馬の鞍や皮革製品を扱うメーカーとして1866年にバーミンガムで創業した、ブルックス。愛馬の死という悲しい出来事をきっかけに自転車に乗った創業者が、サドルに不満を抱き自ら作りが初めたのがきっかけだという。ブルックスのバッグやアクセサリー類は、サドル同様に使えば使うほど馴染んでいくアイテム。代表を務めるクリスティーナ・ブルディグさんに、ブランドのフィロソフィーから個人的に愛着を持っているものについてまで、さまざまなお話をうかがった。
ーブルックスは約150年の歴史をもつブランド。クリスティーナさんはブルックスと関わるようになる前、このブランドをどのように見ていたのでしょうか?
もともとは、セラロイヤルというイタリアの自転車サドルメーカーに籍を置いていました。ブルックスと手を組んだのは2002年のこと。サドルメーカーに勤める者として多くのサイクルブランドを見てきましたが、ブルックスはサイクル業界の中でも非常に古く、歴史的。多くのサドルブランドが生まれては消える中で150年も生き続け、まるで“おじいちゃん”のようなイメージね(笑)つまり、みんなからリスペクトされる存在。
ーなるほど!サイクル業界のおじいちゃん。
しかしブルックスはサドルメーカーの老舗として愛されるだけでなく、メッセンジャーバッグやバックパックなど、一つのファッションアイテムとして、サイクリスト以外からの支持も集めていますよね。
ブルックスでは1920年代、30年代と、スーツケースやバッグ、他のアクセサリーもつくっていました。現在のメッセンジャーバッグなどは、ブルックスに残されたアーカイブがベースとなっているもの。それがサイクリスト以外からも支持されているのは、ブルックスが“本物”だからです。
ーということは、現在のブルックスにおける多彩なアイテム展開は、ある意味、原点回帰?
創始者のブルックス氏は、愛馬が死んだことで移動手段を自転車に切り替えました。しかし木製のサドルでは、どうにも乗り心地が悪い。これを原点に快適なレザーサドルが生み出されるワケですが、ブルックス氏は、まるで発明家のような人。サドルだけでなく、自転車におけるすべてを快適にと、多くのアイテムをつくり出したんです。
ブルックスの歴史を理解する中で、私たちもいろいろな製品をつくらなければと感じました。ただ、いろいろと言っても、サイクリストのためのアイテムでなければいけません。創始者が貫いた「サイクリストのために」という軸から外れることなく、現代のライフスタイルにもマッチするエッセンスを加えていく。歴史を守りながらイノベーションしていくことこそ、ブルックスのフィロソフィーです。同じ製品ばかりつくっていては、ブルックス氏に笑われてしまいます(笑)
ーブルックスは今でも、創業の地であるイギリス・バーミンガムに生産拠点をもっていますが、これもフィロソフィーに関係しているのでしょうか?
バーミンガムの工場には45年ほども働いている65歳、いえ、70歳のスタッフまでいるの。もちろん若いスタッフもいますが、彼らは熟年スタッフのクラフトマンシップを学びたいとやって来ます。
私たちはブルックスというブランドではなく、ファクトリーに誇りを持っています。ファクトリーは歴史をもち、歴史は技術と人に支えられています。バーミンガムには、まさにそのファクトリーがあるのです。
「日本製品にはブルックスとの共通点がある。
ーところでクリスティーナさんご自身もサイクリストですか?
本格的なスポーツとしては乗らないけれど、通勤や街に出かけるときは自転車です。何よりアウトドア、自然の中にいることが好きね。けれど週末もサイクルショーに出かけたり、仕事で海外を飛び回っていることが多いから、あまり時間が取れなくて。たまに休みが取れると夫と一緒に山に登ったり、ゴルフをしたり……。そうそう、ブルックスではかつて、自転車に装着できるゴルフバッグをつくっていたの。いつかこれを再生産したい。なぜなら他でもない、私自身が使いたいから!
ーなるほど。ちなみにプライベートでお出かけになるときには、どんなファッションがお好みですか?
カジュアルで不変的なファッションが好き。特に日本人のカジュアルスタイルに好感を抱いています。なぜなら日本の方って、あまり大々的にブランドロゴの入った服を着ないでしょ? それでも素材やテキスタイルを活かした服をまとって、機能性まで感じさせてくれる。これは日本人デザイナーの力が大きく影響していると思います。ブランドロゴのネームバリューに頼らず、着心地と機能性で魅了する点に、ブルックスとの共通点を感じるんです。
ー普段からブルックスのアイテムを身に着けていますか?
もちろん!プライベートでもビジネスでも、多くのアイテムを愛用しています。今日のトートバッグもまさにそうだし、赤のカードケースもブルックス。サイクルブランドとしてカジュアルに合うのははもちろん、イギリスのブランドとして紳士的というか、女性目線で言えばマスキュリンなイメージなので、ビジネスシーンにマッチするアイテムが少なくありません。
さらにブルックス自身がスタイリッシュなブランド。カジュアルスタイルでもスーツスタイルでも、スタイリッシュな方には自ずと似合うはずです。
ークリスティーナさんの考えるスタイリッシュな人とは?
洋服がカチッとしていると言うよりも、上質なバッグやシューズ、革小物を身に着けている人でしょうか。トレンドに流されないタイムレスなアイテムを身に着けることにより、品が漂うと思うんです。
ー最後に、クリスティーナさんご自身が愛用されているタイムレスなアイテムを教えてください。
これもたくさんあるの。今日持っているものではお財布もそうだし、プレゼントにいただいた日本製のカードケースも、一生物だと思っています。こうした「一生、使いたい」と思えるアイテムは、生み出しているブランドそのものがタイムレス。単にクラシカルなだけでなく、不変性も備えているので、時代を越えて愛されます。皆さんに長く愛されているブルックスのサドルがそうであるように、です。
ーブルックスは約150年の歴史をもつブランド。クリスティーナさんはブルックスと関わるようになる前、このブランドをどのように見ていたのでしょうか?
もともとは、セラロイヤルというイタリアの自転車サドルメーカーに籍を置いていました。ブルックスと手を組んだのは2002年のこと。サドルメーカーに勤める者として多くのサイクルブランドを見てきましたが、ブルックスはサイクル業界の中でも非常に古く、歴史的。多くのサドルブランドが生まれては消える中で150年も生き続け、まるで“おじいちゃん”のようなイメージね(笑)つまり、みんなからリスペクトされる存在。
ーなるほど!サイクル業界のおじいちゃん。
しかしブルックスはサドルメーカーの老舗として愛されるだけでなく、メッセンジャーバッグやバックパックなど、一つのファッションアイテムとして、サイクリスト以外からの支持も集めていますよね。
ブルックスでは1920年代、30年代と、スーツケースやバッグ、他のアクセサリーもつくっていました。現在のメッセンジャーバッグなどは、ブルックスに残されたアーカイブがベースとなっているもの。それがサイクリスト以外からも支持されているのは、ブルックスが“本物”だからです。
「愛されているのは製品だけじゃない。そこに貫かれた社のフィロソフィー」
ーということは、現在のブルックスにおける多彩なアイテム展開は、ある意味、原点回帰?
創始者のブルックス氏は、愛馬が死んだことで移動手段を自転車に切り替えました。しかし木製のサドルでは、どうにも乗り心地が悪い。これを原点に快適なレザーサドルが生み出されるワケですが、ブルックス氏は、まるで発明家のような人。サドルだけでなく、自転車におけるすべてを快適にと、多くのアイテムをつくり出したんです。
ブルックスの歴史を理解する中で、私たちもいろいろな製品をつくらなければと感じました。ただ、いろいろと言っても、サイクリストのためのアイテムでなければいけません。創始者が貫いた「サイクリストのために」という軸から外れることなく、現代のライフスタイルにもマッチするエッセンスを加えていく。歴史を守りながらイノベーションしていくことこそ、ブルックスのフィロソフィーです。同じ製品ばかりつくっていては、ブルックス氏に笑われてしまいます(笑)
ーブルックスは今でも、創業の地であるイギリス・バーミンガムに生産拠点をもっていますが、これもフィロソフィーに関係しているのでしょうか?
バーミンガムの工場には45年ほども働いている65歳、いえ、70歳のスタッフまでいるの。もちろん若いスタッフもいますが、彼らは熟年スタッフのクラフトマンシップを学びたいとやって来ます。
私たちはブルックスというブランドではなく、ファクトリーに誇りを持っています。ファクトリーは歴史をもち、歴史は技術と人に支えられています。バーミンガムには、まさにそのファクトリーがあるのです。
「日本製品にはブルックスとの共通点がある。
だから私は日本人のスタイルが好き」
ーところでクリスティーナさんご自身もサイクリストですか?本格的なスポーツとしては乗らないけれど、通勤や街に出かけるときは自転車です。何よりアウトドア、自然の中にいることが好きね。けれど週末もサイクルショーに出かけたり、仕事で海外を飛び回っていることが多いから、あまり時間が取れなくて。たまに休みが取れると夫と一緒に山に登ったり、ゴルフをしたり……。そうそう、ブルックスではかつて、自転車に装着できるゴルフバッグをつくっていたの。いつかこれを再生産したい。なぜなら他でもない、私自身が使いたいから!
ーなるほど。ちなみにプライベートでお出かけになるときには、どんなファッションがお好みですか?
カジュアルで不変的なファッションが好き。特に日本人のカジュアルスタイルに好感を抱いています。なぜなら日本の方って、あまり大々的にブランドロゴの入った服を着ないでしょ? それでも素材やテキスタイルを活かした服をまとって、機能性まで感じさせてくれる。これは日本人デザイナーの力が大きく影響していると思います。ブランドロゴのネームバリューに頼らず、着心地と機能性で魅了する点に、ブルックスとの共通点を感じるんです。
「スタイリッシュな人には自ずと似合う。ブルックスのタイムレスな魅力」
クリスティーナさんが愛用する、ブルックスのトートバッグ。
ー普段からブルックスのアイテムを身に着けていますか?
もちろん!プライベートでもビジネスでも、多くのアイテムを愛用しています。今日のトートバッグもまさにそうだし、赤のカードケースもブルックス。サイクルブランドとしてカジュアルに合うのははもちろん、イギリスのブランドとして紳士的というか、女性目線で言えばマスキュリンなイメージなので、ビジネスシーンにマッチするアイテムが少なくありません。
さらにブルックス自身がスタイリッシュなブランド。カジュアルスタイルでもスーツスタイルでも、スタイリッシュな方には自ずと似合うはずです。
ブルックスのカードケースは、ビジネスシーンにもマッチする。
ークリスティーナさんの考えるスタイリッシュな人とは?
洋服がカチッとしていると言うよりも、上質なバッグやシューズ、革小物を身に着けている人でしょうか。トレンドに流されないタイムレスなアイテムを身に着けることにより、品が漂うと思うんです。
ー最後に、クリスティーナさんご自身が愛用されているタイムレスなアイテムを教えてください。
これもたくさんあるの。今日持っているものではお財布もそうだし、プレゼントにいただいた日本製のカードケースも、一生物だと思っています。こうした「一生、使いたい」と思えるアイテムは、生み出しているブランドそのものがタイムレス。単にクラシカルなだけでなく、不変性も備えているので、時代を越えて愛されます。皆さんに長く愛されているブルックスのサドルがそうであるように、です。