ビクトリア朝様式の旧学校の自転車置場をコンバージョンしたカジュアルダイニング - 『ROCHELLE CANTEEN』 | BRITISH MADE

Food For Thought ビクトリア朝様式の旧学校の自転車置場をコンバージョンしたカジュアルダイニング「ROCHELLE CANTEEN」

2017.04.11

ようやく暗く長い冬に兆しが見え始め、街中では春日和を感じさせる心地良さが楽しめるようになってきた。出勤中や歩いている人の表情を見るだけで、その表情の明るさで春の到来が来たなと感じる。こういった国に長く住んでいると天候の偉大さと尊さを身に染みるほど感じる。気持ちの良い天気は人を解放させ、リラックスさせる。
ロンドンの街並み 桜もちらほらと。ロンドンの街並み
こういった時期は、アウトドアで楽しめるカジュアルダイニングがまさしくシーズン。ロンドン東地区の慌ただしいショーディッチから若干奥に入るとぽっと現れるパゴダみたいな物?が目印のARNOLD CIRCUS広場。その周りは1890年頃から始まった当時先駆けの公団住宅建築。今はそんな特徴のある建築家屋に囲まれる閑静なエリア。
簡易なチョークボードのサインが道端に何気なく置かれている以外、こんな所にダイニングがあるなんてと思うぐらい解りにくい場所にあるが、それもそのはず。ダイニングは、ビクトリア朝時代に建てられた旧学校の敷地内に存在している。中庭を持つこの建物には、このレストラン以外にファッションブランド、建築事務所、アート雑誌編集部等クリエイティブ業種のオフィスとしても使われており、お洒落な人も多い。これからの季節に絶好なロケーションです。
入り口 入り口
20170410_food_insigt1 入り口を抜けると可愛らしいスペースが、右の旧自転車置き場を改築したのがロシェルカンティーン
20170410_food_insigt2 店内
内観のキッチン キッチンの様子
ロシェルカンティーンの顔である女性2人は、メラニーアーノルド氏とマーゴットヘンダーソン氏という方でこの業界でもファンが多い。1992年にSOHOに『THE FRENCH HOUSE DINING ROOM』をファーガスヘンダーソン(現有名なST.JOHNのオーナー)とJON SPITERIと一緒に設立し、それ以後着実にファンの心を掴み取って来たヤリ手の人達だ。今では当たり前かも知れないが、その当時から、ブリティッシュネス(英国産)食材を好み、季節感に溢れたメニューの構成をし、ルーツの大事さを説いた人達である。今では、そういうのを唄うレストランが増えているが、そのトレンドを作って来た立役者の一人と言っても過言ではない。
日替わりメニュー 手頃で毎日変わるメニュー
サイドメニュー パープルスプラウティング、ブロッコリーのビネグレット、酸味が効いたドレッシングに今が美味しい時期、旬のパープルスプラウティングブロコッリーをサイドディッシュで。
20170410_food_main1 中庭のドラム缶で炭火焼きした鯖とフェネルのサラダ付き合わせ
英国やアイルランドでは、春から初夏が旬の鯖。脂の乗りもきつくなくてちょうど良い。酸味が効いた食感がシャキシャキのフェネルとの相性も抜群。日本を思い出させる一品です。
サイドメニュー 季節を感じるコールラビ、キャベツとラディッシュのアンサンブル。
ラヴァーブレッドのパイ ラム(子羊)とラヴァーブレッドのパイ
ラヴァーブレッド(Laverbread)はウェールズ地方の特産料理。ビタミンとミネラルが豊富な海藻海苔を使用した一品。パイに海苔を入れている所が、英国に豊富に存在する食材だがあまり海藻類を英国人は食べないと思う。もしくは以前食べていたのだが、今では馴染みがあまり無い。そういった食材を、馴染みのある料理で出したりする。そんな意外性を楽しめる所でもある。
20170410_food_desert キャラメルアイスクリーム
アイスクリームを外で楽しめるシーズンの到来を記念して
中庭 中庭
入り口の塀を超えるとこんなゆったりした中庭も

日によりメニューは頻繁に変わるが、レモンソールや鯖、リエットやテリーヌ/パテは料理方法を変えながらも常にメニューにある定評の一品だ。お酒(アルコール)のライセンスを持っていないので、ご飯を食べながらビールでもワインでも飲みたい人は、BYO(BRING YOUR OWN BOTTLE)で持ち込みが出来る(£6.50をコルケージ代金/ボトル代金として支払う)。
ここの特徴は、装飾に凝った料理では無いが、シンプルで素材の味を大事に表現するイギリス人気風にあう手頃で正直な料理。念の為に行く時は絶対に事前予約をお勧め。都会の喧騒から離れ、ゆっくりと座って『人生そんなに悪く無いな!』と思えるぐらいゆとりを感じながら楽しめるお勧めの憩いの場所の一つです。

Rochelle Canteen
Arnold Circus

住所: London E2 7ES
TEL:+44 (0) 20 7729 5667
https://arnoldandhenderson.com/
営業日/時間:
月曜日〜日曜日 9:00〜16:30 (ラストオーダー 15:30)
木曜日〜土曜日 18:00〜22:00 (ラストオーダー 21:00)
最寄り駅:オーバーグラウンド SHODITCH HIGH STREET駅から徒歩5分程
または地下鉄 LIVERPOOL STREET駅から徒歩10分程
Text&Photo by Tatsuo Hino

plofile
日野 達雄

日野達雄

英国在住歴19年のメディア/ファッションコンサルタント。
英スタイル雑誌の出身で英/日の雑誌にも寄稿をするライターでありながら、音楽、ファッション、フード、写真と様々なジャンルでのコンサルティング業務に携わる。

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