小麦粉にまみれた拳=ダスティーナックル。こぶしがお店のサインのモチーフになっているベイカリー&カフェは、イーストロンドンでナンバー1の座にかがやくベイカリーだと思う。ここは このカフェの存在を知らないと、歩いていて偶然見つけるような所になく、おそらく近くに住んでいる人でも知らない人も多いだろう。このカフェは今ヒップな場所として注目されるダルストンにある。実は、僕が初めて15年前ぐらいに個人的に借りたスタジオ(オフィス)もダルストンで、その建物の裏側に居を構えている。当時は、この辺りは何もなかった。カフェというカフェもなく、その分賃貸もかなり安かった。ここのスタジオも賃貸料が上がりすぎて、8〜9年ぐらい前に違うエリアに引っ越したのだが、そういう所縁もあり個人的に非常に懐かしい場所でもある。彼らがここの居を構えたのは3〜4年前ぐらいだと思う。近隣に、リドリーマーケットという移民色に溢れるカラフルで賑やかなマーケットが目印だ。
今日のランチは、弊社のスタッフと一緒。
冬模様満開の今の季節は、スープで体を温める。冬のランチ必需品である。
リドリーマーケット
15年前に借りていたスタジオ
The Dusty Knuckleへの入り口となる道
この何もない入り口となる道を抜けると駐車場のような広場にでる。ここが彼らのベイカリー件カフェになる。隣はダルストンの地ビール/クラフトビールとして知られている40FT Breweryでシッピングコンテナを利用した内装をしている。カフェの反対側がコンテナを再利用したベイカリークラス。彼らは、真面目にベイキングに取り組んでいる集団である。当然彼らは近隣のカフェ等にパンを提供している。 40FT Brewery
入り口
ここに来るといつもタイムスリップしたノスタルジックな感じがする。ベルリンのカフェにいるのではと錯覚を抱く。常にテイクアウェイをする人、パンだけを夕食用に買いに来る人、カフェでランチをしている人と賑やかだ。ローカルに愛されているスポットである。今オシャレなエリアとして注目されているダルストンとあって、来ている人達もお洒落な人が多い。 外は若干寒いにも関わらず、多くの人で賑わう。
冬模様満開の今の季節は、スープで体を温める。冬のランチ必需品である。
レンズ豆とホウレン草とクミンシードの日替わりスープ。シンプルだが、ホウレン草のとろける食感とクミンシードの香りもあり、今日の様な寒い日には最高の一品で、£5の手頃感。
ピリッと辛く、酸味もあり絶妙なトマトチャットニー。それと一緒に食べるこってりしたソーセージロール。
ポークショルダーと林檎ケチャップ、ラディッキオのサンドイッチ。スタッフの男の子がここのカフェに来たのは初めてで、美味しさにうなっていた。
テイクアウェイ用のパンカウンターも人気で、13時ぐらいの時点でほぼ完売。
今日の夕食用の戦利品
実は、ここにブリオッシュの食パンが一斤売っている時がある。通常は、カフェの料理用にしか作っていないこのブリオッシュ食パン。閉店前に行くと、お店で使いきれないのが残っていると聞けば販売してくれる。これが我が家では、大人気である。美味しいパン屋の数もここ最近増えた。彼らの大きな目的は、パン作りを通した社会貢献。若い頃に犯罪やトラブルで脱線したユースやダメだとレッテルの貼られたユースに美味しいものを人につくる労働とその喜びを通して社会で自分達のあり方をもう一度見つめ直してもらう。パン作りは、朝が早く(朝4時)、体力のいる作業を伴う。彼らが、ここで体現しているのはローカルに愛される美味しいだけの単なるカフェではなく社会とコミュニティーに真っ直ぐに向かい合っているソーシャルエンタープライズである。 The Dusty Knuckle
住所:Abbot Street Car Park, off Kingsland High Street, London
最寄り駅:Dalston Kingsland駅/Dalston Junction駅から約徒歩3分程
www.thedustyknuckle.com
日野達雄
英国在住歴19年のメディア/ファッションコンサルタント。
英スタイル雑誌の出身で英/日の雑誌にも寄稿をするライターでありながら、音楽、ファッション、フード、写真と様々なジャンルでのコンサルティング業務に携わる。