3月下旬から4月半ばまで買い付け出張に行ってきました。今回もAirbnbを利用してロンドンに3週間滞在。昨年の「料理の楽しさ」に続き、今年新たに発見したことは「パブの楽しみ方」でした。
私は大のイギリス好きですが、イギリス通かというとそうでもありません。初めての渡英からずいぶん時間も経っているのですが、「こんなことも知らないの?」と思われることも多々あります。イギリス通の皆さんにとって当たり前のことも、今の自分にとって新鮮な発見としてお話したいと思います。「なるほど、そんな見方もあるんだね!」と思っていただけたらうれしいです。
今回はそんなイギリスを象徴する一つ「パブ」についてのお話です。
そんなアルコール経験が影響していたのでしょう。イギリスのパブにも漠然とした苦手意識がありました。そのため私がこれまでパブに行ったのはたった一度だけ。知人にランチしましょうと誘われて、連れて行っていただいた先はピカデリー近くのパブ。私がオーダーしたのはフィッシュ&チップスでした。ただ、周りは昼間からアルコールを飲む人ばかり。
このとき、私はパブで普通に食事をしていたのに、やはり「パブ=お酒を飲むところ」という思い込みが激しく、それ以降も一度も行こうとは思いませんでした。なのに妻は、ことあるごとに「パブにランチ食べに行こう!」とずっと言ってまして。妻は私以上にお酒はダメなのに、なんで言い続けるのか分からないまま、曖昧な返事をしながらのらりくらりとしていたのです。
そして迎えた今回の出張。またしても妻はパブで食事しようと言って来たわけです。それならば、と私も今度ばかりは妻の言葉を受け、「じゃ、行ってみよう」ということになりました。
すると・・・手のひらを返したように印象が変わってしまったのです!
皆さん、パブにはぜひ行きましょう!(笑)
行って発見したことは、その時のおなかの空き具合に合わせて、どんなメニューでも選べる便利さだったのです。
パブでは食事もできる。
しっかりでも少しでも、好きな量を食べられる。
デザートでも、飲み物だけでももちろんOK。
さらに・・・
前払いだからチップは不要。だから気を遣わない。
オーダーを取りにも来ないから、のんびり長居できる。
いつ行っても人がいて、ほどよくにぎやかで安心。
パブでなくても、私たちにはファーストフードや軽食のレストランという選択肢もありました。けれど、今回最初に行ったパブの居心地がとても良かったのでしょう。まるでオセロの黒が一気に白に変わってしまったようにイメージがガラリと変わりました。思い込みが激しいのも困りモノですね。
実は今回行ったパブはいずれもセントラルからは電車で20分くらい離れた街にあります。もしかすると私たちが出会ったピースフルな光景は、そんな土地柄も関係していたかもしれません。そして何と言ってもリーズナブル。これも大きな魅力でした。
最初に泊まったActon(アクトン)という街で見つけました。Acton Townという地下鉄の駅から歩いて7~8分くらいのところに。店内は結構広く、昼間から来る人が絶えません。中央のドリンクを作るエリア周りにお酒を飲む人が集まります。そして奥に食事をゆっくり楽しめるスペース。ファミリーが集まります。
店内はダークブラウンの木で造られた椅子やテーブルが置かれ、テーブルには必ずブラスのテーブルナンバーがついてます(これがカッコイイ!)。壁にはアンティーク調のランプが点いていて、とても落ち着いた雰囲気です。そしてイギリス陶器「Burleigh(バーレイ)」などの青い花柄プレートを使っているところがとてもお洒落。そしてメニューを見るとすべての料理にカロリー表記。これは驚きです。
・ボックス席で行儀よくディナーを楽しんだあと、しっかりパフェも頼んだ老夫妻
・仕事帰りにビールを一杯、静かに新聞を楽しむスーツ姿の若い男性
・誕生日パーティーに、巨大なケーキを持ち込んで3テーブル分の席を占領する家族連れ
・チップス(ポテトフライ)を2倍頼んでおいて、1人分残していった屈強な男性
見ていてとても楽しい光景です。
妻は滞在中、この「朝食」を午後に3回食べていました。よほど好きなんだなとびっくりしました。
これがいわゆる “イギリスの母の味”なのかと思うような、素朴なあたたかいデザートに今回病みつきになりました。
アップルクランブルとは小麦粉とバターと砂糖をポロポロにしたものを、煮たりんごにトッピングしてオーブン焼きにしたものだそうです。たっぷりのあつあつカスタードクリームがかかって出てきました。玉子の風味が甘すぎずとても美味しかったのです。デザートをスプーンですくって、ふうふうと冷ましながら食べるのは初めての経験でした。
「The Tabard」
Acton(アクトン)の南、Chiswick(チズィック)という街にある地下鉄Turnham Green(ターナムグリーン)駅にほど近いパブです。午後3時過ぎに行ったところ、数人の先客。でも皆ひとりで来ているようで、静かな雰囲気でした。私たちが食事を終えて、店を出て行こうとする頃、10人くらいのグループが来て一気ににぎやかになりました。
「ベイクドポテト」がいわゆる一般的な名前なのですが、イギリスではポテトの皮を「ジャケット」に見立てて「ジャケットポテト」という名前だそうです。なんともイギリスらしい!
バターのみ、チーズ、ツナマヨ、コールスロー、チリコンカルネ、ベイクドビーンズなどが定番的ですが、このパブで選んだバーベキューソース味の豚肉トッピングはとても美味でした。奥は妻の2度目のイングリッシュブレックファースト。
「The Milford Arms」
Isleworth(アイズルワース)というロンドンの西にある街にあるパブです。調べるとここの建物は泊まれる場所のようでした。まだ明るい夕方に行ったところ、お酒を飲んでいる男性が数人という感じでした。店内には音楽がかかっていましたが、時間が経つにつれ人も集まってきて、やや場があたたまったのか、曲と共に歌声が!ちょっと調子っぱずれでしたが。(笑)
「パブはアルコールを飲むところ」という見方を変えて、「パブは食事やお茶をするところ」となった時、イギリスのパブが一気に魅力的な場所となった今回の旅。掲載した画像だけを見ると「本当にパブ?」というものばかりかもしれませんね。
私にとっては「パブ=街の定食屋」的な存在、あるいは「パブ=ゆったりと寛げるカフェ」のような“大切な場所”になったことは間違いありません。
皆さん、ぜひパブで食事やお茶を楽しんでください!
BRITISH COLLECTORS MARKET 2
日程:5月28日(日)12:00~19:00
会場:BRITISH MADE 青山本店/隣接ショールーム
東京都港区南青山5-14-2 Kizunaビル1, 2F
メンズ・レディースファッション小物、ステーショナリー、乗り物系、その他。今回も私たちがこだわってセレクトした“よりイギリスを感じさせる雑貨”をご紹介いたします。そして今回のマーケットでは美味しいモノにもたくさん出会えるとのこと。食べながら飲みながら、ぜひ皆さんのイギリスへの思いをお聞かせください。
お会いできることを心より楽しみにしております。
私は大のイギリス好きですが、イギリス通かというとそうでもありません。初めての渡英からずいぶん時間も経っているのですが、「こんなことも知らないの?」と思われることも多々あります。イギリス通の皆さんにとって当たり前のことも、今の自分にとって新鮮な発見としてお話したいと思います。「なるほど、そんな見方もあるんだね!」と思っていただけたらうれしいです。
今回はそんなイギリスを象徴する一つ「パブ」についてのお話です。
「パブ=お酒を飲むところ」、自分にはご縁がないと思っていたけれど
私はアルコールをほとんど飲みません。もともとお酒に弱いのです。それでも社会人になりたての20代の頃は、仕事帰りに飲みに行くことが結構ありました。しかも歓送迎会みたいな場となれば、飲めなくてもせめて1杯くらい飲むのが礼儀、というような時代です。30代後半になり開き直り、とにかく飲みの場では料理を食べることにしました。ウーロン茶だけ飲みながら。そんなアルコール経験が影響していたのでしょう。イギリスのパブにも漠然とした苦手意識がありました。そのため私がこれまでパブに行ったのはたった一度だけ。知人にランチしましょうと誘われて、連れて行っていただいた先はピカデリー近くのパブ。私がオーダーしたのはフィッシュ&チップスでした。ただ、周りは昼間からアルコールを飲む人ばかり。
このとき、私はパブで普通に食事をしていたのに、やはり「パブ=お酒を飲むところ」という思い込みが激しく、それ以降も一度も行こうとは思いませんでした。なのに妻は、ことあるごとに「パブにランチ食べに行こう!」とずっと言ってまして。妻は私以上にお酒はダメなのに、なんで言い続けるのか分からないまま、曖昧な返事をしながらのらりくらりとしていたのです。
そして迎えた今回の出張。またしても妻はパブで食事しようと言って来たわけです。それならば、と私も今度ばかりは妻の言葉を受け、「じゃ、行ってみよう」ということになりました。
すると・・・手のひらを返したように印象が変わってしまったのです!
皆さん、パブにはぜひ行きましょう!(笑)
伝統的なイギリス料理も楽しめるパブ。「Steak and Kidney Pudding」を夕食に
飲まなくても楽しい、パブの楽しみ方
今回のイギリスではパブに5回も行きました。これまで10回くらいの渡英で、1回しか行っていないのに。食事とデザートを食べに、同じお店に合計3回。そして軽食で別の2店に。どのパブも滞在したAirbnbか最寄り駅近くにあるところです。行って発見したことは、その時のおなかの空き具合に合わせて、どんなメニューでも選べる便利さだったのです。
パブでは食事もできる。
しっかりでも少しでも、好きな量を食べられる。
デザートでも、飲み物だけでももちろんOK。
さらに・・・
前払いだからチップは不要。だから気を遣わない。
オーダーを取りにも来ないから、のんびり長居できる。
いつ行っても人がいて、ほどよくにぎやかで安心。
ある日、食事とともに頼んだのカプチーノと、オレンジジュース。真鍮のテーブルナンバーが角に。食事を頼む時にこの番号を言うと持って来てくれました
家族の憩いの場所、それもパブ
パブに行って初めて知りました。お昼の時間帯にはランチを食べに来る人が多くて、それも家族連れ、お子さんも一緒のケースも結構見ました。週末になるとその傾向は更に高まり、これはもう日本のファミレス状態。そしてその需要にきちんと応えるかのように、店舗の規模にもよりますが、ドリンクのオーダースペースからやや離れたところに、区切られた感じで落ち着いて食事ができるスペースがあります。私達夫婦はこのスペースで食事をしていました。パブでなくても、私たちにはファーストフードや軽食のレストランという選択肢もありました。けれど、今回最初に行ったパブの居心地がとても良かったのでしょう。まるでオセロの黒が一気に白に変わってしまったようにイメージがガラリと変わりました。思い込みが激しいのも困りモノですね。
実は今回行ったパブはいずれもセントラルからは電車で20分くらい離れた街にあります。もしかすると私たちが出会ったピースフルな光景は、そんな土地柄も関係していたかもしれません。そして何と言ってもリーズナブル。これも大きな魅力でした。
となりの老夫婦が食後のデザートに頼んでいたパフェ「Knickerbocker Glory」を注文。そのボリュームに満面の笑み!でもカロリーは796kcal
私たちが行ったパブと食事
「The Red Lion & Pineapple」最初に泊まったActon(アクトン)という街で見つけました。Acton Townという地下鉄の駅から歩いて7~8分くらいのところに。店内は結構広く、昼間から来る人が絶えません。中央のドリンクを作るエリア周りにお酒を飲む人が集まります。そして奥に食事をゆっくり楽しめるスペース。ファミリーが集まります。
店内はダークブラウンの木で造られた椅子やテーブルが置かれ、テーブルには必ずブラスのテーブルナンバーがついてます(これがカッコイイ!)。壁にはアンティーク調のランプが点いていて、とても落ち着いた雰囲気です。そしてイギリス陶器「Burleigh(バーレイ)」などの青い花柄プレートを使っているところがとてもお洒落。そしてメニューを見るとすべての料理にカロリー表記。これは驚きです。
これもイギリスの伝統菓子「Sticky Toffee Pudding」
ここにいる人達の様子が実に様々で。・ボックス席で行儀よくディナーを楽しんだあと、しっかりパフェも頼んだ老夫妻
・仕事帰りにビールを一杯、静かに新聞を楽しむスーツ姿の若い男性
・誕生日パーティーに、巨大なケーキを持ち込んで3テーブル分の席を占領する家族連れ
・チップス(ポテトフライ)を2倍頼んでおいて、1人分残していった屈強な男性
見ていてとても楽しい光景です。
Avocado, Salmon & Cream Cheese Bagel
私が今回の滞在で、初めてパブで夕食をとった日は少し軽めに食べたくて、ベーグルを選びました。チップス(ポテトフライ)のつけあわせもあって量的に丁度よく、大好きなアボカド入りのベーグルサンドはルッコラの香りもよくて、好印象でした。パニーニやサンドイッチ、それに日替わりスープのパン添えなど、「少しだけ食べたいんだけど・・・」という時に気軽に頼めるメニューもいろいろありました。 All-day Breakfast
イギリスの朝食「イングリッシュブレックファースト」はとても有名ですが、その朝食を一日中提供しているパブも多いようです。私のベーグルに対して、妻はしっかり食べたいとこれを注文。目玉焼き、ベーコン、ソーセージ、ベイクドビーンズ、トーストはなくてチップスが添えてありました。ベイクドビーンズとはトマト味で煮込んだ甘い豆で、缶詰はどのスーパーでも必ずおいてある国民食です。妻は滞在中、この「朝食」を午後に3回食べていました。よほど好きなんだなとびっくりしました。
Chilli Con Carne
もはや日本でもポピュラーですね。ひき肉と玉ねぎ、トマト、チリパウダー、いんげん豆を煮たピリ辛料理。妻が涙を流さんばかりに喜んで食べていました。聞くと、大学時代に大好きなパブランチだったので、食欲がなかったけどおいしく食べられたとか。 Apple Crumble with Custard
イギリスのパブではデザートやお茶も楽しめます!しかも自分にとって斬新だったのは「あたたかいデザート」。これがいわゆる “イギリスの母の味”なのかと思うような、素朴なあたたかいデザートに今回病みつきになりました。
アップルクランブルとは小麦粉とバターと砂糖をポロポロにしたものを、煮たりんごにトッピングしてオーブン焼きにしたものだそうです。たっぷりのあつあつカスタードクリームがかかって出てきました。玉子の風味が甘すぎずとても美味しかったのです。デザートをスプーンですくって、ふうふうと冷ましながら食べるのは初めての経験でした。
「The Tabard」
Acton(アクトン)の南、Chiswick(チズィック)という街にある地下鉄Turnham Green(ターナムグリーン)駅にほど近いパブです。午後3時過ぎに行ったところ、数人の先客。でも皆ひとりで来ているようで、静かな雰囲気でした。私たちが食事を終えて、店を出て行こうとする頃、10人くらいのグループが来て一気ににぎやかになりました。
Jacket Potato with BBQ Pork
「ジャケットポテト」は、皮がカリッとするまでオーブンで焼いた大きなじゃがいもに切り目を入れて、トッピングがかかった食べ物です。「ベイクドポテト」がいわゆる一般的な名前なのですが、イギリスではポテトの皮を「ジャケット」に見立てて「ジャケットポテト」という名前だそうです。なんともイギリスらしい!
バターのみ、チーズ、ツナマヨ、コールスロー、チリコンカルネ、ベイクドビーンズなどが定番的ですが、このパブで選んだバーベキューソース味の豚肉トッピングはとても美味でした。奥は妻の2度目のイングリッシュブレックファースト。
「The Milford Arms」
Isleworth(アイズルワース)というロンドンの西にある街にあるパブです。調べるとここの建物は泊まれる場所のようでした。まだ明るい夕方に行ったところ、お酒を飲んでいる男性が数人という感じでした。店内には音楽がかかっていましたが、時間が経つにつれ人も集まってきて、やや場があたたまったのか、曲と共に歌声が!ちょっと調子っぱずれでしたが。(笑)
6oz Beef Berger with Coleslaw and Chips
私は知りませんでしたが、ナイフとフォークで食べるハンバーガーもイギリスらしい食事なのですね。網焼きのビーフハンバーガーは、さすが牛肉の味がちがう!と驚くおいしさでしたが、つけあわせのチップスやコールスローはやや少なめです。でも、ブルーのバケツ型の器がとてもお洒落。手前は2度目のアップルクランブル。もちろんカスタードクリーム添え。すっかりハマっています。「パブはアルコールを飲むところ」という見方を変えて、「パブは食事やお茶をするところ」となった時、イギリスのパブが一気に魅力的な場所となった今回の旅。掲載した画像だけを見ると「本当にパブ?」というものばかりかもしれませんね。
私にとっては「パブ=街の定食屋」的な存在、あるいは「パブ=ゆったりと寛げるカフェ」のような“大切な場所”になったことは間違いありません。
皆さん、ぜひパブで食事やお茶を楽しんでください!
■ お知らせ
昨年11月に続き、来る5月28日(日)開催の「BRITISH COLLECTORS MARKET」に出展させていただくことになりました。BRITISH COLLECTORS MARKET 2
日程:5月28日(日)12:00~19:00
会場:BRITISH MADE 青山本店/隣接ショールーム
東京都港区南青山5-14-2 Kizunaビル1, 2F
メンズ・レディースファッション小物、ステーショナリー、乗り物系、その他。今回も私たちがこだわってセレクトした“よりイギリスを感じさせる雑貨”をご紹介いたします。そして今回のマーケットでは美味しいモノにもたくさん出会えるとのこと。食べながら飲みながら、ぜひ皆さんのイギリスへの思いをお聞かせください。
お会いできることを心より楽しみにしております。
富澤利彦
靴・服好きが高じ30代に初めて渡英。以来、会社員時代はずっとブリティッシュスタイル。ファッションから広告・雑貨にも興味は広がり、2016年から妻が始めた「Antiques Harmonics」に本格的に参加。新旧の英国モノを毎日楽しむ日々を過ごしています。
Antiques Harmonics
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