を備えているだけでなく、パーティシーンにもマッチする正統派のデザイン(四方)」。チェックも確かに英国的だが基本的にカントリーテイストに属するもの。図案によってはパーティシーンに不向きな場合があるのを覚えておきたい。
ドレイクスのアイテム一覧はこちら
https://www.british-made.jp/fs/british/c/drakes
古代エジプト人も愛用した
ドレッサー必携の服飾小物
ポケットチーフのオリジンは古く、紀元前2000年まで遡ることができる。古代エジプト人は漂白したリネンや光沢あるシルクにてチーフ状の布辺を作り出し、富裕層などは街が発する悪臭を和らげるため、その布に香りを託し衣服内にしのばせていたという。この習慣は中世のヨーロッパにまで引き継がれ、今日のポケットチーフの原型になったという。そして近代的なポケットチーフの使用に関しては14世紀、英国リチャード二世時代の王室記録が最古のものとされており、リチャードは刺繍やレースで縁取られた華美なハンカチーフを愛用していた。そして、チューダー朝やスチュアート朝の時代になるとプリントデザインの需要が高まり、バリエーションも増え、色とりどりの種類が作りだされるようになったチーフは、ある意味コレクターズアイテムとしての広がりを持つまでに進化する。
しかしポケットチーフの煩雑化を嫌ったマリー・アントワネットにより、当時のフランスでは法律によりチーフは正方形に限定され、より現代的なフォルムを獲得するに至ったという。意匠を凝らしたポケットチーフも、19世紀に入り英国を中心にツーピースのスーツが台頭すると、シックでシンプルな白無地などのスタイルに転換。それまでパンツのポケットに入れられていたチーフだが、コインなどで汚れることを避けることから胸ポケットに挿すスタイルが考案された。
以来、胸に挿すチーフは紳士のたしなみとして意匠化され定着し、正統派スタイルを心掛ける男子のマストアイテムとして、今日まで連綿と継承されているのである。
知っておきたい
ポケットチーフの主な素材
左上から時計周りに、ウール&シルク、シルク、リネン素材のチーフ
ポケットチーフの代表素材となるのがリネン。「ウールやシルクに比べて張り感ある素材は、折りたたんだ形状が崩れにくいという特性を備えています。ゆえにスリーピークなどエッジを立てるような畳み方に向いています(四方)」。リネンと双璧となる素材がシルク。しなやかさと深い光沢感を備えており、一見して華やか。「パフドスタイルなどにてその本領を発揮します(四方)」。第三の素材となるのがミックス系。昨今は複雑な味わいの素材を衣類に用いることが多い。「ブークレや太糸によるツイードなどを使ったジャケットなどに合わせるチーフは、味わいあるタッチのものがマッチします。写真のようなウール・シルクのチーフは、しなやかでありながらウール特有の温かみも兼備。紡毛感の強いスーツやジャケットに合わせると一層味わい深いルックスになることから注目を浴びています。また、カジュアルかつ素朴な素材使いのジャケットなどに合わせるものとして、昨今はコットンミックスのチーフも種類豊富にリリースされています (四方)」。コットンならではの砕けた雰囲気は、肩肘張らない昨今のカジュアルスタイルに非常にマッチするものなのである。 基本にして万能。
一番使える畳み方
呼び方は「ティービー・フォールド」。スクエア・フォールドとも呼ばれる最もポピュラーな畳み方。アメリカのテレビキャスターが考案したことからTVの名が付いたとの説がある。普段のビジネススタイル(スーツやジャケット&パンツスタイルを含む)から、パーティシーンや礼装にまで利用できる万能的な畳み方。 畳み方の手順をご紹介
1. まずは広げた正方形の状態にする。2. 平行する両角を合わせて半分に畳む。
3. 1/4の正方形になるよう再び畳む。
4. さらに半分に折りたたむ。
5. 胸ポケットの深さに合わせて下部を織り上げる
6. 角が外(腕)側に向くようポケットに挿し込む
ドレス精神を象徴する
折り目正しい“3つの山”
こちらは「スリーピークス」と呼ばれる挿し方。チーフそれぞれの角を立たせた畳み方が3つの“山”を思わせることからその名が付いた。華やかさのなかに折り目正しさが感じられることから、フォーマルスタイルに用いられることが多い。ブラックスーツやタキシードをはじめ、パーティや礼装のときに用いたい。 ソフトなエレガンス
漂う膨らみ感に注目
日常使いしやすい畳み方のひとつが「パフド」。TVフォールドが折り目正しいエレガンスをミニマルに表現したものに対し、パフドスタイルはドレスの気分をモダンに合理化したものとも捉えられる。「パフ=ひと吹き」の意からも分かるように、この畳み方で大切なのは優雅な膨らみ感。ゆえにリネンよりシルクチーフにて楽しむ人も多い。 その日の気分が形になる
アーティスティックな畳み方
「クラッシュド」とは、簡単に言うとパフドスタイルの天地を逆にしたもの。つまりチーフの角のほうを上向きに露出させるスタイルだ。スリーピークスのように角を綿密に整えて畳まないことから、その時々で様々なフォルムに仕上げられることも醍醐味のひとつ。ビジネスシーンというよりはアンタイドや華やかなスーツスタイルのとき、それにカジュアルなジャケット&パンツの装いのシーンに適す。 この三枚を持っていれば
ひとまず安心
まず絶対に用意すべきが白無地リネンの一枚。「こちらは普段のビジネススタイルから休日のカジュアルなどのジャケット&パンツの装い、それにタキシードを含めた品格ある礼装にまで対応する万能品です(四方)」。その他、白を主体としつつ四辺のエッジにカラーをあしらったチーフは「シックでありつつ個性をさり気なく主張できるバランスに優れたデザイン。持っておくことで胸元を演出するバリエーションも確実に増えるでしょう(四方)」。エッジのカラーはネイビーやブルー、それにグレーなどが使い勝手も良い。パーティやレセプションなど華やかなシーンに出席することも考慮し、シルクのチーフも一枚用意しておくのが理想的。「写真はダークカラーをベースとしたものですが、白色ベースでももちろんOK。パーティシーンまで考慮するならカラーはやはりホワイトかネイビー、それにグレーが基本になります。また、配される柄ですが、小さめのドット(水玉)柄は極めて英国的な洒落感を備えているだけでなく、パーティシーンにもマッチする正統派のデザイン(四方)」。チェックも確かに英国的だが基本的にカントリーテイストに属するもの。図案によってはパーティシーンに不向きな場合があるのを覚えておきたい。 ドレイクスのアイテム一覧はこちら
https://www.british-made.jp/fs/british/c/drakes