このコラムの執筆に関わり、人からの推薦を頼りにレストランを選んでいるのだが特に私が出没するイーストロンドンでは行ったことがないレストランがどんどん稀少になり、常に頭をかかえている最中に、奇妙なレストランが出来たからと聞いて早速足を運んでみた。『酢』を前面におしたコンセプトで、ロンドン中心街SOHOで拠を構える『DUCKSOUP』の系列店らしい。前述の『DUCKSOUP』も小さい店構えが好きで、あまり知られていない銘柄のワインを揃えていて、ハズレのない評判の良いレストラン。酢は、体に良い、善玉のバクテリアが内臓をきれいにして免疫力を高める効用がある。5〜6年前になるが、ニューヨークに行った際にローカルの人と飲みに行った時に、Pickleback Bar(ピックルバックバー)に連れていってもらったのを思い出した。ウィスキーやハードリカーをショットでのみ、続けて酢漬けした酢汁を飲むのだが、酢汁を飲む場所などロンドンでは全く聞いた事がないのだが。こういったトレンドがジワジワと知らないところできていたのか?アメリカでは結構人気の飲み物だと言われたのだが‥‥。
このレストランは、誰かの家で、大きな食卓を囲んで会食をしているぐらいのノリのレイアウト。色々な発酵食は、瓶詰めで販売しており購入し持ち帰りも出来るし、大きなテーブルに並べられた瓶や食材を見ながら食べるというカジュアル過ぎるぐらいのノリも良い。使っているキッチンもかなり簡易的なものだ 。
このレストランがあるエリア『DALSTON(ロンドン北東部ダルストン)』も新しいモノやコトが発信されるエリアである。あまり体裁ばかりを気にし過ぎるぐらいであれば、自由に友好的な雰囲気で美味しい食事と会話、飲み物を楽しめるスペースが今の若いプロフェッショナル層が望んでいる場所なのかも知れない。こんなに多民族が住む街で、3月末にむかえる『BREXIT』英国のEU離脱、ロンドンはやはり包含的であり排他的ではない街であると強く思うし、逆にそういった想いがこういったレストランのコンセプトにも出ているのではないか?とも思う。メニューもキッチンスタッフチームの旅で体験した食べ物が並ぶのも特徴的だ。例えば、味噌と鰹節を使ったイギリスの朝食の定番、甘くないポリッジなど、非常にヒネリがあって面白い。
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このレストランがあるエリア『DALSTON(ロンドン北東部ダルストン)』も新しいモノやコトが発信されるエリアである。あまり体裁ばかりを気にし過ぎるぐらいであれば、自由に友好的な雰囲気で美味しい食事と会話、飲み物を楽しめるスペースが今の若いプロフェッショナル層が望んでいる場所なのかも知れない。こんなに多民族が住む街で、3月末にむかえる『BREXIT』英国のEU離脱、ロンドンはやはり包含的であり排他的ではない街であると強く思うし、逆にそういった想いがこういったレストランのコンセプトにも出ているのではないか?とも思う。メニューもキッチンスタッフチームの旅で体験した食べ物が並ぶのも特徴的だ。例えば、味噌と鰹節を使ったイギリスの朝食の定番、甘くないポリッジなど、非常にヒネリがあって面白い。
大きな食卓テーブルがセンターステージに。家庭で食べる感覚をそのまま気軽に楽しめる、家庭版シェフズテーブル。
今日のドリンクメニュー。発酵カクテルとバイオワイン。コンブチャカクテルとルバーブ酢汁カクテル。Komucha(コンブチャ)はどうやらモンゴル発祥の発酵飲料で今健康食品として注目されている。基本的に、紅茶や烏龍茶、緑茶やルイボス茶などにゲル状のコンブチャ菌と砂糖を入れ、お茶そのものを自然発酵させたものらしい。
前述のルバーブ酢汁カクテル。梅酒っぽい味で女性にも飲みやすい味。
今またもや人気の自家製キムチ。お酒の最高の供。キムチも最近よくスーパーマーケットで見るようになったし、自家製キムチが流行っている。キムチとエメンタルやゴーダチーズのようなマイルドなチーズをトーストしたキムチトースティーは、結構よく見かけるようになった。
鱈子と焦がしたカリフラワーの丸焼き。この鱈子の食べ方は、レモンとオリーブオイルを絡めてギリシャ料理で知られている一品。酸味とキックのある赤唐辛子と歯応えのあるカリフラワー、かなり良いコンビネーション。
ストラッチャテッラ、ボロキレのような形のパスタと子羊、ひよこ豆の一品。肉汁とチーズの濃厚さが加わった結構食べた感がある美味しい一品。イタリアがベースの一品。
タコブツ切りとポテトのピスタチオ添え。シンプルだけど、味と食感のバランスが絶妙。
牛の頰肉とファーロと季節のキャベツ。ヨーロッパでは有名なFarro(ファロ)と呼ばれるスペルト小麦種の古来穀物を使ったモーリッシュな一品。Moreish = 食べ出したら止まらない一品。これも今話題の健康食材の一つ。
しめとして、酸味のあるクリアなオレンジワイン。
パンキッシュな若い女性シェフがキッチンをきりもりしていたのが印象的。それも食べている前1.5メートルぐらいの距離感で。
火曜日の夜だったが、帰る頃には大きな食卓を賑やかに囲む人で溢れる。
シンプルな料理だけど味のコンビネーション、旅からインスパイアされた多国籍の食材をアレンジしてカジュアルに出す。でもローカルに根付いていて、『酢』をコンセプトにしたレストランは(私の間違いかも知れないが?)ロンドン中を探してもないだろう。今後は、レストランだけでなく、ローカルを巻き込んだプロジェクトを少しずつ行なっていくらしい。既に来夏は、ローカルの人達とサマーフルーツ狩りに出掛けて、それを酢漬けし、発酵食品を作ろう的なワークショップを計画中らしい。そういう所も彼等らしく、等身大で楽しんでいる感がスタッフからも伝わる。レストラン業に今最も必要とされているのはそういうことなのでは!こちらで作っているピックルス系は卸も行なっているみたい。興味がある人は是非!Little Duck – The Picklery
住所:68 Dalston Ln, London E8 3AH
最寄り駅:オーバーグラウンドDalston Junction駅から徒歩3分程
www.littleduckpicklery.co.uk
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日野達雄
英国在住歴19年のメディア/ファッションコンサルタント。
英スタイル雑誌の出身で英/日の雑誌にも寄稿をするライターでありながら、音楽、ファッション、フード、写真と様々なジャンルでのコンサルティング業務に携わる。