イギリスに来たらパブは欠かせない存在。と言いながらも、近年パブも多様化してきている。リモートワークなどがまだ著しく続くイギリスでは、就労後に同僚と軽く一杯という機会も減っているし、パブ=社交場としての存在価値もひょっとしたらかわってきているのかもしれない。自論だとは思うが、昨今あまりパブに行くことが減った中で、パブを取り巻く傾向で気になっていることがある。
私がロンドンに移住した2000年前半の頃から仕事がおわれば、同僚や友人と軽く一杯、そして帰宅というのが日課だった。イーストロンドンのオールドストリートのオフィスで当時は勤務をしていたので、ホクストン・スクエアの近くにあったCharlie Wright(チャーリーライト)というジャズとタイ飯を楽しむパブに通っていたのをふと思い出した。クラーケンウェルに住んでいた頃にあった近場のパブ、名前は思い出せないが(現:Lady Ottoline)もタイ飯をだしていて、当時ハウスシェアをしていたイギリス人の子が『タイ飯をサーブするパブには、タイ奥さんが必ずいるんだよね!』と話していて、そうなのかと半信半疑でうなずいたのを今も覚えている。彼曰く、タイはイギリス人年配の人が好んでいくバカンス地で、現地のタイ女性に惚れて、一緒に帰国。そんな理由からパブで美味しいタイ飯が食べられるということだった。未だにそれが本当かどうかはわからないが、確かに当時そういったパブは結構あったなという印象もあるし、昨今そういったパブにでくわすことが減ったのも事実だ。
昨今、あまりパブに行くこともサンデーローストを食べたりする機会も確かに減っているが、久しぶりに行くとやはり落ち着く。今は、自宅近辺のパブが行動範囲になってはいるが。。。
話は少し脱線するが、最近トラベリング・シェフ(出張シェフ?)もしくはレジデンシー・シェフ(期間限定で料理をふるまう)をコンセプトにかかげるレストランをチラホラとみるようになった。そのハシリ的存在は、ポルトガル出身のシェフ、ヌノ・メンデス氏が2009年ぐらいだったと思うがLOFT PROJECTというコンセプトダイニングをはじめたときだと思う。デュープレックスのアパートメントに業務用のキッチンを入れて、16人座れる長テーブル一台だけをキッチンが併設したメインダイニングルームにドンとおき、サンプルメニューのコース料理とドリンクペアリングで、2階にレジデンシーをするシェフが泊まるプライベートダイニングである。色々な都市からシェフはきて、滞在中の間だけそれぞれの得意&ルーツの料理をふるまう。『自宅にいる感覚で、料理を楽しめる』がコンセプトだった。当時は斬新的なアイデアだったが今はCAROUSELというゲスト・シェフをコンセプトにするレストランが存在する。 例えば、メキシコシティの人気レストランのシェフが一週間のレジデンシー・シェフとして登場する。メキシコシティに行かなければその料理は食べられないのだが、その期間だけその料理が大西洋をこえてロンドンにあらわれる。今は、ゲスト・シェフプログラムをおしているところは本当に増えた。
二店鋪目は、インディアンカレーとパブ。Desi Pub (デシ・パブ)という言葉を皆さんは知っているだろうか?コロニアル(植民地時代)な言葉なので、あまり公に使う言葉ではないと思うが、旧英国領インドからの移民が経営するパブを総称してデシ・パブと呼ぶらしい。イギリスとアジアの文化的融合をさす言葉だという人もいるが、コロニアルの名残りがあるのであれば響きは良くないだろう。ここは私の叔父がこのパブの近所に住んでいるので最近気になっていたパブ。カレー好きな私は、カレー好きの友人と色々なカレーハウスを定期的にいくようにしている。特にパブでカレーが食べられるところはとにかく気になる。話はそれるが、自宅の近所にあるジョリーブッチャーズも平日はカレー、週末はブリティシュローストをだすオススメのパブの一つである。
ビールとカレーとサッカーは英国男性の三種の神器?だと冗談紛れに話しているのを聞いたことがあるが、ビールとカレーの相性は抜群、間違いない。カレー料理専門店でもやっていけるぐらいのクオリティの高さをパブという環境で楽しめる。すぐにカレー好きの友人にも話をして、次回定例のカレー会で行くことに。住宅地の中にポツンとあるパブ、カレー好きにはオススメのパブカレーだ。
私が移住してきた時とは違って、ロンドンの食の多様化が進んだ証拠だと思う。ロンドンは、より コスモポリタンになり、色々な国籍の料理が特にエスニック料理の種類の多さやバラエティーを楽しめるようになった。ブリティッシュの代表格であるパブと移民のもたらした食の恩恵、今後もアジア飯をかかげるパブも増えていくかもですね、こう期待。
私がロンドンに移住した2000年前半の頃から仕事がおわれば、同僚や友人と軽く一杯、そして帰宅というのが日課だった。イーストロンドンのオールドストリートのオフィスで当時は勤務をしていたので、ホクストン・スクエアの近くにあったCharlie Wright(チャーリーライト)というジャズとタイ飯を楽しむパブに通っていたのをふと思い出した。クラーケンウェルに住んでいた頃にあった近場のパブ、名前は思い出せないが(現:Lady Ottoline)もタイ飯をだしていて、当時ハウスシェアをしていたイギリス人の子が『タイ飯をサーブするパブには、タイ奥さんが必ずいるんだよね!』と話していて、そうなのかと半信半疑でうなずいたのを今も覚えている。彼曰く、タイはイギリス人年配の人が好んでいくバカンス地で、現地のタイ女性に惚れて、一緒に帰国。そんな理由からパブで美味しいタイ飯が食べられるということだった。未だにそれが本当かどうかはわからないが、確かに当時そういったパブは結構あったなという印象もあるし、昨今そういったパブにでくわすことが減ったのも事実だ。
昨今、あまりパブに行くこともサンデーローストを食べたりする機会も確かに減っているが、久しぶりに行くとやはり落ち着く。今は、自宅近辺のパブが行動範囲になってはいるが。。。
話は少し脱線するが、最近トラベリング・シェフ(出張シェフ?)もしくはレジデンシー・シェフ(期間限定で料理をふるまう)をコンセプトにかかげるレストランをチラホラとみるようになった。そのハシリ的存在は、ポルトガル出身のシェフ、ヌノ・メンデス氏が2009年ぐらいだったと思うがLOFT PROJECTというコンセプトダイニングをはじめたときだと思う。デュープレックスのアパートメントに業務用のキッチンを入れて、16人座れる長テーブル一台だけをキッチンが併設したメインダイニングルームにドンとおき、サンプルメニューのコース料理とドリンクペアリングで、2階にレジデンシーをするシェフが泊まるプライベートダイニングである。色々な都市からシェフはきて、滞在中の間だけそれぞれの得意&ルーツの料理をふるまう。『自宅にいる感覚で、料理を楽しめる』がコンセプトだった。当時は斬新的なアイデアだったが今はCAROUSELというゲスト・シェフをコンセプトにするレストランが存在する。 例えば、メキシコシティの人気レストランのシェフが一週間のレジデンシー・シェフとして登場する。メキシコシティに行かなければその料理は食べられないのだが、その期間だけその料理が大西洋をこえてロンドンにあらわれる。今は、ゲスト・シェフプログラムをおしているところは本当に増えた。
『The Gun E9』の外観
その潮流の一つなのか?はわからないが、気になっているパブを最近二つみつけた。伝統的な英国式パブで定評のあるアジア飯をサーブしている人気店があると聞いた。ヴェトナム/チャイニーズとカレー。Supa Ya Ramen、Bodega Rita’sなどでポップアップレストランを展開してきたLing Lingsが、レジデンシー・シェフとしてモダンヴェトナム/チャイニーズ料理をだす『The Gun E9』。チャイニーズレストランを経営する両親の影響もあり、マンチェスターで育った移民二世の若手シェフである。メニューも昔ながらな、油っこいチャイニーズというイメージはなく、まさしくモダンチャイニーズ。外観と1階だけみると、昔ながらのパブ。2階がダイニングエリアになっている。 味噌とキムチソースがかかったキムチとパドロンペッパー。斬新的なアイデアでアジアとヨーロッパの融合、自宅でも作りたい一品
セシュアンペッパーをからめた手羽先と大根の酢漬け。よくマリネートされた上にカラッと揚げられているので油っこさがない
フムスと豆板醤漬けのマッシュルームと揚げた雲呑の皮。パリパリの雲呑でマッシュルームとフムスをディップして食べる。最高に美味しい!
豆腐を包んだ揚げ雲呑。
そしてちょっと微妙だったが、ジャパニーズポテトサラダとメニューにかかれていたので気になってオーダーをしたが、ポテトサラダにチリとチリオイルをかけた不思議な味の一品
ソルト&ペッパー海老。ソルト&ペッパー烏賊は定番だが、海老バージョンはオススメ。茹でた鶏肉と搾菜とグラスヌードルのサラダ。そしてセシュアンソースと厚揚げ、ズッキーニをメインにした太麺、アジア風カルボナーラ?ヴェトナム料理では定番のシーバスに酢漬けピクルスとフレッシュチリを絡めた一品と女性シェフのクリエイティブさが伝わるメニューになっている
ヴェトナム シーバス
面白い視点の料理が多くて、新しい発見もあり美味しかった。値段もすごく良心的なのが、更に嬉しい!ちょっと辺鄙な場所にはあるが、足を運ぶ価値はおおいにあるので、是非オススメです。 The Gun E9
URL: http://www.thegunwellstreet.com/
235 Well Street, Homerton, London, E9 6RG
Instagram: https://www.instagram.com/ling_lings_/
二店鋪目は、インディアンカレーとパブ。Desi Pub (デシ・パブ)という言葉を皆さんは知っているだろうか?コロニアル(植民地時代)な言葉なので、あまり公に使う言葉ではないと思うが、旧英国領インドからの移民が経営するパブを総称してデシ・パブと呼ぶらしい。イギリスとアジアの文化的融合をさす言葉だという人もいるが、コロニアルの名残りがあるのであれば響きは良くないだろう。ここは私の叔父がこのパブの近所に住んでいるので最近気になっていたパブ。カレー好きな私は、カレー好きの友人と色々なカレーハウスを定期的にいくようにしている。特にパブでカレーが食べられるところはとにかく気になる。話はそれるが、自宅の近所にあるジョリーブッチャーズも平日はカレー、週末はブリティシュローストをだすオススメのパブの一つである。
『The Tamil Prince』の内装
内装は極めてシンプル。わりと平日の早い時間18時に予約をしたのだが、その時間しかテーブルが空いていなかったのでいたしかたなく、その時間に。入ってすぐに気付く点は、バーやホールを担当しているのは白人で、キッチン担当はインド系。だしている料理を考えると当然だが、あまりこういう構図のパブは少ないかと。前述のジョリーブッチャーズもそうだが、移民の料理がパブというブリティッシュ文化により融合されている動きを体現しているような気がする。以前、国民調査でイギリスでナンバー1大衆料理はという質問に対して、カレーという回答が一番多いかったという話を聞いたことがある。昔はフィッシュ&チップスだったのだが。 クラフトビール(ブリティッシュビールとインディアンペールエール)以外にも数種類のカクテルも揃えている。気分的にはネグローニ。ロンドンソーホーにあるBAR TERMINI(ネグローニで有名なバー)が伝授したカクテルメニューらしい
まずは今やモダンインディアンでは定番になったオクラフライとオニオンバージ&ミントディップ。オクラフライは、やみつきになる上にサクサクしていてヘルシー
必ずインド料理にいったらたのむ、濃厚なダールマクニ。インドでは大人気のカレーである。ラムカレーとロティもハズせないし、ハズれることが少ない一品だ
ここの目玉料理は、マサラソースでマリネートされたタイガー海老。大ぶりでこんな大きな海老は見たことがないぐらい大きいのとプリプリ感が素晴らしい。今までで食べたタイガー海老の中でも最高の一品だった
レンズ豆と米粉で作られた風船のようなパンケーキは南インドで人気のウタパム。これは、ビジュアル的にみても圧巻で、必ずここにきたら注文をするオススメの一品
ビールとカレーとサッカーは英国男性の三種の神器?だと冗談紛れに話しているのを聞いたことがあるが、ビールとカレーの相性は抜群、間違いない。カレー料理専門店でもやっていけるぐらいのクオリティの高さをパブという環境で楽しめる。すぐにカレー好きの友人にも話をして、次回定例のカレー会で行くことに。住宅地の中にポツンとあるパブ、カレー好きにはオススメのパブカレーだ。
私が移住してきた時とは違って、ロンドンの食の多様化が進んだ証拠だと思う。ロンドンは、より コスモポリタンになり、色々な国籍の料理が特にエスニック料理の種類の多さやバラエティーを楽しめるようになった。ブリティッシュの代表格であるパブと移民のもたらした食の恩恵、今後もアジア飯をかかげるパブも増えていくかもですね、こう期待。
The Tamil Prince
URL: https://www.thetamilprince.com/
115 Hemingford Road, London, N1 1BZ
日野達雄
英国在住歴19年のメディア/ファッションコンサルタント。
英スタイル雑誌の出身で英/日の雑誌にも寄稿をするライターでありながら、音楽、ファッション、フード、写真と様々なジャンルでのコンサルティング業務に携わる。