お土産としても人気のある紅茶で、僕の周りでも「好きな紅茶は?」と聞くとよく名前のあがるアールグレイ。
イギリスといえば紅茶、紅茶といえばイギリスということで、全12回にわたって紅茶のコラムを書いていきたいと思います。このコラムを通じてイギリス人の精神性を感じ、紅茶をもっと好きになって楽しんでいただけたら幸いです。
お土産としても人気のある紅茶で、僕の周りでも「好きな紅茶は?」と聞くとよく名前のあがるアールグレイ。 ただ、このアールグレイ、アッサムやダージリンと並んで紅茶の産地のことだと思っている方が沢山います。 でもこれは間違いで、アールグレイは柑橘系のベルガモットで香りをつけた紅茶のことをさします。
つまり、アップルティーなどと同じフレーバードティーなんですね。
ベルガモットは日本ではあまり馴染みがないのですが、ミカン科の果実です。
では、何故このベルガモットで香りをつけた紅茶がアールグレイという名前になったのでしょう。 その由来は、1830年代のイギリス首相、第二代グレイ伯チャールズ・グレイで”アールグレイ” とは「グレイ伯爵」という意味です。
店頭でほとんど見かけることがない、ミカン科の常緑高木樹の柑橘類。
当時の中国国内で愛飲されていた正山小種を飲んだチャールズ・グレイがその味をとても気に入って茶商に開発を命じました。 しかしながら、正山小種は、龍眼(ライチに近い味わいの東南アジアの果物)を使ったお茶であり、龍眼はイギリスでは手に入らないため、シチリア島で取れるベルガモットを用いて着香しそれを模して誕生した紅茶がアールグレイだといわれています。
なお、グレイ伯がアールグレイの開発を命じたとされる茶商は不明であり トワイニングが始めたのかジャクソンが始めたのか、いまだに定説はないようです。
?ジャクソン社の主張する所によれば、第二代グレイ伯の出入り商人の店をジャクソン社が吸収したとのこと。
一方、トワイニング社によれば二代目の頃は違うものの、代々のグレイ伯とトワイニングは親しく付き合っており、第五代グレイ伯がトワイニングを元祖として認めていることが根拠として挙げられています。
皆様も、ブランドや会社によって様々なバリエーションのあるアールグレイを飲み比べて楽しんでみてはいかがでしょうか。
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野上富巨
紅茶のカフェ「nt(ニト)」店主。幼い頃から紅茶が好きで、様々な飲食業を経て2013年3月紅茶のカフェ「nt(ニト)」を東京西荻窪で開業。日本紅茶協会認定ティーアドバイザー。