お正月に届いたイギリスのクリスマスカード | BRITISH MADE

English Garden Diary お正月に届いたイギリスのクリスマスカード

2023.01.19

イギリスには年賀状を送る習慣はありませんが、その代わり、クリスマスには多くの人たちがカードを送り合います。毎年イギリスで送られるクリスマスカードは約9億枚だというデータがあるそうです。

もともと、クリスマスカードを送る習慣というのが、1843年にイギリスから始まったというのですから、イギリスで多くのクリスマスカードの交換がされるのは当然かもしれません。ちなみに、昨年のクリスマス、チャールズ新国王は750枚のクリスマスカードを送ったと発表されています。


我が家にも毎年、たくさんのカードが届きますが、今回のクリスマスはちょっと様子が違いました。というのも、クリスマスが過ぎて1週間以上経った新年になってから、同じ日に20通ほどのカードが一度にどっと届いたのです。それには日本からのものもあれば、イギリス国内の親戚や友人が出してくれたものも混ざっていました。(このような大幅の郵便配達の遅れは、昨年後半から年末にかけて行われたイギリスの郵便事業を行う企業ロイヤルメールのストライキの影響によるところが大きいと言われています。)

幸いなことに(?)イギリスでは十二夜と呼ばれる1月6日まではクリスマス期間なので、それまでの間は新年早々にようやく届いたクリスマスカードを、マントルピースや窓辺に飾って、クリスマスの余韻を楽しむことができました。

イギリスのクリスマスカードには “Wishing you a Wonderful Christmas and a Happy New Year” “Season’s Greetings” など、カードの内側にあらかじめ挨拶の言葉が印刷されているものも多い。


カードを贈り合うイギリスの習慣

実は、イギリスの人々がカードを送り合うのは、クリスマスだけに限りません。母の日はもちろん、父の日、結婚記念日、バレンタインデー、誕生日、イースター、入学祝いに卒業祝い。また、お礼状としてのサンキューカードも頻繁にやりとりされています。メールやデジタルのカードが当たり前になった現在でも、イギリスの人々は郵便で紙のカードを送り合うことをやめようとはしません(ストの影響だけでなく、郵便物が遅れることがたびたびあるにもかかわらずです)。それは経済にも貢献していて、2019年にはイギリスの人々がグリーティングカードに使ったのは17億ポンド(約2517億円)にも上ります。

ところで、さきほど「クリスマスカードをマントルピースや本棚などに飾って」と書きましたが、これは、イギリスでは日本の年賀状のように葉書ではなく、二つ折りのカードが一般的なので、それを立てかけることができるのです。受け取ったカードをすぐに仕舞い込むのではなく飾っておくことで、送ってくれた人のことを思い出すことができます。また自分の誕生日やお祝い事などの喜びを長く味わうことができるのも、こうしてカードを飾っておくことの良い点だと感じます。

二つ折りのカードは立てかけて飾っておくのには便利。


イギリスの家は道路側にリビングルームがあることが多く、カーテンを開けた窓からは家の中が垣間見えることがあります。そして、住宅街を歩いている時、ふと目をやると、窓辺に並べられたバースデーカードを見かけることが度々あります。たとえば、「7」と書かれたカードがたくさん並んでいるのを見ると、「あー、ここの子は最近7歳になったんだな~。たくさんの人に祝福してもらったんだね」と、なんだか幸せのお裾分けをしてもらったような気持ちになれるのも、イギリス暮らしの楽しみです。

昨年9月にエリザベス女王が逝去したため、以前ご紹介したように、郵便切手やポストについて、チャールズ新国王がデザインされた切手が発行され、国王の王室紋章が刻印されたポストが新たに設置される予定となっています。ただ、それらが刷新されても、イギリスの人たちがカードを送り合う習慣は、しばらく続いていく気がしています。

日本にいる皆さんも、もしイギリスの人と知り合いになったら、お誕生日やクリスマスなど、ぜひ紙のカードを送ってあげてください。きっと喜ばれると思いますよ。
EⅡRは故エリザベス2世時代のポスト。チャールズ新国王の王室紋章が刻印されたポストが登場するのも間近?


Photo&Text by Mami McGuinness




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マクギネス真美

マクギネス真美

英国在住20年のライフコーチ、ライター。オンラインのコーチングセッションで、人生の転換期にある方が「本当に生きたい人生」を生きることを日本語でサポート。イギリスの暮らし、文化、食べ物などについて書籍、雑誌、ウェブマガジン等への寄稿、ラジオ番組への出演多数。
音声メディアVoicy「英国からの手紙『本当の自分で生きる ~ 明日はもっとやさしく、あたたかく』」にてイギリス情報発信中。

ロンドンで発行の情報誌『ニュースダイジェスト』にてコラム「英国の愛しきギャップを求めて」を連載中。

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