「冬は寒い」
近年、この価値観が少しずつ変わってきている気がします。とはいえ、年中常夏になったわけではなく、極端に寒くなる時期が短くなっているかもしれません。「寒いは寒いのだけど、寒すぎない」という微妙な“気温のゲームチェンジ”を感じているのではないでしょうか。
私が住む東北ではまだまだ寒いので、そのゲームチェンジはあまり感じていないのですが……。東京都心にお住まいの方々は、11月でも20℃いく日があるとか(今も都内出張の合間にタイピングしてますが暖かいですね)。
もはや、「冬っていうか秋とか春よりじゃない?」とすら感じています。その影響か「アウターは要らない」なんていう考え方になっている方も多いのでしょう。
ただ一言、言わせていただきたい。
「アウターは要るよ!」
気温が極端に寒くならなくなっただけであり、段階的に寒さが増すことは変わりません。多分、その辺りの理解は「寒くなってから」理解してくるのかなとも感じます(毎年のことなんだけど)。
ただ、一言で「アウターは要る」と言っても、昔のようにパンパンに詰まったダウンや重苦しいコートは要りません。というか、それらはファッション的には楽しくないんです。だって、着てしまったら最後、「それ着ればいいや」のマインドセットになってしまうから。
だからこそ、私はあくまでも「それ一枚を着れば暖かい」みたいなところは狙わずに、「重ねる」ことで生まれるバランスを意識しております。 今回は、そんなスタイルにおける“最適解”とも言える一枚をご案内します。 もしよければ、お付き合いください。
時代の中に取り残されたクラシックなダウンベスト。これだけ世の中にミリタリー由来の化繊系ファイバーダウンの勢いがあると昔ながらのダウン&フェザーは肩身が狭くなってしまいます。今や国内で制作するところも僅かになりました。圧倒的なクオリティと暖かさを誇るものの、恐ろしく生産効率が悪いから。
だからといって某アメリカアウトドアブランドの古物を買おうとなると、ピロピロと羽が出てくるから鬱陶しいし抜けば抜くほどに出てくるのだから……ゲンナリ。 昔は技術も知識も少ない。そして、軽く30年も前のものが劣化していないわけがなく、そういう運命を辿ってしまいます。そんな時に活躍してくれるのが今回紹介するダウンベスト。
見た目のクラシックさと快適さの黄金比であるダウン90%フェザー10%(ハンガリー産のホワイトグースです)の間違いのないスペック感に、目立たないながらも実は革新的なディテールを散りばめることでアップデートされた名品。
そんなダウンベストを主役にしながら添えるように地味にセットアップを入れ込むスタイリングを組みました。上質な綿(スヴィン)であることを容易に伺える独特な艶感と絶妙とも言える色合い。インナーには薄手のニットを入れ込み、それらをミルフィーユ状に重ねて、最後にダウンベストで締める。
歩いていると腕を振る関係からか暑くなる腕周り。案外お腹と背中が暖かいと、街を少し歩くには丁度いいんです。そして何よりもレイヤードが楽しい。 今回はダークカラーをベースにグラデーションを意識したスタイルにしましたが、もう少し遊びのあるものを加えても、難なく着こなすことができるはずです。 様々な色や質感と合わせやすい『落ち着いたカラーリング』であることもこのダウンベストの良い点だと言えるでしょう。
決してわかりやすいアイテムではないけれど、実は曲者。一見クラシックなダウンベストなのに、ポケットが6個だったり、案外Aライン気味のシルエットでジャケットを上から着られたり、裾に隠れてドローがついていたり。
冒頭でもご説明させていただいたように極端なスペックのヘヴィアウターが果たして必要なのか?と疑問に思う今。
もしかすると、こういったダウンベストというアイテムはある意味正解なのではとも感じています。程よいクラシック感とスタイルを問わないデザインのバランス。案外、探してみるとこの塩梅がなかったりします。新しい冬の価値観として捉えていただければ幸いです。今回ご案内した品は山形のtatazumaiizumaiにてご案内をスタート致します。是非とも店頭にてお試しいただければ幸いです。
それでは!
※こちらの記事は、業 -nariwai- の公式noteより転載しています。
近年、この価値観が少しずつ変わってきている気がします。とはいえ、年中常夏になったわけではなく、極端に寒くなる時期が短くなっているかもしれません。「寒いは寒いのだけど、寒すぎない」という微妙な“気温のゲームチェンジ”を感じているのではないでしょうか。
私が住む東北ではまだまだ寒いので、そのゲームチェンジはあまり感じていないのですが……。東京都心にお住まいの方々は、11月でも20℃いく日があるとか(今も都内出張の合間にタイピングしてますが暖かいですね)。
もはや、「冬っていうか秋とか春よりじゃない?」とすら感じています。その影響か「アウターは要らない」なんていう考え方になっている方も多いのでしょう。
ただ一言、言わせていただきたい。
「アウターは要るよ!」
気温が極端に寒くならなくなっただけであり、段階的に寒さが増すことは変わりません。多分、その辺りの理解は「寒くなってから」理解してくるのかなとも感じます(毎年のことなんだけど)。
ただ、一言で「アウターは要る」と言っても、昔のようにパンパンに詰まったダウンや重苦しいコートは要りません。というか、それらはファッション的には楽しくないんです。だって、着てしまったら最後、「それ着ればいいや」のマインドセットになってしまうから。
だからこそ、私はあくまでも「それ一枚を着れば暖かい」みたいなところは狙わずに、「重ねる」ことで生まれるバランスを意識しております。 今回は、そんなスタイルにおける“最適解”とも言える一枚をご案内します。 もしよければ、お付き合いください。
ダウンベスト ¥97,900(Caledoor)
時代の中に取り残されたクラシックなダウンベスト。これだけ世の中にミリタリー由来の化繊系ファイバーダウンの勢いがあると昔ながらのダウン&フェザーは肩身が狭くなってしまいます。今や国内で制作するところも僅かになりました。圧倒的なクオリティと暖かさを誇るものの、恐ろしく生産効率が悪いから。
だからといって某アメリカアウトドアブランドの古物を買おうとなると、ピロピロと羽が出てくるから鬱陶しいし抜けば抜くほどに出てくるのだから……ゲンナリ。 昔は技術も知識も少ない。そして、軽く30年も前のものが劣化していないわけがなく、そういう運命を辿ってしまいます。そんな時に活躍してくれるのが今回紹介するダウンベスト。
見た目のクラシックさと快適さの黄金比であるダウン90%フェザー10%(ハンガリー産のホワイトグースです)の間違いのないスペック感に、目立たないながらも実は革新的なディテールを散りばめることでアップデートされた名品。
そんなダウンベストを主役にしながら添えるように地味にセットアップを入れ込むスタイリングを組みました。上質な綿(スヴィン)であることを容易に伺える独特な艶感と絶妙とも言える色合い。インナーには薄手のニットを入れ込み、それらをミルフィーユ状に重ねて、最後にダウンベストで締める。
歩いていると腕を振る関係からか暑くなる腕周り。案外お腹と背中が暖かいと、街を少し歩くには丁度いいんです。そして何よりもレイヤードが楽しい。 今回はダークカラーをベースにグラデーションを意識したスタイルにしましたが、もう少し遊びのあるものを加えても、難なく着こなすことができるはずです。 様々な色や質感と合わせやすい『落ち着いたカラーリング』であることもこのダウンベストの良い点だと言えるでしょう。
決してわかりやすいアイテムではないけれど、実は曲者。一見クラシックなダウンベストなのに、ポケットが6個だったり、案外Aライン気味のシルエットでジャケットを上から着られたり、裾に隠れてドローがついていたり。
冒頭でもご説明させていただいたように極端なスペックのヘヴィアウターが果たして必要なのか?と疑問に思う今。
もしかすると、こういったダウンベストというアイテムはある意味正解なのではとも感じています。程よいクラシック感とスタイルを問わないデザインのバランス。案外、探してみるとこの塩梅がなかったりします。新しい冬の価値観として捉えていただければ幸いです。今回ご案内した品は山形のtatazumaiizumaiにてご案内をスタート致します。是非とも店頭にてお試しいただければ幸いです。
それでは!
※こちらの記事は、業 -nariwai- の公式noteより転載しています。
業 -nariwai-
〒980-0014 宮城県仙台市青葉区本町2-6-23 ビブレスタオフィスビル2F
TEL:022-796-2240
オンラインストア:http://www.nariwai-online.com/
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山下 拓郎
1987年生まれ、一児の父。仙台にある「nariwai」という店舗のディレクションおよびバイイングを担当。2022年には、地元である山形に新店舗「tatazumaiizumai」をオープン。自分の中で気になる事や物を不定期にブログに綴っている。
Blog:https://note.com/takuro_yamashita
Instagram:@takuro__yamashita