エリザベス女王戴冠70周年「プラチナ·ジュビリー」を迎えたイギリス | BRITISH MADE

English Garden Diary エリザベス女王戴冠70周年「プラチナ·ジュビリー」を迎えたイギリス

2022.06.16

エリザベス女王戴冠70周年「プラチナ·ジュビリー」を迎えたイギリス
6月2~5日の4日間、イギリスではエリザベス女王戴冠70周年「プラチナ·ジュビリー」の祝賀が盛大に行われました。

祝祭にさきがけ、1月のコラムでご紹介した、エリザベス女王戴冠70周年を記念するプディング(デザート)を決める「プラチナ·プディング·コンテスト」の優勝者が発表されました。

5000種類の応募デザートの中から選ばれたのは、ジェマ·メルヴィンさんによる「ジェマのレモン·スイスロール&アマレッティ·トライフル」でした。


「トライフル」とは、イギリスの人々が大好きなデザートで、通常は大きな透明の器にスポンジケーキ、フルーツ、ゼリー、カスタード、ホイップ·クリームを重ねて作ります。一般的によく知られるのはラズベリーを使ったものですが、今回の優勝レシピは、レモンとオレンジがふんだんに使われたシトラス系のトライフルです。

コンテストの応募要項には「世界中の人々が家庭で再現できるほど簡単に作れるもので、珍しい食材や調理器具を使わずに、手軽に入手できる材料を使うように」とありました。ところが、今回選ばれたデザートは、一からすべて手作りするにはかなり複雑で時間がかかってしまう、という批判が若干ありました。とはいえ、ゼリーやカスタードはインスタントのものを使うなど、できるだけ簡単に作る方法が、ネット上の記事や動画で多数紹介されたので、それらを真似て作ったという人もいたようです。

インスタグラムをはじめとするSNSでは、手作りのプラチナ·プディングの画像をアップしている人たちが大勢いて、プラチナ·ジュビリーにふさわしい、インスタ映えするデザートだということが証明されていました。
Instagram #platinumpudding

レシピは下のリンクからダウンロードできますので、プラチナ·プディングを食べてみたい方は、ぜひ作ってみてください。
https://www.royal.uk/platinum-pudding-recipe


テレビ視聴は1340万人にも!

BBCテレビでは連日、プラチナ·ジュビリーの特別番組が放映されました。

2日に行われた「トゥルーピング·ザ·カラー」と呼ばれる軍事パレードには、兵士1500人、楽器隊400人、馬250頭が登場。バッキンガム宮殿上空を飛行する航空機が「70」の数字を描くという演出もあり、普段、王室にはまったく関心のない義母が「これは素晴らしかったから、もしまだ見ていないのだったら、BBCのオンデマンドで絶対に見てね。」と私に連絡をくれたほど、確かに見応えのあるイベントでした。


また、6日に放送された「プラチナ·パーティー·イン·ザ·パレス」という祝賀コンサートでは、チャールズ皇太子が壇上にあがり、「マミィ(お母さん)」とエリザベス女王に呼びかけ、70年にも及ぶ女王の献身的な仕事ぶりに感謝を表すメッセージを読み上げました。スピーチの最後に、ウィンザー城にいる女王に向かってみんなの声を伝えようと皇太子が促すと、会場全体から大きな拍手と歓声が湧き上がり、その熱気が画面からも伝わってくるようでした。

BBCの発表によれば、エルトン·ジョン、ジョージ·エズラ、ダイアナ·ロスらが登場したこのコンサートは、平均で約1200万人の視聴があったそうです。そしてピーク時には視聴者数が1340万人に達したといいますから、今回のプラチナ·ジュビリーというイベントは、やはり多くの人の関心を集めたことは間違いありません。

また、特にSNS上で大きな話題となったのは、エリザベス女王とパディントンとの共演ビデオです。祝賀コンサートの始まる前に上映されたこのビデオでは、くまのパディントンがバッキンガム宮殿に女王を訪ね、一緒にお茶をするという設定。パディントンが帽子の中からマーマレード·サンドイッチを取り出すと、エリザベス女王も自分のハンドバッグから同じくマーマレード·サンドイッチを出して見せる、という演出は、映画『パディントン』の制作チームによるもの。

2012年のロンドン·オリンピックの開会式で007と共演したことに続き、女王のユーモアのセンスを発揮した動画となっています。


各地でストリートパーティも

ジュビリー期間中は、イギリス各地でストリート·パーティも開催されました。これは、道路を通行止めにして、そこにテーブルを並べ、近所の人たちが集まってパーティをするというイギリスの伝統。世界大戦における戦勝記念、またジュビリーやロイヤルウエディングといった王室関係の祝賀に際して開かれるパーティですが、今回のプラチナ·ジュビリーでは、イギリス各地で、約1000万人の人がこのパーティに参加したと言われています。

我が家のある地域でも、近くの公園に集まって、バーベキューをしながら近所の人たちとパーティをしました。といっても、王室支持者という人はあまり見当たらず、そのため王室や女王についてはジョークにした人がいただけで、ほかはまったく話題にはのぼりませんでした。

BBCテレビのインタビューで「女王のこれまでの仕事ぶりには敬意を払うけれど、これからはもう王室は必要なくなるのではないか。」と答えている人がいましたが、実際、私の周囲に聞いてみても、そういう意見の人が少なくない気がしています。

現代は、先行きが不透明で、将来の予測が困難なブーカ(VUCA)の時代と言われます。エリザベス女王戴冠70周年という祝賀ムードの一方で、この先、イギリス王室の存在がどうなっていくのかも、先行き不透明で予測不可能という気もしています。
エリザベス女王戴冠70周年「プラチナ·ジュビリー」を迎えたイギリス

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皆さまからのイギリス料理へのご質問も受け付けていますので、メールやSNSでご質問をお送りください。

なお、ご参加のお申し込みは以下からお願いいたします。
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Photo&Text by Mami McGuinness


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マクギネス真美

マクギネス真美

英国在住20年のライフコーチ、ライター。オンラインのコーチングセッションで、人生の転換期にある方が「本当に生きたい人生」を生きることを日本語でサポート。イギリスの暮らし、文化、食べ物などについて書籍、雑誌、ウェブマガジン等への寄稿、ラジオ番組への出演多数。
音声メディアVoicy「英国からの手紙『本当の自分で生きる ~ 明日はもっとやさしく、あたたかく』」にてイギリス情報発信中。

ロンドンで発行の情報誌『ニュースダイジェスト』にてコラム「英国の愛しきギャップを求めて」を連載中。

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