シルクハットに黒いスーツの小さな紳士。
彼の名前はフレッド君。
ファッションアイテムの紙広告を探している時に、よく目に入ってくるのが料理の絵が描かれた食品会社の広告。なぜか目に留まってしまいます。雑貨でもカラフルなデザートのショップ用展示POPやかわいらしいスイーツがデザインされたTin缶など。どれもとても美味しそうな絵が描かれているものばかりです。ですが、それはすべての料理・食べ物が1950年代前後の当時のものであって、今は食べることはできないものばかり・・・と思い込んでいました。
しかし、自分自身が料理を始めるようになってからその思いが変わり始め、
「当時のイギリス人が食べてた料理ってどんな味だったのかな?」
「もしこれを今作れたら、どんな味がするんだろうか?」
と考えるようになり、「いつかやってみようかな」となりました。そこへ現れたのがこのレシピブック。もちろん最初は販売しようと思っていました。ですが、ページをめくると、レシピの後ろのページには魅力的な料理写真の数々。とにかく美味しそうなんです。見ているうちに、
「これ、もしかしたら作れるんじゃないかな?やってみようか!?」
と。当然、レシピ本の販売は後回しです。
画像と共にご紹介します。
料理歴の浅い私にとっては、初めて作るものばかりだったので、妻と二人でキッチンに立ちました。けっしてプロの料理家ではないので、「そこ、ちょっと違うんじゃない?」と突っ込みどころ満載かもしれませんが、そこはご勘弁を。
・玉ねぎ=大1個 みじん切り
・マーガリン=3.5オンス(約100g)
・じゃがいも=1.5ポンド(約700g)マッシュ
・小麦粉=8オンス(約230g)
・塩・コショウ
・炒め油(ラード)
2. じゃがいも、玉ねぎ、小麦粉を混ぜる。これに、残りのマーガリンを溶かして混ぜる。塩コショウし、小麦粉の上で練り、生地を作る。
3. 生地を厚さ1/4インチ(約6mm)に伸ばして、丸い型で8個に抜く。
4. フライパンにラードを入れ煙が出るまで熱する。
5. 両面を弱火でゆっくり10分かけて焼く。焼いたベーコンを添える。
焼きたては外がカリッと、中はマッシュされた柔らかいポテトの食感。玉ねぎの量がやや多かったのですが、味のバランスは問題なし。マーガリンがそれなりの量だったので、オリーブオイルに変えれば、もう少し軽い感じになるかもしれません。
ベーコンと合わせて口に入れると、まさにイングリッシュブレックファーストを彷彿とさせる味。マイルドな味のポテトケーキとやや強めの塩っ気のベーコンが見事なコンビ。ポテトケーキにケチャップを付けても文句なく合います。
シチューステーキ=15オンス(約420g)×2缶(*ビーフシチュー1袋で代用)
トマト缶=14オンス(約400g)×1缶
パプリカ=小さじ1
塩・コショウ
小麦粉=4オンス(約120g)
スエット(牛脂)=2オンス(約60g)(*マーガリン、オリーブオイルで代用)
2. 小麦粉に塩をひとつまみ入れ、マーガリン・オリーブオイルを入れる。水を加え固めながら生地を作る。デザートスプーン大の生地をシチューに落とし入れる。ダンプリングができるまで弱火~中火で10分煮る。
これはいわば“洋風すいとん”です。
皆さん「すいとん」はご存じですか?私はおだんごみたいな食感がとても好み。すっかり忘れていましたが、ダンプリングを口に入れて思い出し、初めての料理なのに思わず懐かしさが。トマトべ―スのシチューはかなり濃厚な味わいで、淡泊な味のダンプリングがとても良いアクセントになります。スプーンでシチューとダンプリングを口に運ぶと、シチューがダンプリングに絡まりながら、もちもち食感が味わえる、とても楽しい料理です!
マーガリン=1オンス(約30g)
小麦粉=1オンス(約30g)
牛乳=0.5パイント(約280g)
チェダーチーズ=3オンス(約80g)すりおろす
塩・コショウ
ハムと豚肉の缶=1ポンド(約450g)×1缶 角切り(*ベーコンで代用)
ミックスベジタブル =8オンス(約220g)
インスタントポテト=5オンス(約140g)
2. ホワイトソースにベーコンとミックスベジタブルを入れ、混ぜながら温める。
3. インスタントポテトを説明書き通りに作る。油を塗った皿にポテトの輪を作り、フォークで跡を付け、グリルで焼き色を付ける。
4.ポテトの輪の中に、ベーコンとミックスベジタブルを盛り付ける。
文句なく美味しい「これぞブリティッシュ」な料理でした。子どものバースデーパーティーに出てきそうな一品です。
レシピでは「インスタントポテト」となっていますが、見つからなかったので、マッシュポテトを作りました。ホワイトソースと共に時間がかかるので、妻がマッシュポテト、私がホワイトソースを同時に調理。最後に盛り合わせて完成。ポテトは画像を見るとお分かりの通り、コテージパイなどのイギリス料理を感じさせる見栄えで間違いない味わい。それと共にホワイトソースと温めたベーコンとミックスベジタブルを一緒にすくって口の中に入れると・・・!!
ホワイトソースのチーズ味がやや薄味のマッシュポテトに見事に合わさって思わず目がウロコ。そのあとソースに絡んだブロックベーコンのしっかり味がガツン!とやってきます。口の中は言葉にできない美味しさのハーモニー。時間をかけて料理した後に訪れた至福の時間でした!
初めての料理を3品作ってみてかなり大変ではありましたが、とても楽しみました。材料はなるべくレシピ通りにしたものの、当時とは微妙に違う部分もあるでしょう。1970年代の味をそのまま再現というわけにはいかなかったかもしれませんが、私と妻の中ではとても興味深いチャレンジでした。ヴィンテージ食器に盛り付けると、さらに気分も上がります。また食べてみると、ここはこうした方がもっと美味しくなるのでは?というアイデアも頭に浮かんでくるので、ぜひまた作って味の完成度を上げたいと思いました。
本を見返すと他にもまだまだ魅力的なレシピがいくつも載っています。これを見てチャレンジせずにいられましょうか!トライした際は、ぜひまたご紹介できればと思っています。
フレッド君レシピ本の販売は、当分お預けです。
彼の名前はフレッド君。
小麦粉入れとソルト&ペッパー入れのフレッド君、レシピ本と一緒に
イギリス好きな皆様はご存じと思いますが、フレッド君は食品会社Homeprideのキャラクターで、1960年代に登場すると様々なノベルティグッズが作られ、現在はコレクターズアイテムとなっています。当店でもフレッド君小麦粉入れやソルト&ペッパーは定番商品で、マーケットでは当店のアイコンとして大活躍中。遠目からも目立つので、指を差して「フレッドだ!」と寄ってくるお客様や「これは何ですか?」と興味津々のお客様がたくさんいらっしゃいます。フレッド君のレシピ本
そんなフレッド君ノベルティの中にレシピ本があります。といっても私も最近まで知らなかったのですが、去年の渡英買いつけでこんな本と出会いました。 HOMEPRIDE’S Weekend Cook Book 裏表紙にもたくさんのフレッド君たち
レシピ本は1973年発行。ここに記してあるのは、当時のイギリス家庭料理レシピの数々。ピクニック、子どものためのパーティーメニュー、ビュッフェ、ティータイムなど、いろいろなシーンに合わせた多様な料理が提案されている、ある意味とても興味深い資料です。今年知り合ったイギリス菓子店のオーナーシェフさんも「フレッド君の本は、イギリス家庭料理の優れたレシピ本」とおっしゃっていて、プロのお墨付きでもあります。イギリス家庭料理への思い
以前から私を魅了していたヴィンテージ品の中に、イギリス食品の広告モノがあります。ファッションアイテムの紙広告を探している時に、よく目に入ってくるのが料理の絵が描かれた食品会社の広告。なぜか目に留まってしまいます。雑貨でもカラフルなデザートのショップ用展示POPやかわいらしいスイーツがデザインされたTin缶など。どれもとても美味しそうな絵が描かれているものばかりです。ですが、それはすべての料理・食べ物が1950年代前後の当時のものであって、今は食べることはできないものばかり・・・と思い込んでいました。
しかし、自分自身が料理を始めるようになってからその思いが変わり始め、
「当時のイギリス人が食べてた料理ってどんな味だったのかな?」
「もしこれを今作れたら、どんな味がするんだろうか?」
と考えるようになり、「いつかやってみようかな」となりました。そこへ現れたのがこのレシピブック。もちろん最初は販売しようと思っていました。ですが、ページをめくると、レシピの後ろのページには魅力的な料理写真の数々。とにかく美味しそうなんです。見ているうちに、
「これ、もしかしたら作れるんじゃないかな?やってみようか!?」
と。当然、レシピ本の販売は後回しです。
料理をしてみた3品
今回このフレッド君レシピ本の中からできそうなものを3品選んで、料理してみました。画像と共にご紹介します。
料理歴の浅い私にとっては、初めて作るものばかりだったので、妻と二人でキッチンに立ちました。けっしてプロの料理家ではないので、「そこ、ちょっと違うんじゃない?」と突っ込みどころ満載かもしれませんが、そこはご勘弁を。
<Potato Cakes|ポテトケーキ>
右上がレシピ本の料理写真
レシピ原文
◯ 材料(4人分)
・マーガリン=3.5オンス(約100g)
・じゃがいも=1.5ポンド(約700g)マッシュ
・小麦粉=8オンス(約230g)
・塩・コショウ
・炒め油(ラード)
◯ 作り方
1. 玉ねぎをマーガリン大さじ1で炒める。2. じゃがいも、玉ねぎ、小麦粉を混ぜる。これに、残りのマーガリンを溶かして混ぜる。塩コショウし、小麦粉の上で練り、生地を作る。
3. 生地を厚さ1/4インチ(約6mm)に伸ばして、丸い型で8個に抜く。
4. フライパンにラードを入れ煙が出るまで熱する。
5. 両面を弱火でゆっくり10分かけて焼く。焼いたベーコンを添える。
じゃがいも・玉ねぎ・小麦粉で生地を作る
生地を丸く
おいしそうな焼き色が付いたポテトケーキ
◯ 食べた感想
できあがったポテトケーキ、偶然レシピ本と同じBurleighのプレートで
これは「イギリスの朝食」でした!焼きたては外がカリッと、中はマッシュされた柔らかいポテトの食感。玉ねぎの量がやや多かったのですが、味のバランスは問題なし。マーガリンがそれなりの量だったので、オリーブオイルに変えれば、もう少し軽い感じになるかもしれません。
ベーコンと合わせて口に入れると、まさにイングリッシュブレックファーストを彷彿とさせる味。マイルドな味のポテトケーキとやや強めの塩っ気のベーコンが見事なコンビ。ポテトケーキにケチャップを付けても文句なく合います。
<Goulash Soup with Dumplings|ダンプリング入りグヤーシュスープ>
右上がレシピ本の料理写真
レシピ原文
◯ 材料(4人分)
トマト缶=14オンス(約400g)×1缶
パプリカ=小さじ1
塩・コショウ
小麦粉=4オンス(約120g)
スエット(牛脂)=2オンス(約60g)(*マーガリン、オリーブオイルで代用)
◯ 作り方
1. 鍋にビーフシチューを入れ、トマト缶とパプリカを加える。混ぜながら沸騰したら塩コショウで味付けする。2. 小麦粉に塩をひとつまみ入れ、マーガリン・オリーブオイルを入れる。水を加え固めながら生地を作る。デザートスプーン大の生地をシチューに落とし入れる。ダンプリングができるまで弱火~中火で10分煮る。
ビーフシチューのルー・トマト缶・パプリカを入れたシチュー
小麦粉に水を入れながらダンプリング用の生地作り
シチューにスプーンですくったダンプリング生地を落とし入れる
◯ 食べた感想
身体が温まりそうなグヤーシュスープ、こちらもヴィンテージ食器で
グヤーシュスープとはハンガリーが起源のスープ・シチュー料理ですが、それは実は料理後に知ったこと。何も分からず、レシピ本の写真でダンプリングを発見してトライ。妻が以前渡英中にウェイトローズで買った冷凍ダンプリング・ビーフキャセロールを食べたら予想外に美味しかったことを思い出し、選んでみました。これはいわば“洋風すいとん”です。
皆さん「すいとん」はご存じですか?私はおだんごみたいな食感がとても好み。すっかり忘れていましたが、ダンプリングを口に入れて思い出し、初めての料理なのに思わず懐かしさが。トマトべ―スのシチューはかなり濃厚な味わいで、淡泊な味のダンプリングがとても良いアクセントになります。スプーンでシチューとダンプリングを口に運ぶと、シチューがダンプリングに絡まりながら、もちもち食感が味わえる、とても楽しい料理です!
<Ham and Vegetables in Potato Nest|ハムと野菜のホワイトソース風味 ポテト添え>
右下がレシピ本の料理写真
レシピ原文
◯ 材料(4人分)
小麦粉=1オンス(約30g)
牛乳=0.5パイント(約280g)
チェダーチーズ=3オンス(約80g)すりおろす
塩・コショウ
ハムと豚肉の缶=1ポンド(約450g)×1缶 角切り(*ベーコンで代用)
ミックスベジタブル =8オンス(約220g)
インスタントポテト=5オンス(約140g)
◯ 作り方
1. フライパンでマーガリンを溶かし、小麦粉を1~2分炒める。徐々に牛乳を加えながら混ぜる。沸騰したらチーズを入れ、さらによく混ぜる。2. ホワイトソースにベーコンとミックスベジタブルを入れ、混ぜながら温める。
3. インスタントポテトを説明書き通りに作る。油を塗った皿にポテトの輪を作り、フォークで跡を付け、グリルで焼き色を付ける。
4.ポテトの輪の中に、ベーコンとミックスベジタブルを盛り付ける。
だまができないように手早くホワイトソースを作る
マッシュポテトを盛り付けフォークで跡をつける
◯ 食べた感想
ポテトに乗ったコーンとニンジンが可愛らしく、1970年代料理の完成
今回のいちばんのヒットレシピ!文句なく美味しい「これぞブリティッシュ」な料理でした。子どものバースデーパーティーに出てきそうな一品です。
レシピでは「インスタントポテト」となっていますが、見つからなかったので、マッシュポテトを作りました。ホワイトソースと共に時間がかかるので、妻がマッシュポテト、私がホワイトソースを同時に調理。最後に盛り合わせて完成。ポテトは画像を見るとお分かりの通り、コテージパイなどのイギリス料理を感じさせる見栄えで間違いない味わい。それと共にホワイトソースと温めたベーコンとミックスベジタブルを一緒にすくって口の中に入れると・・・!!
ホワイトソースのチーズ味がやや薄味のマッシュポテトに見事に合わさって思わず目がウロコ。そのあとソースに絡んだブロックベーコンのしっかり味がガツン!とやってきます。口の中は言葉にできない美味しさのハーモニー。時間をかけて料理した後に訪れた至福の時間でした!
初めての料理を3品作ってみてかなり大変ではありましたが、とても楽しみました。材料はなるべくレシピ通りにしたものの、当時とは微妙に違う部分もあるでしょう。1970年代の味をそのまま再現というわけにはいかなかったかもしれませんが、私と妻の中ではとても興味深いチャレンジでした。ヴィンテージ食器に盛り付けると、さらに気分も上がります。また食べてみると、ここはこうした方がもっと美味しくなるのでは?というアイデアも頭に浮かんでくるので、ぜひまた作って味の完成度を上げたいと思いました。
本を見返すと他にもまだまだ魅力的なレシピがいくつも載っています。これを見てチャレンジせずにいられましょうか!トライした際は、ぜひまたご紹介できればと思っています。
フレッド君レシピ本の販売は、当分お預けです。
富澤利彦
靴・服好きが高じ30代に初めて渡英。以来、会社員時代はずっとブリティッシュスタイル。ファッションから広告・雑貨にも興味は広がり、2016年から妻が始めた「Antiques Harmonics」に本格的に参加。新旧の英国モノを毎日楽しむ日々を過ごしています。
Antiques Harmonics
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