『brownie and tea room』小梅さんに聞く、使い続ける、愛で続けるイギリスの古道具の味わい。 | BRITISH MADE

My Favourite Journals 『brownie and tea room』小梅さんに聞く、使い続ける、愛で続けるイギリスの古道具の味わい。

2018.07.06

ブランケットやインテリア、カトラリーなどメイド・イン・イングランドのビンテージ商品が並ぶ「brownie and tea room」は、六本木・麻布十番にもほど近いながら閑静な南麻布の一角にお店を構えます。「飾るより、毎日使って楽しんで」と言う店主の小梅さんが思う、イギリスの古道具の魅力を伺いました。

イギリスで出会った素敵な人や物。
そこに共通する、穏やかで素直な雰囲気に惹かれて。

白壁で軽やかな印象の店内。大きいインテリアも揃う
元々、古いものや海外に行ったらいつも蚤の市に行くのが好きだったという小梅さん。
なかでもイギリスの古道具に特に惹かれたのは、ある素敵なお店との出会いでした。

「元々、兄がイギリスに住んでいて、イギリスには行くことが多かったんです。それである時、イーストに素敵なティールームを見つけて…。お店入ってすぐのエリアには日用品の雑貨というか、普段使いできるようなビンテージの商品が並んでいて。その奥にティールームがあるお店に出会ったんです。『この感じ、好きだなぁ』と思って。あの雰囲気が、今のお店に反映されているのかもしれません」。

ヨーロッパの古道具と一言で言っても、実はそれぞれ「お国柄」があるようで、フランスにはフランスの、イギリスにはイギリスの、それぞれの雰囲気があって。私が好きだなぁと思って手に取るイギリスの古道具は、シンプルで素朴な雰囲気の物が多いように思います。
イギリスといえば!な、琺瑯の可愛いものが至るところに
そしてそれは、イギリスで私が出会ってきた人たちに抱く印象と同じで、人柄も穏やかで、本当に素朴。おじいちゃんおばあちゃんなんて、本当にかわいらしくて素朴で…。私は、イギリスのそんなところに惹かれているのかも」。

飾るだけではもったいない。毎日使えて愛せるようなアンティークの愉しみを。

トートバッグやマグ。オリジナルアイテムも販売する
小梅さんがbrownie and tea roomのためにセレクトするのは、「普段使いできる主に古すぎないビンテージの商品」だと言います。たしかに、お店に並ぶアイテムは、どれも素朴な造りながら品の良い雰囲気や清楚さの漂う、日本の暮らしにもよく馴染みそうなものばかり。

「飾るだけというよりも、若い人でも普段使いできるような価格帯の物を並べています。
 例えば、1950年代のミルクピッチャーを、ミルクピッチャーとして使ってみたり、フラワーベースとして使ってみたり。と、そんなふうに何通りにも好きなように工夫して使ってもらえたらいいなと思っています」。
花瓶にも、カトラリー入れにも使えそうな食器たち
イギリスに買い付けに行く際は、現地で行っている大きなマーケットで、現地のディーラーとやり取りしながら、さながら「宝探し」のようにアイテムを見つけてくると言います。

「向こうには『ショーグランド』という大きな競技場のような場所があって、そこにヨーロッパ中のディーラーがたくさん集まってくるんです。数で言うと、1000ぐらいになることもしばしば。それを端から端まで見ていくから、もう大変ですね(笑)。古いものでもきれいにディスプレイしているお店もあれば、雨で濡れてしまっても全く気にしないようなアバウトなお店もあって。でも、ちょっと面白い物が見つかるのは、不思議とそういうアバウトなお店の方が多いんです(笑)。思わぬ掘り出し物が出てくるんです」。

地味に見えて、そこがいい。
日本の暮らしと調和する、イギリスの表情豊かな古道具。

小梅さんの私物。「土っぽいものが好きなんです(小梅さん)」。
そんな小梅さんが、実際に愛用している古道具を実際に見せていただきました。
「このかごはガーデントラッグと言って、元々はイングランド南東部のサセックス地方で、庭作業や収穫に使っていたものなんだそうです。私は最近まで、いただいた花束の花がらをしばらく入れて飾っていました。子どもがおもちゃを入れたりしていた時期もあったり。

HONEYと書かれた陶器は、バターケースとして使っています。バターを小さく切って入れておいて。その佇まいも好きなのと、実際とても使いやすいんです。やっぱり、飾っておくだけというのはあまりなくて。それは、古いものを大切にしながら使っていく、使わなくなったら次の人へ渡していくという生活に根付いた物を大切にしていく心を、買い付けを通して学ばせてもらっているなと思います」。
爽やかな色のブランケットはお気に入りが1枚あると便利
「商品を選ぶ基準は、知識で選ぶと言うより、ぱっと目に入った時のインスピレーションで。このウェールズ地方で作られたウェリッシュブランケットは今では貴重なものになってしまいましたが、このからし色のようなイエローや少しグレーがかかったブルーの色合いなどが、とても絶妙で。優しくて自然な色合いが日本の暮らしともよく調和するかなと思って選びました。

一つ一つは細かいものだし、人によっては地味と言われるかもしれないけれど、その土っぽさ、自然と繋がれるような雰囲気がお気に入りです。身の回りにたくさん、好きなものがある気持ちよさを楽しんでもらえたら嬉しいなと思っています」。

brownie and tea roomでは、
ものを売るよりも大切な「いい気持ち」を持って帰ってもらいたい。

お店は2012年にオープン。不定期で、ティールームイベントも行っているのだそうです。
「今はまだ雑貨や家具の販売のみですが、いつかイーストのお店のようにティールームができたら。
お店に行って、小梅さんから商品のエピソードを聞くのも楽しいひととき。
私自身も、海外のマーケットや古いものを扱うお店などで、購入にいたらなくても『これ、いいねえ』とわかりあえるような、言葉ではないコミュニケーションをたくさん経験して。
そういう時は、結局なにも買わなくても『よかったな、いいお店だったな』と思えて。
brownie and tea roomも、毎日いろんなことがあっても『お店に行ってよかったな』と思ってもらえるような店にできたらなと思っています。ものも大切だけど、持って帰る『気持ち』も大切だと思っています」。

元の持ち主から、その次の持ち主から…と受け継がれてきたイギリスのビンテージ。その普遍的なデザインと半世紀を経ても大切に使われてきた様子から、暮らし全体を大切に営むイギリスの文化が見えてくるかのようです。「使い続けたら消耗してしまう品でも、手入れしながらどんどん普段使いしてほしいです。」と話すように、日常の愛用品を1つ、また1つとお家に増やしていくのも楽しそうです。

brownie and tea room(ブラウニーアンドティールーム)
住所:東京都港区南麻布1-3-15
東京メトロ「麻布十番」駅から徒歩約10分
TEL :03-3454-3786
営業時間:11:00~19:00
営業日:金・土・日曜日
http://www.brownie-tea.com/

Text by Kaoru Tateishi
Photo by Kenji Yamada

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