9月のイギリスは、秋の気配どころか、すでに秋深しといった気候で、私は朝夕すでにフリースを羽織っています。
この時期になると、イギリスのガーデナーたちは、来年の春に向けた秋植え球根を植え付ける準備をしています。一方で、家庭菜園のある人は、夏野菜の最後の収穫に忙しい時期でもあります。
家庭菜園といっても、イギリスでは、自宅の庭で野菜を育てている人ばかりではありません。この国では、各地の自治体などが管理するアロットメントとよばれる市民農園が各地にあり、そこでは人々が思い思いの野菜や果物、花を育てています。
そんな市民農園、家庭菜園で育てられている野菜で人気なものといえば、トマトやランナー・ビーンズと並び、コジェットが挙げられます。
コジェットとは、日本でいうズッキーニのこと。育て方が簡単で、たくさん収穫ができるという理由から、イギリスのガーデナーに大変人気の野菜です。
せっかくたくさんいただいても、私には、ズッキーニの料理というと、トマトやナスなどの夏野菜とハーブで作るラタトゥイユか、炒めたズッキーニをクリームチーズであえたパスタくらいしかレパートリーがありませんでした。
でも、イギリスにはとてもユニークなズッキーニのレシピがあるので、今回はそれをご紹介したいと思います。
まず、イギリスで最近流行っているのが、ズッキーニをスパゲティのようにして食べる方法。パスタに比べてかなりカロリーが抑えられるという意味で、ダイエット食として注目されたのが、今では袋入りの「スパゲティ風」コジェットがスーパーで販売されるほど一般的になっています。
イギリスにはどこのティー・ルームでも欠かせないというほど人気のキャロット・ケーキがあります。なので、野菜をケーキに入れるということはそれほど不思議なことではないはず。でも、なぜかズッキーニ入がケーキに入っていると初めて聞いた時にはびっくりしました。甘みのある人参がケーキに使われるのは理解できます。けれど、水っぽくて、とりたてて風味があるとも思えないズッキーニを使ったケーキの味が想像できなかったからかもしれません。
もっと食べたくなる、とか、おいしくてあとをひく、ということを英語で「モーリッシュ(moreish)」といいますが、このケーキもまさにその表現がぴったりなお菓子です。
また、イギリスらしく(?)、材料を全て一気にボウルに入れて混ぜ、型に流し込んでオーブンで焼くだけ、という簡単さもうれしいところです。
さて、このように様々なレシピに登場するズッキーニですが、イギリスでこんなにも人気になったのは、それほど昔のことではありません。
1930年代の料理書に登場していたとも言いますが、実際に多くの人々に知られるようになったのは、1950~60年代。著名なフード・ライターのエリザベス・デーヴィッドがその著書で紹介して以来と言われています。
イギリス人の夫は、1970年代に家族でフランスにホリデーに出かけたとき、かの地でズッキーニを食べて「エキゾチックな食べ物だな」と感心したといいます。それを考えると、イギリス市民の食卓に日常的に登場したり、今のように家庭菜園で多くの人が育てるようになったのは70年代以降なのでしょう。
とはいえ、実はイギリスにはマロウ(Marrow)という、ズッキーニによく似たウリ科の野菜があり、こちらはもっと以前からイギリスで育てられてきました。
イギリス人は、なぜだかこの野菜を大きく育てるということに競争意欲を掻き立てられるようで、昔から各地のフラワー・ショウなどで、マロウの大きさや形を競うコンテストが開催されてきたそうです。
この時期になると、イギリスのガーデナーたちは、来年の春に向けた秋植え球根を植え付ける準備をしています。一方で、家庭菜園のある人は、夏野菜の最後の収穫に忙しい時期でもあります。
家庭菜園といっても、イギリスでは、自宅の庭で野菜を育てている人ばかりではありません。この国では、各地の自治体などが管理するアロットメントとよばれる市民農園が各地にあり、そこでは人々が思い思いの野菜や果物、花を育てています。
そんな市民農園、家庭菜園で育てられている野菜で人気なものといえば、トマトやランナー・ビーンズと並び、コジェットが挙げられます。
コジェットとは、日本でいうズッキーニのこと。育て方が簡単で、たくさん収穫ができるという理由から、イギリスのガーデナーに大変人気の野菜です。
家庭菜園で採れるズッキーニは大きさや形も色々
夏の間中、つぎつぎと実をならせるので食べるのが追いつかない、とアロットメントを借りているご近所さんから、おすそ分けをいただいたこともあります。せっかくたくさんいただいても、私には、ズッキーニの料理というと、トマトやナスなどの夏野菜とハーブで作るラタトゥイユか、炒めたズッキーニをクリームチーズであえたパスタくらいしかレパートリーがありませんでした。
でも、イギリスにはとてもユニークなズッキーニのレシピがあるので、今回はそれをご紹介したいと思います。
まず、イギリスで最近流行っているのが、ズッキーニをスパゲティのようにして食べる方法。パスタに比べてかなりカロリーが抑えられるという意味で、ダイエット食として注目されたのが、今では袋入りの「スパゲティ風」コジェットがスーパーで販売されるほど一般的になっています。
ズッキーニのスパゲティ。こんな風に袋入りになってスーパーで売られています。また、自分でズッキーニや人参などの野菜をスパゲティ状にできる野菜用スライサーも人気です
スパゲッティになぞらえて、コジェッティ(courgetti)などと呼ばれたりもするこの食べ方。ダイエット・フードとしてだけでなく、グルテンにアレルギーのある人にとってはスパゲティ代替食となるというのも、料理雑誌やテレビの料理番組などで何度も取り上げられるきっかけとなったようです。 コジェッティ、個人的にはやっぱりスパゲティのほうがおいしい気が…
ほかに驚いたのが、コジェット・ケーキ。こちらは、名前の通り、ズッキーニを入れたケーキです。 イギリスにはどこのティー・ルームでも欠かせないというほど人気のキャロット・ケーキがあります。なので、野菜をケーキに入れるということはそれほど不思議なことではないはず。でも、なぜかズッキーニ入がケーキに入っていると初めて聞いた時にはびっくりしました。甘みのある人参がケーキに使われるのは理解できます。けれど、水っぽくて、とりたてて風味があるとも思えないズッキーニを使ったケーキの味が想像できなかったからかもしれません。
ズッキーニは味にクセがないので、ドライフルーツやナッツ類を混ぜてもおいしい
ところが、食べてみたコジェット・ケーキは、しっとりとして柔らかく、ミルクティーによく合います。 もっと食べたくなる、とか、おいしくてあとをひく、ということを英語で「モーリッシュ(moreish)」といいますが、このケーキもまさにその表現がぴったりなお菓子です。
また、イギリスらしく(?)、材料を全て一気にボウルに入れて混ぜ、型に流し込んでオーブンで焼くだけ、という簡単さもうれしいところです。
さて、このように様々なレシピに登場するズッキーニですが、イギリスでこんなにも人気になったのは、それほど昔のことではありません。
1930年代の料理書に登場していたとも言いますが、実際に多くの人々に知られるようになったのは、1950~60年代。著名なフード・ライターのエリザベス・デーヴィッドがその著書で紹介して以来と言われています。
イギリス人の夫は、1970年代に家族でフランスにホリデーに出かけたとき、かの地でズッキーニを食べて「エキゾチックな食べ物だな」と感心したといいます。それを考えると、イギリス市民の食卓に日常的に登場したり、今のように家庭菜園で多くの人が育てるようになったのは70年代以降なのでしょう。
とはいえ、実はイギリスにはマロウ(Marrow)という、ズッキーニによく似たウリ科の野菜があり、こちらはもっと以前からイギリスで育てられてきました。
イギリス人は、なぜだかこの野菜を大きく育てるということに競争意欲を掻き立てられるようで、昔から各地のフラワー・ショウなどで、マロウの大きさや形を競うコンテストが開催されてきたそうです。
縞模様のある大きめズッキーニといった感じのマロウ
でも、今やマロウはスーパーなどでの販売量もかなり減ってしまい、すっかりズッキーニの影に隠れてしまったようです。マクギネス真美
英国在住20年のライフコーチ、ライター。オンラインのコーチングセッションで、人生の転換期にある方が「本当に生きたい人生」を生きることを日本語でサポート。イギリスの暮らし、文化、食べ物などについて書籍、雑誌、ウェブマガジン等への寄稿、ラジオ番組への出演多数。
音声メディアVoicy「英国からの手紙『本当の自分で生きる ~ 明日はもっとやさしく、あたたかく』」にてイギリス情報発信中。
ロンドンで発行の情報誌『ニュースダイジェスト』にてコラム「英国の愛しきギャップを求めて」を連載中。
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