11月のイギリスは、クリスマス準備に向けて忙しくなってくる時期です。近所のスーパーでは、クリスマスツリーが飾られるのと同時に、カウントダウンが始まっていました。
さて、そのクリスマスに欠かせないイギリスのクリスマス三大菓子といえば、クリスマス・プディング、クリスマス・ケーキにミンス・パイです。それについては、以前、このコラムでもご紹介したので、覚えていらっしゃるかもしれませんね。
そして実はイギリスでは、この三大菓子以外にも、クリスマスの時期に必ずどの家にも準備される甘いものがあるのをご存知でしょうか。
それは何かというと……缶やプラスチックでできた直径20~25センチくらいの容器に詰め合わせられた、一口サイズのチョコレートです。
そして、今月始めに、このイギリスのクリスマスに欠かせないチョコレートの詰め合わせについて、重大発表がなされました。 それは、チョコレートボックスのブランドのひとつとして有名な「セレブレーションズ(Celebrations)」から、人気のないバウンティ(Bounty)を取り除いた商品を販売する、というものでした。
鮮やかな赤色が目をひくセレブレーションズの容器。その中には、日本でもおなじみのスニッカーズをはじめとしたチョコレート菓子を一口サイズにしたものが、8種類入っています。そして、この8種類のうち、人気がなくていつも最後に残ってしまうのが、このバウンティなのです。
バウンティは、刻んだココナッツとココナッツクリームがぎっしり詰まったかたまりを、ミルクチョコレートでコーティングしたもの。口いっぱいに広がる風味が南国のホリデーを思い起こさせるせいか、ココナッツ好きにとっては、クセになるお菓子です。
ところが、セレブレーションズを発売している企業マースによれば、18~65歳の2000人を対象にした調査をした結果、22%の人がココナッツ味のバウンティが嫌いだといい、18%の人が容器の中にバウンティバーだけが残っているとイライラすると回答したそうです。そして、そのせいで58%が家族喧嘩(!)に発展すると考えているのだとか(これはまあ、イギリスの人たちの自虐的ユーモアとも考えられますが)。
こうした調査を受けて、同社では、今年は特別にバウンティ抜きのセレブレーションズをテスコ(Tesco)というスーパーで、11月8日から12月8日にかけ、イングランド内の限定された店舗で特別販売することを決めました。
セレブレーションズと同様に、イギリスのクリスマスチョコレート詰め合わせとして知られているものには、クオリティ・ストリート(Quality Street)、ロージズ(Roses)、ヒーローズ(Heroes)がありますが、これらがスーパーで山積みになった様子を見ていると、今年は、セレブレーションズの山がいち早く小さくなっているようです(それらはバウンティ入りにも関わらず)。
それを見ていると、クリスマス商戦における各企業のPR戦略、この冬はセレブレーションズを手がけるマース社の勝利かな~、という気がします。
ちなみに、イギリスで大人気を誇った人気コメディードラマ『ギャビン・アンド・ステイシー(Gavin & Stacey)』の2008年クリスマス特番の中にセレブレーションズが出てきます。登場人物のひとりであるネッサという女性が、クリスマスプレゼントとして、セレブレーションズのチョコレートをたったのひとつずつ、友人たちにプレゼントする、という場面。そのとき、一粒のバウンティをもらったステイシーの母親グウェンが、すごく残念そうな顔をするシーンがあるのです。視聴者がこの場面で笑うことができるのは、イギリスの大多数の人が、バウンティは好きじゃない、という前提があるからこそなんですよね。
イギリスのクリスマスに欠かせないチョコレート菓子の数々。もしクリスマスシーズンにイギリスに来ることがあれば、ぜひお試しくださいね。
さて、そのクリスマスに欠かせないイギリスのクリスマス三大菓子といえば、クリスマス・プディング、クリスマス・ケーキにミンス・パイです。それについては、以前、このコラムでもご紹介したので、覚えていらっしゃるかもしれませんね。
そして実はイギリスでは、この三大菓子以外にも、クリスマスの時期に必ずどの家にも準備される甘いものがあるのをご存知でしょうか。
それは何かというと……缶やプラスチックでできた直径20~25センチくらいの容器に詰め合わせられた、一口サイズのチョコレートです。
この時期のスーパーでは、チョコレートの箱が山積みになっているのが定番の風景。
そして、今月始めに、このイギリスのクリスマスに欠かせないチョコレートの詰め合わせについて、重大発表がなされました。 それは、チョコレートボックスのブランドのひとつとして有名な「セレブレーションズ(Celebrations)」から、人気のないバウンティ(Bounty)を取り除いた商品を販売する、というものでした。
鮮やかな赤色が目をひくセレブレーションズの容器。その中には、日本でもおなじみのスニッカーズをはじめとしたチョコレート菓子を一口サイズにしたものが、8種類入っています。そして、この8種類のうち、人気がなくていつも最後に残ってしまうのが、このバウンティなのです。
「セレブレーションズ」には8種類のチョコレート菓子が入っている。
我が家でも、確かにいつも残るのはバウンティ。
バウンティは、刻んだココナッツとココナッツクリームがぎっしり詰まったかたまりを、ミルクチョコレートでコーティングしたもの。口いっぱいに広がる風味が南国のホリデーを思い起こさせるせいか、ココナッツ好きにとっては、クセになるお菓子です。
ところが、セレブレーションズを発売している企業マースによれば、18~65歳の2000人を対象にした調査をした結果、22%の人がココナッツ味のバウンティが嫌いだといい、18%の人が容器の中にバウンティバーだけが残っているとイライラすると回答したそうです。そして、そのせいで58%が家族喧嘩(!)に発展すると考えているのだとか(これはまあ、イギリスの人たちの自虐的ユーモアとも考えられますが)。
こうした調査を受けて、同社では、今年は特別にバウンティ抜きのセレブレーションズをテスコ(Tesco)というスーパーで、11月8日から12月8日にかけ、イングランド内の限定された店舗で特別販売することを決めました。
「クオリティ・ストリート」は1936年にマッキントッシュ社から発売された(現在はネスレ社が販売)。赤、黄、ピンク、青、緑、オレンジ色の鮮やかなセロファンの包み紙に包まれたチョコレートとトフィー(キャラメル)はまるで宝石のよう。
「ヒーローズ」は19世紀に創立されたキャドバリー社が1999年から発売している商品。子供たちに人気のクリーム・エッグをはじめ、同社の人気チョコレートが9種類入っている。
セレブレーションズと同様に、イギリスのクリスマスチョコレート詰め合わせとして知られているものには、クオリティ・ストリート(Quality Street)、ロージズ(Roses)、ヒーローズ(Heroes)がありますが、これらがスーパーで山積みになった様子を見ていると、今年は、セレブレーションズの山がいち早く小さくなっているようです(それらはバウンティ入りにも関わらず)。
それを見ていると、クリスマス商戦における各企業のPR戦略、この冬はセレブレーションズを手がけるマース社の勝利かな~、という気がします。
ちなみに、イギリスで大人気を誇った人気コメディードラマ『ギャビン・アンド・ステイシー(Gavin & Stacey)』の2008年クリスマス特番の中にセレブレーションズが出てきます。登場人物のひとりであるネッサという女性が、クリスマスプレゼントとして、セレブレーションズのチョコレートをたったのひとつずつ、友人たちにプレゼントする、という場面。そのとき、一粒のバウンティをもらったステイシーの母親グウェンが、すごく残念そうな顔をするシーンがあるのです。視聴者がこの場面で笑うことができるのは、イギリスの大多数の人が、バウンティは好きじゃない、という前提があるからこそなんですよね。
イギリスのクリスマスに欠かせないチョコレート菓子の数々。もしクリスマスシーズンにイギリスに来ることがあれば、ぜひお試しくださいね。
「ロージズ」は1938年から登場したチョコレート。「ヒーローズ」と同じキャドバリー社によって作られていて、王室御用達のマークがついている、ロイヤルファミリーにも認められた存在。
マクギネス真美
英国在住20年のライフコーチ、ライター。オンラインのコーチングセッションで、人生の転換期にある方が「本当に生きたい人生」を生きることを日本語でサポート。イギリスの暮らし、文化、食べ物などについて書籍、雑誌、ウェブマガジン等への寄稿、ラジオ番組への出演多数。
音声メディアVoicy「英国からの手紙『本当の自分で生きる ~ 明日はもっとやさしく、あたたかく』」にてイギリス情報発信中。
ロンドンで発行の情報誌『ニュースダイジェスト』にてコラム「英国の愛しきギャップを求めて」を連載中。
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