こんにちは、川合亮平です。
“英国といえば紅茶”みたいなイメージは決して小さくないと思います。
あなたは紅茶派?それともコーヒー派?
いや別に派閥を分ける必要は一切なく、胸を張って「両方や!文句あっか!?」で良いと思うんですが。
なぜか僕は英国に居るときは紅茶が飲みたくなるんです。
日本に居るときは圧倒的にコーヒーなんだけど、英国に行くといわゆるcup of teaに手が伸びてしまう。
なぜなんだろう。
雰囲気に飲まれる、というか。
まあ、むしろ飲んでるのはこっちの方なんですが。
とにかく、なぜ“英国=紅茶”というイメージが強いのか?
または、少なくない数の英国の方々がとかく“cup of tea”に強い愛着を持っているのか?
その原因の1つには、英国の有名紅茶会社“トワイニングス”の存在があるのではないでしょうか。
今から300年以上前の1706年のこと。
ロンドンのストランド通りにオープンしたそうです。
僕がいかにも英国的だなぁ、と思ったのはそのお店が今もロンドンの同じ場所で絶賛営業中という事実。
気さくでとっても話しやすい方でした。
今回の記事では、トワイニング氏に教えてもらった色々の中、特に印象に残っている事柄をシェアしたいと思います。
ー『世界でも有名なトワイニングス社の10代目でいらっしゃいます。その事実に初めて気づいたときのご自身の反応を教えてください。たぶん、6歳とか7歳くらいの時だと予想するんですが・・・。嬉しかったですか?プレッシャーを感じましたか?』
スティーブンさん:いや、めちゃくちゃ嬉しかったですよ。実はこんな話があるんです。8歳の頃の話なんで、あなたの見当は当たっていますね。
8歳のある日、学校で地理の授業を受けていました。
インドの事を習っていたんです。
その時、紅茶の話題になったのですが、私の父が気を利かせてか、クラスに紅茶の差し入れをしていたんですよ。
成り行きで私が紅茶の即興レクチャーを受け持つことになりました。
その時には家族の影響で、もうすでに紅茶の知識がある程度あったんです。
クラスの子達は紅茶といえば“大人が飲んでるブラウン色の飲み物”くらいしかイメージがなかったようです。
そこに私がダージリン(インドのダーリジン産の紅茶)などを紹介したものですから、皆驚きながら興味津々で耳を傾けていました。
その時に“私は紅茶の世界で生きて行くんだ”と心に決めましたよ。
大好きな紅茶の素晴らしさを多くの人と分かち合えるなんて最高だと思いましたね。
『8歳で紅茶のレクチャー!?すごいなぁ。生まれながらの紅茶好きなんですね。トワイニングス家に生まれたのは運命というか、天職でいらっしゃるんですね』
紅茶とミルク、どちらを先にカップに注ぐか?
一般的な正解はミルクのようですが、私的には正直どっちでも良いと思っています。
混ざれば味は一緒ですよ。
ただ一般的にはミルクが先、とされています。
歴史的に、昔のカップはそれほど耐熱性がなく、熱い紅茶をいきなり注ぐとひび割れる可能性があったのです。
だからミルクをまず先に注ぐ習慣ができたようです。」
2.トワイニング社が取り扱っている紅茶の種類は約400種とのこと。
「家にあるのは13〜14種類ですね。
その時の気分や時刻に合わせて飲み分けています。」
でも、ティーバッグにはティーバッグの良さもありますよね。
手軽でどこにでも持ち歩けますから。
バッグに常備させておけばどこでも飲めるのですから、最高ですよ。」
バッグに紅茶ティーバッグを常備・・・、その発想はなかっなぁ。
ということは少なくともお湯を入れた水筒も持ち歩く必要があるってことですよねぇ。
それにしても鞄にティーバッグ常備って、大阪のおばちゃんと“飴ちゃん”の関係を思い出してしまいます。
大阪のおばちゃんの鞄にはなぜか“飴ちゃん”が常備されてますからね。
そして、18世紀の英国における紅茶税が119%だったことを聞いてびっくり。
超がつく高税率だったので、当時、庶民が紅茶を欲する需要と、手頃な価格で提供するという供給のバランスが全く取れてなったようです。
そんなわけで、 英国の夜の港では「まずい、国税局の連中だ。やべぇ、逃げろ!」というサスペンスが日常的に繰り広げられていたくらい、紅茶密輸が横行していたようです。
でも18世紀の後半、当時のトワイニングス氏が政府と根気よく交渉を続けた結果、12.5%にまで下げさせることに成功したそう。
税の下降率を見る限りものすごい交渉術だなぁと思うわけですが、結果的に庶民に爆発的に広まったお陰で、以前よりも政府が徴収する紅茶税額は増えたらしいですよ。
その名前について特に気にもとめなかったんですが、人の名前だったんですね。
確かに言われてみれば、アール(Earl)って「伯爵」って意味ですからね。
「グレイ伯爵」という、名前がそのまま紅茶になってたんだ。勉強になるなぁ。
グレイ伯爵は、1830年〜1834年の間、英国首相を務めたチャールズ・グレイ氏。
ではなぜ紅茶の名前に採用されたかということですが、その肝心の部分の詳しい理由はどうやらはっきりわかっていないようです。
でも、2008年のイギリス映画『ある公爵夫人の生涯』ではチャールズ・グレイ氏がキーキャラクターの1人として描かれているようですよ。
ドミニク・クーパーさんが演じられています。
僕は未見の作品なんですが、なかなか興味深い映画だと思います。
「ロンドン観光の定番スポットでしょ!」とお叱りを受けそうですが。
公式サイトを調べてみると、ロンドンのお店ではショッピングだけじゃなくて、体験型クラスも充実してるんですね。
個人的には、紅茶の歴史を学びながら試飲などを楽しめる「Tea Masterclass With Twiningsマスタークラス」がきになってます。
時間帯や内容によって価格はまちまちですが、一番お手頃なのは月〜金の午前中開催のプライベートマスタークラスのよう。 38ポンド/1人で、思い出に残る特別な体験ができそうです。
(予約はお電話で、とのこと)
今はまだ難しいけど、きっと行ってみよう!
川合亮平でした。
“英国といえば紅茶”みたいなイメージは決して小さくないと思います。
あなたは紅茶派?それともコーヒー派?
いや別に派閥を分ける必要は一切なく、胸を張って「両方や!文句あっか!?」で良いと思うんですが。
なぜか僕は英国に居るときは紅茶が飲みたくなるんです。
日本に居るときは圧倒的にコーヒーなんだけど、英国に行くといわゆるcup of teaに手が伸びてしまう。
なぜなんだろう。
雰囲気に飲まれる、というか。
まあ、むしろ飲んでるのはこっちの方なんですが。
とにかく、なぜ“英国=紅茶”というイメージが強いのか?
または、少なくない数の英国の方々がとかく“cup of tea”に強い愛着を持っているのか?
その原因の1つには、英国の有名紅茶会社“トワイニングス”の存在があるのではないでしょうか。
©Twinings
世界で初めて紅茶店を出したのがトワイニングス社なんですってね。今から300年以上前の1706年のこと。
ロンドンのストランド通りにオープンしたそうです。
僕がいかにも英国的だなぁ、と思ったのはそのお店が今もロンドンの同じ場所で絶賛営業中という事実。
©Twinings
先日、ロンドンのストランド通りのトワイニングスと東京を繋いで、トワイニングス家10代目のスティーブン・トワイニング氏と直接お話する機会に恵まれました。気さくでとっても話しやすい方でした。
今回の記事では、トワイニング氏に教えてもらった色々の中、特に印象に残っている事柄をシェアしたいと思います。
紅茶大好きスティーブンさん
©Twinings
僕はまず唐突にこんな質問をしてみました。ー『世界でも有名なトワイニングス社の10代目でいらっしゃいます。その事実に初めて気づいたときのご自身の反応を教えてください。たぶん、6歳とか7歳くらいの時だと予想するんですが・・・。嬉しかったですか?プレッシャーを感じましたか?』
スティーブンさん:いや、めちゃくちゃ嬉しかったですよ。実はこんな話があるんです。8歳の頃の話なんで、あなたの見当は当たっていますね。
8歳のある日、学校で地理の授業を受けていました。
インドの事を習っていたんです。
その時、紅茶の話題になったのですが、私の父が気を利かせてか、クラスに紅茶の差し入れをしていたんですよ。
成り行きで私が紅茶の即興レクチャーを受け持つことになりました。
その時には家族の影響で、もうすでに紅茶の知識がある程度あったんです。
クラスの子達は紅茶といえば“大人が飲んでるブラウン色の飲み物”くらいしかイメージがなかったようです。
そこに私がダージリン(インドのダーリジン産の紅茶)などを紹介したものですから、皆驚きながら興味津々で耳を傾けていました。
その時に“私は紅茶の世界で生きて行くんだ”と心に決めましたよ。
大好きな紅茶の素晴らしさを多くの人と分かち合えるなんて最高だと思いましたね。
『8歳で紅茶のレクチャー!?すごいなぁ。生まれながらの紅茶好きなんですね。トワイニングス家に生まれたのは運命というか、天職でいらっしゃるんですね』
©Twinings
紅茶が10倍オイシクなる5つのトリビア
こんなことも教えてもらいましたよ。1.なぜミルクが先?
「イギリスで紅茶といえば、ミルクを入れて飲むのが普通です。紅茶とミルク、どちらを先にカップに注ぐか?
一般的な正解はミルクのようですが、私的には正直どっちでも良いと思っています。
混ざれば味は一緒ですよ。
ただ一般的にはミルクが先、とされています。
歴史的に、昔のカップはそれほど耐熱性がなく、熱い紅茶をいきなり注ぐとひび割れる可能性があったのです。
だからミルクをまず先に注ぐ習慣ができたようです。」
2.トワイニング社が取り扱っている紅茶の種類は約400種とのこと。
では、スティーブンさんの自宅に常備されている紅茶の種類は?
「家にあるのは13〜14種類ですね。その時の気分や時刻に合わせて飲み分けています。」
©Twinings
3.ティーバッグの意外な(?)活用方法
「ルースリーフ(茶葉)をポットに入れて飲むやり方をおすすめします。でも、ティーバッグにはティーバッグの良さもありますよね。
手軽でどこにでも持ち歩けますから。
バッグに常備させておけばどこでも飲めるのですから、最高ですよ。」
バッグに紅茶ティーバッグを常備・・・、その発想はなかっなぁ。
ということは少なくともお湯を入れた水筒も持ち歩く必要があるってことですよねぇ。
それにしても鞄にティーバッグ常備って、大阪のおばちゃんと“飴ちゃん”の関係を思い出してしまいます。
大阪のおばちゃんの鞄にはなぜか“飴ちゃん”が常備されてますからね。
4.え!?紅茶税!?
不勉強な僕は、“Tea Tax(紅茶税)”という言葉を初めて聞きました。そして、18世紀の英国における紅茶税が119%だったことを聞いてびっくり。
超がつく高税率だったので、当時、庶民が紅茶を欲する需要と、手頃な価格で提供するという供給のバランスが全く取れてなったようです。
そんなわけで、 英国の夜の港では「まずい、国税局の連中だ。やべぇ、逃げろ!」というサスペンスが日常的に繰り広げられていたくらい、紅茶密輸が横行していたようです。
でも18世紀の後半、当時のトワイニングス氏が政府と根気よく交渉を続けた結果、12.5%にまで下げさせることに成功したそう。
税の下降率を見る限りものすごい交渉術だなぁと思うわけですが、結果的に庶民に爆発的に広まったお陰で、以前よりも政府が徴収する紅茶税額は増えたらしいですよ。
©Twinings
5.アールグレイって人の名前だったんだね
紅茶の種類を10挙げるにもつっかえること必至な不勉強な僕でもアールグレイくらい知ってます。その名前について特に気にもとめなかったんですが、人の名前だったんですね。
確かに言われてみれば、アール(Earl)って「伯爵」って意味ですからね。
「グレイ伯爵」という、名前がそのまま紅茶になってたんだ。勉強になるなぁ。
グレイ伯爵は、1830年〜1834年の間、英国首相を務めたチャールズ・グレイ氏。
ではなぜ紅茶の名前に採用されたかということですが、その肝心の部分の詳しい理由はどうやらはっきりわかっていないようです。
でも、2008年のイギリス映画『ある公爵夫人の生涯』ではチャールズ・グレイ氏がキーキャラクターの1人として描かれているようですよ。
ドミニク・クーパーさんが演じられています。
僕は未見の作品なんですが、なかなか興味深い映画だと思います。
今はまだ難しいけど、きっと行ってみよう!
僕はこれまでロンドンを含め英国を色々取材させていただいている割に、トワイニングスには行ったことはありません。「ロンドン観光の定番スポットでしょ!」とお叱りを受けそうですが。
公式サイトを調べてみると、ロンドンのお店ではショッピングだけじゃなくて、体験型クラスも充実してるんですね。
個人的には、紅茶の歴史を学びながら試飲などを楽しめる「Tea Masterclass With Twiningsマスタークラス」がきになってます。
時間帯や内容によって価格はまちまちですが、一番お手頃なのは月〜金の午前中開催のプライベートマスタークラスのよう。 38ポンド/1人で、思い出に残る特別な体験ができそうです。
(予約はお電話で、とのこと)
©Twinings
僕個人的には紅茶が日常の一部だからこそ、それについてちょっと学ぶことで日常がちょっとだけ豊かになりそうな気がしています。今はまだ難しいけど、きっと行ってみよう!
川合亮平でした。
川合 亮平
(かわいりょうへい)
通訳者・東京在住
関西の人気テレビ番組で紹介され、累計1万部突破の『なんでやねんを英語で言えますか?』(KADOKAWA)をはじめ、著書・翻訳書・関連書は10冊以上を数える。
通訳者としては直近で東京五輪関連のビジネス会議、アスリート通訳に携わる。その他、歌手のエド・シーラン、映画『ファンタビ』シリーズのエディ・レッドメイン、BBCドラマ『シャーロック』のベネディクト・カンバーバッチ、マーティン・フリーマン、ヒットドラマ『ダウントン・アビー』の主要キャストなど、ミュージシャン、俳優への通訳・インタビューも多数手がけている。