ウィリアム・チャーチ氏(左)と福田洋平氏(右)
日本人ビスポークシューメーカーとして、今や世界に名を馳せる福田洋平さん。チャーチを始め英国の名だたる老舗で修行を積み、帰国後2008年より「ヨウヘイ フクダ」としてビスポークシューズの製作を開始しました。現在では世界からも認められ、海外からの顧客の方が多いという、まさに日本のビスポークシーンを牽引する靴職人です。今回ジョセフ チーニーのオーナーであるウィリアム・チャーチさんが来日し、福田さんの工房を来訪。英国靴やノーザンプトンの話など、スペシャルな対談が実現しました。 福田さんは19歳で渡英し、靴職業訓練学校のトレシャムインスティテュートで英国の伝統的な靴づくりを学びました。
ウィリアム「福田さんの工房に初めてお伺いしましたが、まるでノーザンプトンに古くからある個人のSHOPのようですね。ノーザンプトンを物語る時に欠かせないのが、グッドイヤーウェルト製法です。世界的に知られた製法で、高度な技術が必要とされます。ただこの技術を持った工場は今では数が減り、1970年代に100軒以上あったものが現在では10軒にも満たない数に減少しています。」
福田「工場の減少は残念なことではありますが、残っている工場は確かな技術とともに、それぞれのハウススタイルを持っています。ですので各メーカーも信頼して靴作りを任せられるのです。」
福田洋平さんの工房
福田「修行時代、ノーザンプトンで過ごし、靴づくりに没頭していました。その時感じたことは、ノーザンプトンの職人は誇りを持って仕事をし、会社に対しての愛が深いということ。その結果として10年前に買った靴が今でも履け、この後10年後も履き続けられるという、クオリティの高さと普遍的なデザインを持つ英国靴の特徴が生まれたと思います。ただ今日だけのために靴を作っていない、そんな精神を感じとりました。」 世界中からのオーダーを抱えるヨウヘイ フクダのシューズ。現在ビスポークは完成までに約23ヶ月かかるという。
福田「私が追求している靴は“最高の普通”であるということ。長く履くことを前提に、いつの時代でも輝き続けるクラシックな靴を目指しています。今年の9月からはかねてから準備していた既成靴もスタートすることになりました。」
福田さんはチーニーの靴についてはどのように感じているのであろうか?
6184ラストを採用したジョセフ チーニーのシューズ
福田「一般的な英国靴らしさがよく出ていますね。クオリティが高く、トラディショナルなデザインで、最もポピュラーな英国的なシューズと言えると思います。」ウィリアム「もともとチーニーは、他社ブランドの下請けも行なっていたこともあり、フレキシブルな靴作りに対応できることが特徴です。ジャーミンストリートにフラッグシップのお店がありますが、ロンドンの東のエリアであるコベントガーデンやスピタルフィールドなどにも店舗を広げ、若い客層に向けての展開にも力を入れています。」
福田「昨年チーニーの6184ラストのモデルを手に入れ、ヴィンテージルックに加工してみました。履いてみてあらためてわかったのですが、価格に対しての革のクオリティの高さに驚きました。」
ウィリアム「今日はチーニー225ラストを使用したモデルを履いています。125周年に記念して作られた125ラストに近いですが、スクエアトゥの端正なデザインで気に入っています。」
これからのふたりが目指す靴作りとはどういったものなのだろうか?
左:ジョセフ チーニーの「CAIRNGORM 2R」と「ALFRED」。右:ヨウヘイ フクダの2足。
福田「靴を通して様々な出会いや体験をさせてもらいました。特にイギリスでは、職人さんやメーカーの方々が靴作りを丁寧に教えてくれたことで、今の自分があります。その恩返しのため、ノーザンプトンや英国の若者の靴作りの環境をサポートしていきたいと考えています。そして日本でも靴作りに対してより良い環境を作りながら、後継者につなげていきたい。そんな思いで靴を作っています。」 Youhei Fukuda
住所:東京都港区北青山2-12-27 BAL青山 2F
TEL&FAX:03-6804-6979
E-mail:info@yoheifukuda.jp
ホームページ:http://youheifukuda.jp
アクセス:東京メトロ銀座線 外苑前駅より徒歩4分