※2016年6月28日に掲載したものを再掲しています。
寒い冬の日に降る突然の雪やにわか雨、夏のゲリラ豪雨に、秋の長雨……。一年を通してなにかと不便なことが多い雨ですが、ことファッションにおいて特に頭を悩ませるのが、濡れてしまった革靴のケアです。東京・青山の骨董通りにて靴磨き専門店「Brift H」を主宰し、革靴の諸問題を解決するプロとして靴好きに信頼されている長谷川裕也さんに正しいケアの方法をお聞きしました。
シューツリー 」の3つ。シューツリーはニスが塗られていない、吸湿性のいいものを用意しましょう。
寒い冬の日に降る突然の雪やにわか雨、夏のゲリラ豪雨に、秋の長雨……。一年を通してなにかと不便なことが多い雨ですが、ことファッションにおいて特に頭を悩ませるのが、濡れてしまった革靴のケアです。東京・青山の骨董通りにて靴磨き専門店「Brift H」を主宰し、革靴の諸問題を解決するプロとして靴好きに信頼されている長谷川裕也さんに正しいケアの方法をお聞きしました。
まるで高級バーのような雰囲気が漂う店内。
濡れた革靴メンテナンスに欠かせない、3つのアイテム
雨に濡れた革靴に対処する際、まず必要なのは「雑巾」「新聞紙」「ケア1/パーツ全体を濡らす
「雨が革に浸透して色が変わってしまった部分は、そのまま放置しておくとシミになって残ることがあります。これを防ぐために、雨で変色した部分のパーツ全体を濡れ雑巾で拭いていきます。乾いた時にムラにならないように、しっかりと濡らしてください。水よりもお湯を使った濡れ雑巾の方が浸透しやすいのでオススメです」ケア2/新聞紙を詰める
「パーツ全体を濡らし終えたら、靴の中に新聞紙を詰めます。靴の形が崩れないように注意しながら、たっぷりめに新聞紙を入れることが大事です。できれば、帰宅後すぐにここまでの工程を終わらせて、就寝前に新聞紙を新しいものに入れ替えておくのがいいでしょう」ケア3/風通しのいい場所で、1日乾かす
「朝になったら新聞紙を抜いて、直射日光の当らない、風通しのいい場所へ。すぐに下駄箱に収納することは避けてください。アッパーが乾いたと思って安心しがちですが、まだソールが濡れていることが多く、アウトソールやインソールにカビが発生する要因になってしまいます。アッパーだけでなくソールまでがしっかりと乾くように、少しソールを浮かした状態で1日置いておきましょう」乾いた後は、雨に強くなるケアを
靴を乾かした後には、馬毛のブラシでホコリを払って、クリーナーで汚れを拭くという通常のケアに移行してもいいのですが、ここでは「雨によって失われた栄養分をクリームで補充し、ワックスでシミ対策を施す」というふたつのケアに特化して解説します。ケア4/クリームで革に潤いを与える
「1日置いてアッパーからソールまでが乾いたのを確認したら、シューツリーを入れます。その後、たっぷりとクリームを塗って革に潤いを与えていきます。乾燥した革にしっかりとクリームを入れるためには、指で塗り込んでいくのが一番です。手の温もりによって、クリームが浸透しやすくなるからです。その時の革のコンディションにもよるのですが、あるところまでクリームを入れていくと飽和状態になるというか、革がクリームを弾いてきます。革の表面でクリームが泳ぎだすまでたっぷりと塗ってあげてください。それから豚毛のブラシでクリームを馴染ませて、乾いた布で拭きます」ケア5/ワックスを塗るとシミの予防策にもなる
「雨に濡れた時にシミができるのを防ぐためには、ワックスで革の表面に膜を作ってあげるのが得策です。シミになりやすいアッパーのキワ部分にたっぷりと塗っていきましょう。ただし、履くとシワが生まれる甲の部分にワックスを塗りすぎると、革がヒビ割れてしまう原因にもなるので注意が必要です」雨に負けない靴を用意しておくのが賢い選択
雨にやられた後で後悔しないためには、素材や作りの面で、できるだけ雨に強い靴をワードローブに加えておくということも重要。その代表例として挙げられるのが、写真の上段に並んだ2足です。右は、ジョセフ チーニーの「EDEN C」。アッパーには独・ウィンハイマー社の撥水性があってキズが目立ちにくいシボ革を採用しています。グッドイヤー製法ですがアッパーとウェルト、アウトソールを一回で縫い付けるヴェルトショーン仕様なので、アッパーとウェルトの隙間が無くなり、雨の侵入を防ぎます。ソールは、グリップ力と耐水性が魅力のコマンドソールです。左は、チャーチの「GRAFTON R」。樹脂コーティングされたポリッシュドバインダーカーフが雨に強く、ストームウェルトとダイナイトソールも雨の日に効力を発揮します。まずは正しい靴選び、もしもの時には正しいケア
「履き古した革靴を雨用に使っている人も多いかと思いますが、そうではなくて、雨でも履ける格好いい革靴を用意しておくと安心です。それでもゲリラ豪雨など、突然の雨にやられてしまうことがあります。そんな時には適切なケアをすることが必要。ここで解説した5段階のケアをすることで、靴の寿命は変わります。いい革靴を履くのであれば、正しい知識を身につけておいていただきたいですね」Brift H AOYAMA
東京都港区南青山6-3-11 PAN南青山204
☎︎03-3797-0373
営業時間
平日:11:00~19:00(カウンターでの靴磨きLO.18:00)
土日祝:11:00~19:00(カウンターでの靴磨きLO.18:00)
定休日:火曜日
http://brift-h.com