本シリーズでは「不思議なきっかけでイギリスとつながった」「気づいたらイギリス製品が大好きになった」というブリティッシュメイド スタッフのライフスタイルや愛用品に迫りたいと思います。
第1回目は、ブリティッシュメイド 青山本店の川口弘樹さんに、20代の頃の革靴へのこだわりや、20年間愛用しているというBarbour(バブアー)のビデイルジャケットについて話を聞きました。
アウトローな男たちに憧れていた
―学生時代は何を勉強しましたか。
川口:僕は、文学部の歴史学科で考古学を専攻していました。インディ・ジョーンズが好きだったので。
―じゃあ2022年に公開予定の『インディ・ジョーンズ5』も観ないといけませんね!
川口:え!まだ続きが!?ハリソン・フォードは80歳近いですよね!?じゃあショーン・コネリーと同じお父さん役になるのかな。当時、僕はとにかく不思議なものが好きでした。ただ考古学の授業は当たり前ですがイメージとはちょっと違っていました。不思議な遺跡で転がってくる岩に襲われるとか、そういうのはなかったので(笑)
―インディ・ジョーンズだけではなく、スティーブ・マックイーンにも憧れていたとか。
川口:僕は影響を受けやすいんです。映画『大脱走』を観たらもう、壁にボール当てて取ってみようかなとか。
―アウトローな男に憧れていたのですね。
イギリスとの出会いはカムデンマーケット
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―イギリスに触れたきっかけを教えてください。川口:もともとファッションが好きでしたが、イギリスに限定しているわけではありませんでした。それでも、イギリスに縁があるのかなと感じるのは、生まれて初めての海外旅行がロンドンだったことです。20歳のとき、友人がたまたまロンドンのマーケットに行こうと誘ってくれて。
―ロンドンはどこを巡りましたか。
川口:カムデンマーケットに古着を探しに行きました。あとは公園をひたすら歩いて。お金がなかったし、男2人で別行動をしていたので。カムデンマーケットは、当時からパンキッシュな人が多かったです。でも、観光用に商業化されすぎている印象でした。マーケットといっても、ちゃんとブースになっていましたし。そこで変なものをいろいろ買って帰りましたよ。帰国して洗ったらめちゃくちゃ汚くて、びっくりするくらい水が真っ黒になって。これが海外のモノかと思いました(笑)
「革靴しか履かない」と決めていた頃
―普段からそういうスタイルだったのですか。
川口:20代半ばから30代半ばまでは「革靴しか履かない」と決めていました。ただ、子どもができてからは、休日に革靴を履く機会が減ってしまいました。しかし最近、革靴しかはかないポリシーを貫いている青山店スタッフの厚井さんに影響されて、子どもとの散歩でも革靴を履いて出かけてみています。その時に子どもから「かっこいい!」と言わることもあるので、これからは革靴を履く機会も増えそうです!
―20代半ばというと、今から20年くらい前ですね。当時も、イギリス製の革靴は男性を惹きつけていましたか。
川口:いえ、実は20年ほど前に「クラシコ・イタリア」(※1)ブームというのがあって、それこそイギリスやイタリアだけでなく、さまざまな国のレザーシューズが日本で紹介されました。この辺りから本格的にレザーシューズが日本の男性に認知されてきたんじゃないかなあと記憶しています。革靴専門の雑誌や媒体もこの辺りから見かけるようになりました。
もちろんこのブームの前からChurch’s(チャーチ)やAlden(オールデン)など、革靴好きな人はすでに履いていましたね。
―毎日革靴を履いていた頃は、どんなコーディネートをしていましたか。
川口: 圧倒的にデニムが多かったです。最初は、どの革靴がカジュアルとか、そういうのはよく分からず履いていましたが、それも次第に分かってきて、それからはちゃんとドレスシューズにネクタイをしめて、キレイめなコーディネートでお店に立つようになりました。特に当時はアメトラっぽいスタイルが好きでよく取り入れていました。最近はまた若い頃のように革靴をカジュアルに履いていますね。
―いつもきちっとされている印象ですが、正統派なスタイルがお好きですか。
川口:僕はおしゃれじゃないので、着くずすなんてできません。着くずすって何?ヌケ感って何?(笑)定番アイテムは安心感があるじゃないですか。それをちゃんと着れば、ちゃんと見える。だからでしょうか、持っているものも定番と言われるアイテムが多いですし、定番アイテムだけが手元に残っていく。このバブアーのビデイルジャケットもそんなアイテムの1つです。ただ、真面目に着すぎると固い印象になりそうなので、軽く羽織るくらいを意識はしています。
20年着つづけたバブアーのビデイルジャケット
川口:はい。古着を買うか迷いましたが、あのワックスの臭いとベタベタを乗り越えてこそ、真のバブアーユーザーだ!と勝手に思い込んでいたので新品を購入しました。当時はフリーターでお金もなかったので、財布の中身はもぬけの殻になってしまいました。
―なぜビデイルジャケットを買おうと思いましたか。
川口:アパレルで働いている友人がいたのですが、彼がすすめてくれました。僕がブリティッシュメイドで働くきっかけになったのも彼の存在が大きい気がします。
―このジャケットを着てどこに行きましたか。
川口:どこに行くのも一緒でした。とにかく毎日着ていたのを覚えています。ビデイルジャケットはウールでもキルティングでもないので、実は冬に着るにはちょっと寒いんですが、着ていると気分が上がるというか、格好良く見えているんじゃないかと勝手な妄想をしながら毎日着て、街中を歩いていました。今思うとちょっと恥ずかしいですね。
川口:オイルが抜けてしまいましたね。最近お手入れをさぼっていたので・・・。
―オイルは足せるものですか。
川口:足せますよ。ワックスも販売されていますし、お願いすれば対応してくれるお店もあったと思います。僕も今回をきっかけにリプルーフ(※2)することにします!
―オイルでベタベタした状態だと、他の洋服に付いたり、臭いが移って大変だったりしませんか。
川口:バブアーを持っている人は、おそらく裏返してハンガーに掛けていると思います。クローゼットに多少臭いはこもりますが、直接他のアウターと触れることもないのでお勧めです。
バブアー2大人気モデル ビデイル VS ビューフォート
川口:単純に好みですね。あとたしか当時は、ビデイルのほうが流行っていたような記憶があるのでそれに引っ張られているのかも……。当時、ビューフォートは、スーツやジャケットを着ている人が、コートのように羽織って着ている印象が強かったので、カジュアルの多い僕のスタイルから、ビデイルにしたと思います。
―なるほど。でも、ビューフォートは本来、狩猟用ジャケットとして開発されましたよね。そういうアウトドアのアイテムを、スーツのようにキレイめなアイテムに合わせるのは少し不思議な気もします。“ビューフォート×スーツ”は、日本的なコーディネートなのでしょうか。
川口:どうでしょうか。ここまでスタイルが画一されているのは日本だけのような気もしますが……。ただ、イギリスでも狩猟の際にはジャケットを着用し、その上からビューフォートを羽織ることもあるようなので、スーツやジャケットの上にビューフォートを合わせる日本のスタイルは、実はそんなに違和感がある合わせではないかもしれませんね。
川口:ジーパン、チノパン、たまにグレーのトラウザーズ。でも圧倒的にジーパンが多かったです
―最近はどうしてビデイルの登場回数が少なくなったんですか
川口:若干傷んできたので頻度を下げているのもありますが、好みのスタイルが変わってきたのもあるかもしれません。ただ、先ほども言いましたが、定番はいつでもまた着られることが大きな魅力です。またビデイルを毎日でも着たいと思う日がきっと来ると思っています。
―ではそれまでに修理して、リプルーフしておきたいですね!
川口:そうですね。バブアーはちゃんとお手入れをすればずっと着られます。古着屋に行けばもっと古いバブアーが現役でいますから。
最後に、ブリティッシュメイド青山本店の魅力を教えてください!
川口:面白いこと、ちょっと違うことに挑戦したいと思っているスタッフが多いかなと思います。青山店のスタッフは、私も含め、前職がアパレルではない人が多いので、さまざまな経験値から思いがけないアイデアが出てきます。僕もそういうアイデアが好きで、受け入れたくなってしまう。だから、他のブリティッシュメイドのお店とは少し毛色の異なるイベントを開催したりもしています。
―青山本店はお客様にとってどういうお店ですか。
川口:「楽しくお話してください」と言えるお店です。例えば、青山店スタッフの安藤さんは、いつもお客様と笑いながらお話をしています。お客様と笑い合えるというのは、引き出しが多いからだと思っています。
―では、おしゃべりをしながら、時間をかけてお買いものを楽しみたいお客様にはぴったりですね。
川口:はい、話好きなスタッフが多いですし、他のブリティッシュメイドのお店とは違う時間の流れを感じていただけるかもしれません。
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BRITISH MADE
英国ブランドに特化した輸入総代理店、渡辺産業の直営店。"Stories of British Life"をコンセプトに、「英国のライフスタイルから生まれるモノやコト」をお届けしているお店です。