イギリスとデザイン | BRITISH MADE

英国クリエイティブの窓  イギリスとデザイン

2017.07.25

人生とはよくわからないもので、ひょんなことからイギリスとの縁ができて、気づいたら今ロンドンで仕事をしている。デジタルプロダクションだとかデジタルマーケティングが主な事業なのだけれど、横文字が並ぶだけであまりピンと来ないかもしれない。簡単に言えばインターネット用のコンテンツや広告を制作し、それをマーケティングにどう利用するかを考える仕事だ。
20170725_London
コンテンツを作る過程は、気取って言えば、とてもクリエイティブなものだ。そうしたこともあって、職業柄「デザイン」にはとても気をつかう。が、デザインといってもアートやファッションといった狭義の意味には縛られない。すなわち、色や形だけに収れんされるものではない。日本でもビジネスの分野で「デザインシンキング」といった思考法が広まり始めているが、「課題解決のためのプロセス」とでもとらえればいいだろうか。Appleのプロダクトなんかはひと目にグッドデザインだとわかりやすいけれど、例えばAirbnbやUberなどもそうだ。サービス自体がうまくデザインされている。要はカスタマーの不便をテクノロジーなどを使って上手に解決しているというところが味噌だ。

前置きが長くなったが、以上のようなことを考えながらイギリスで生活しているので、この連載では「デザイン/広告」をテーマにこの国のクリエイティブを見ていく。

イギリスの「デザイン」といえば、僕が最初にこの国で暮らし始めたとき本当に感動したのが「政府のウェブサイト」だ。ビザを取るときも、現地法人を作るときも、プロセスがわかりやすくあらゆる役所作業がこれ一つで解決した(法律やルールじたいは複雑というオチはあるけれど)。ほとんどストレスなく作業を進められたし、これこそが「デザインだ!」と唸ったものだ。靴やネクタイや車のデザインだけではない、こうしたサービス設計にも気が利いているのがイギリスなのだ。その意味では「デザイン」の価値がくまなく行き届いているといえるかもしれない。(興味のある方は、政府のウェブサイトに「デザインに関する方針(Design Principles)」というページがあるので、ぜひ読んでみてほしい)

街中をぶらぶらと散歩したり、ショッピングをしたりしていても素敵なデザインに出くわすことが多い。

例えば老舗百貨店『リバティ』のリバティプリント。これなんかは観光客にはおなじみのイギリスを代表するデザインのアイコンだ。
20170725_Liberty
それからスコットランド国会議事堂の傍聴席のイス。僕の想像だけれど、この形はスコットランドの国土を模したものだと思う。
20170725_ScottishParliament
また、これはアートだけれど、観光名所のトラファルガー広場にある「Really Good」の像。これはフェイスブックの「いいね!」ボタンをモチーフにしたものだろう。
20170725_ReallyGood
このようにイギリスは素敵なデザインであふれている。ここでの連載でも事例にはこと欠かないはずだ。乞うご期待!

Text&Photo by Ishino Yuichi

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Ishino Yuichi

Yuichi Ishino

イギリスをはじめ、欧州と東京を拠点にするデジタルプロダクション/エージェンシー「TAMLO」代表。企業に向け、ウェブメディアの戦略コンサルティング、SNS施策、デジタル広告の運用、コンテンツの制作などを日英を含めた多言語でサポートする。好きな英国ドラマは『フォルティ・タワーズ』。ウィスキーはラフロイグ。

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