旅のスイッチとヤドリギ | BRITISH MADE

BRITISH SCENERY 旅のスイッチとヤドリギ

2017.04.25

大学生の頃にイギリスに行った際、空港からタクシーに乗って窓の外を眺めていてあれはなんだろう、と最初に目に止まったのはヤドリギという木でした。ボールのようなかたまりが木にいくつもぶら下がっていて、空港からの道すがら、しばらく続く風景の中で、その数は尋常ではないほど。鳥の巣が一本の木にいくつもできているようでした。一体あれはなんだろう、とすぐに調べたのを思い出します。
正しくは、その木そのものをヤドリギというわけではなく、樹木の枝や幹に付着したヤドリギの種がその木に寄生し、樹木から水分や養分を吸収して生長したものを言うそうです。
イギリスでヤドリギの存在を知った後、日本の花屋さんでヤドリギが売られているのを見かけました。遠くから見ていた時は茶色くて硬いボールのようなものに見えていたものが、想像とは全く違った葉の形と半透明の実で驚きました。
葉の形も実の付き方もかわいらしく、それからヤドリギモチーフのものをつい探してしまうようになりました。
ヤドリギはクリスマスのリースを作る際にも用いられる植物であり、神聖な植物とされていることからそのモチーフのものをよく目にします。

ポストカード イギリスのフリーマーケットで買ったポストカード。ヤドリギモチーフのものはこうしたカードではとても多く、特にクリスマスカードに使われています。 活版のような圧を加えられているものが好みです。
皿 これは友人がイギリスから買い付けてきたBadonvillerのヤドリギ柄のプレート。なかなか主張の強いプレートですが、ヤドリギの葉のフチが薄っすらとゴールドにペイントされていたりグリーンの濃淡が素敵です。
初めて訪れたイギリスで、初めて見たヤドリギの印象がとても強く、わたしにとってイギリスと言えばいちばんに思い起こす植物です。空港から車で街に向かう途中にその風景を見ると、イギリスに来たことを実感して、その旅への気持ちのスイッチが入る、そんな存在です。

Text&Photo by Reiko Ogino


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荻野 玲子

荻野 玲子

東京都生まれ。スタイリスト。岡尾美代子氏に師事。2013年独立。
ファッション、雑貨、インテリアと幅広く活動中。好きなものは猫と蚤の市。

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