中心街の隠れ家的なレストラン、ネオブリティッシュビストロ!『NEO BISTRO』 | BRITISH MADE

Food For Thought 中心街の隠れ家的なレストラン、ネオブリティッシュビストロ!『NEO BISTRO』

2018.03.13

ロンドンに来たら間違いなく訪れるエリア、地下鉄の駅で言えばOxford Street/Bond Streetの所謂ショッピングメイン街。百貨店からハイストリート、ブランドの旗艦店などがあり常に観光客と地元の人で盛り上がる場所。Mayfair(メイフェア)と通常言われるエリアだが、商業的な一等地であるエリアであるので手頃に美味しく食べる所が少ない。
当然、ちょっと歩いてSOHO地区やChina Townに行けばそれなりの選択肢もあるが、高級レストランやチェーン店以外でここに行こうと言える場所があまり無いのが現状である。そういった意味では、このNEO BISTRO(ネオビストロ)は希少な存在。
ブリティッシュビストロをアップグレードした新生ビストロを看板に抱える名前の通り、イギリスの季節の素材をカジュアルな雰囲気とリラックスした内装で楽しみ手頃な値段で誰でも楽しめるのをコンセプトにしているダイニングである。その上、ワインリストは高級レストラン並みのセレクションになっているのも素晴らしい。ここは、以前『The Woodcock』という看板のパブでその看板もそのまま残っている。外観だけ見ると、ちょっと今一ぴんと来ないし、ぱっとはしない。私も初めて行った時に、こんな場所にあるのか?と若干探したのを覚えている。
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でもこのレストランの特徴は、ぱっとしない外観とは別にコストパフォーマンスの高さである。彼らのモットーである誰でも払える値段帯で美味しいものを週毎にローカルのサプライヤーと密に関係を気づく事で、妥当な値段で季節感溢れる食材を良質でありながらも手頃な価格で提供すること。まさしくそれを体現している、新しい発見のレストランである。私も、友人から勧められて今回日本からロンドンを訪問している日本人とフランス人のカップルを連れていったが、彼らもかなりの満足感で楽しんでくれたと思う。
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メイフェアではあまり見かけないシンプルな内装だが、センスのある内装。こういった気取らない感じがそのコストパフォーマンスを維持している理由の一つである。実際のメニューを見てその値段の手頃さには実際びっくりすると思う。
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パンとマーマイトバターの次に続く料理を一品ずつリストから選ぶ形で何と3コースの値段が£32.50とかなり手頃である。おそらくメイフェアエリアのチェーン店に行っても3コース分食べればそれぐらい、いや以上の金額がかかるだろう。
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パンとマーマイトバター。マーマイトは、英国通の人しか馴染みのない食材でしょう。マーマイト(Marmite)はビールの醸造過程で増殖して最後に沈殿堆積した酵母、いわばビールの酒粕を主原料とし、ビタミンBを多く含む食品でイギリス人の中でも好みが賛否両論わかれる食べ物。発酵食品として栄養価が高く、よくトーストにスプレッドして食べます。味的には癖のあるマーマイトと濃厚なバターを混ぜたマーマイトバター。塩味が効いて結構大人であれば美味しく食べれる、意外な組合わせの一品。
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スターターは、セロリアックのピューレ、オイスターマッシュルームと卵の黄身添え。セロリアックはセリ科の食物で良くシチューやスープの煮込み料理に使われる食材で、冬に良く食べられる食材。他の根菜と異なりでんぷんが入っていて、ジャガイモとセロリの間の食感。このオイスターマッシュルームは、味付けがしっかりされていてオイスターマッシュルーム細く小さく刻み、一瞬味も見かけもカリカリベーコンと間違えるぐらいの食感。セロリアックは熱を加えて調理されるとよりまろやかな味がするので塩味のきいたオイスターマッシュルームとの相性も抜群。
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メインは、豚肉と焦げた林檎ソースとこんがりとキツネ色に炒められたネギ。この焦げたアップルソースはまさしく、鍋底で焦がれた林檎ソース。苦味がある分、豚肉の素材としての甘さを楽しむソースらしい。イギリスでは豚肉と相性が良いのはアップルソース、羊肉だとミントソース、牛肉だとグレイビーソース(肉汁ソース)というのが通常。この豚肉にもグレイビーがちょっとかかっている。
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最後の一品は、チーズとアップルチャツネとクラッカー。

この内容でこのロケーションにあり、この価格はやはり破格的だと思う。ガーディアン誌によると近年フランスから始まった『ビストロミー』という動きが料理界に革命を引き起こしているらしい。若手のシェフでそれなりの高級レストランで修行経験があるが、本当に自分のやりたいのは高級店では無いという人たち。メインストリームな食ガイドブックの評価やパキパキのリネンテーブルクロス、ロブスターにフォアグラという所謂王道的なレストランの体裁等に嫌気をさした若手シェフの台頭がこのビストロミーの原動力らしい。高級店並みの上質な食材を使いつつ、カジュアルな料理でより多くの人に気軽に来てもらえるお店作り。まさしく、ここはそんなオススメのお店のです。

NEO BISTRO
住所:11 Woodstock St, Mayfair, London W1C 2AE, UK
TEL:+44 020 7499 9427
最寄り駅:地下鉄BOND STREET or Oxford Circus駅から徒歩10分程
http://neobistro.co.uk/
Text&Photo by Tatsuo Hino

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日野 達雄

日野達雄

英国在住歴19年のメディア/ファッションコンサルタント。
英スタイル雑誌の出身で英/日の雑誌にも寄稿をするライターでありながら、音楽、ファッション、フード、写真と様々なジャンルでのコンサルティング業務に携わる。

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