予想しづらいイギリスの夏の間でも、1つだけ確かなことがあります。美しくてヘルシーな夏のベリーがたくさんあることです。
夏、私たちはその真っ只中にいます。暑くて長い一日、暑い中起きて、暑い中仕事に行き、暑い中家に帰り、暑い中ベッドに行きます。これが東京の生活で、私はこの生活が大好きです!イギリスでの生活を思い返してみると、これとは全く違う思い出が浮かんできます。晩春はまだジャケットやセーターのような冬服は片づけませんし、もしかしたら夏でも必要になるかもしれません。もちろん暑い日もありますが、次の日は肌寒いかもしれません。イギリスの夏の天気は東京のようには予想しづらいのです。
その日ごとに、ハーフパンツとTシャツを着るか、ジーンズとジャンパーを着るか選ばなくてはなりません。イギリス人は天気のことをいつも気にして、一日に何回も天気予報を見て、天気について話し、その文句を言います。イギリスの変わりやすい天気では、自然とそうなってしまうのです。
予想しづらいイギリスの夏の間でも、1つだけ確かなことがあります。美しくてヘルシーな夏のベリーがたくさんあることです。まず、4月の終わりから5月の初めにかけておいしいイチゴが収穫できます。イチゴとクリームがあると、夏が来たと実感します。
イチゴは200BC頃にローマ人によって初めて収穫され、中世(500AD~1500AD)には媚薬と考えられていました。ビタミンCが豊富に含まれ、ビタミンKやマンガン、葉酸、カリウム、リボフラビン、ビタミンB5、ビタミンB6、銅、マグネシウムにオメガ3脂肪酸も含まれています。そして歯を白くする効果もあります。みなさん、もっとイチゴを食べましょう!
そして次は、7月にブリストルに近い私の両親の庭でも大好きなラズベリーが収穫できます。ラズベリーはローマ人によってイギリスに持ち込まれ、スコットランドの涼しい気候で良く育ちます。ラズベリーには鋭いトゲがあって、摘み取るときにはよく気を付けなければならず、私にとっては最も摘むのが難しいベリーです。一番の問題は、ラズベリーの実が美味しすぎてつまみ食いが止まらないこと!半分はバスケットに入れ、もう半分は私のデザートになります!
今年の7月にイギリスで過ごした際は、両親の庭のラズベリーはまだ育っておらず、それができなくてとても残念でした。
でも、大きくてジューシーなアカスグリの実が収穫できるとわかったとき、がっかりした気持ちはすぐに消えてしまいました。アカスグリはあまり一般的ではなく、収穫できる時期が短いベリーです。1ヶ月~2ヶ月間にわたって実を付け続けるイチゴやラズベリーと違い、アカスグリは一度に実を付け、収穫できるのは一度だけです。私はとても幸運でした!アカスグリの実をすべて摘み取り、おいしいゼリーを作りました(この記事の最後にレシピをご紹介しています)。アカスグリの実は甘過ぎず、甘さと酸味の絶妙なバランスがあります。
アカスグリの茂みの隣には、クロスグリ(カシス)の茂みがあり、こちらも収穫期を迎えていました。以前はどの家庭でも育てられていたベリーですが、今はあまり見かけなくなりました。スーパーマーケットの棚で見かけるダーク/パープル/ブラックベリーの中で、今はブルーベリーが一番人気です。
けれども、イギリスで作られる有名な製品に、クロスグリのコーディアル「 Ribena(ライビーナ)」という商品があります。なんと、イギリスで収穫されるクロスグリの95%はライビーナの工場に集められます!この飲み物は戦後の1950年代に、子供たちがビタミンCを多く摂取できる健康飲料として広まりました。2000年代になると砂糖が多く含まれることで健康飲料としての信用を失いかけましたが、新しいライビーナは砂糖が使用されておらず、免疫力を向上させる飲み物として売り出されています。
一般的ではないベリーの話をするなら、グースベリーのことも挙げなければならないでしょう。この産毛のある緑のベリーは、他のベリーが輸入されるまでは、イギリスの家庭で最も育てられていた品種でした。熟していないときにも収穫ができ、緑色の硬くてとても酸っぱい実はパイやタルト、ジャムに使われます。完全に熟したときは生で食べることもできます。日本には数人のグースベリー栽培者がいて、来年はグースベリーを使った美しい料理をSwan & Lionで作りたいと思っています。
夏から秋に移り変わるころに、ブラックベリーが実り始めます。野生のブラックベリーはイギリス中に生えているので、誰でも摘み取ることができます。「blackberry」は今では英語の動詞になっていて、「blackberring」という言葉は、イギリス人にとって特別な意味があります。1970年代の日曜日に、度々、家族と日帰りでブラックベリーを摘みに出かけたことはとても良い思い出です。
ベリーはとてもおいしくて健康に良い食べ物です。私の夢は、ここに書いてあるすべてのベリーをもっと日本で栽培すること!Swan & Lion農場を持つのは、素敵なゴールになりそうです。
アカスグリのゼリーのレシピ
このレシピでは、透き通るようなピンクレッドで口当たりの良いゼリーが出来上がります。材料は、ペクチンを多く含むアカスグリやグースベリーがおすすめです。
作り方
1. アカスグリを洗って重さを量ります。
2. アカスグリを大きな鍋に入れます。
(伝統的なpreserving pan/プリザーヴィング・パンがベストですが、どんな鍋でもかまいません。)
3. アカスグリ1kgに対し、水400mlを加えます。
4. アカスグリが柔らかくなるまで煮込みます。(約45分程かかります。)
5. ゼリーバッグを大きなボールの上に広げて、4で煮込んだアカスグリを入れ、数時間または一晩置きます。
6. 出来上がったジュースの量を量ります。
7. 大きくてきれいな鍋にジュースを移し、煮ていきます。
8. ジュース600mlに対して、砂糖450gを入れます。
9. 砂糖がきれいに溶けるまでかきまわします。
10. 8分ほど急激に沸騰させるか、セッティングポイントまで沸騰させます(*)。
11. 出来上がったら、殺菌された容器に入れ、冷暗所で保管します。
*セッティングポイントテスト:
火を消して小匙でシロップを少し凍った皿の上に置く。10?20秒後に指でシロップを押す。しわしわになれば、できあがり。シロップがまだ液状ならセッティングポイントに達していないので、もう10分煮て、もう一度セッティングポイントのテストする。セッティングポイントになるまで繰り返す。
イアン・ギビンス
イギリス西部の街ブリストル生まれ。10代の頃、母親の影響から料理に関心を持つ。ロンドンで弁護士として働いたのちオーストラリアへ移住。オーストラリアで自家製の果実や野菜の保存術に目覚め、イングリッシュ・チャツネやピクルスやジャム作りを始める。
Swan & Lion
イギリス人オーナー・イアンが手作りでお届けする色とりどりのチャツネやオニオンジャムやピカリリが並ぶSwan & Lionでは、香料や添加物、防腐剤を一切使用せず、野菜やフルーツ本来の風味を活かした贅沢な味わいの商品です。全ての商品が、日本の旬の食材を使い、英国伝統の製法で生み出されています。その中でも今年ヒットした「すだちクリームのニンジンケーキ」は、まさに日本とイギリスの融合!
そして、今年メディアも注目されているのがミートパイ。特に「ローストチキンパイ」はTVでも紹介されマルシェではとても人気です!サクサクの生地の中からは、ジューシーなローストチキンに日本のエリンギとシメジを使ったクリーミーでまろやかな味わいに。
新しいフレーバーや新商品も季節によって続々と登場します。素材本来の風味をぜひお楽しみください。
Swan & Lionの商品は、現在都内各地のファーマーズ・マーケットにて販売中です。----青山ファーマーズ・マーケット、中央区勝どき太陽マルシェ、赤坂アークヒルズ・マルシェ(六本木1丁目)、ワテラスマルシェお茶の水、その他のスペシャルイベントなど。店舗では、ナショナル麻布マーケット(広尾)で販売中。2015年にはキッチンとショップを完備したSwan & Lion Cafeを計画中です。これからも温かみのあるイギリスの伝統的な料理を、みなさまに笑顔でお届けいたします。