意外と早くてびっくり。デヴィッド・ボウイが自身の69回目の誕生日にあたる、2016年1月8日に28枚目のスタジオ・アルバムとなる新作『★』(読み:ブラックスター)を日本リリースすることを発表しました。
ボウイは2013年に当時約10年ぶりとなったアルバム『ザ・ネクスト・デイ』をリリースしました。懐かしのアルバム『ヒーローズ』を更新するかのようなジャケット写真が話題となったこのアルバム、とても素晴らしい仕上がりでした。
2013年にはロンドンのヴィクトリア&アルバート美術館でビジュアル回顧展『David Bowie is』が開催され、開館以来最多の動員数を記録したものの、2000年台はそれほど多作ではなかったボウイ、ここに来てまた火が着いてくれたのなら嬉しい限りです。
今回の新作からの先行シングル『★』(これも読みはブラックスター)がすでに配信リリースされています。この曲はスカイ・アトランティック・チャンネルで全欧同時放送されるTVドラマ・シリーズ『ザ・ラスト・パンサーズ』(THE LAST PANTHERS)のオープニングでもフィーチャーされるそうです。
約10分にわたる大作と言っていいスケールのショート・フィルムでは、さすが『戦場のメリークリスマス』『ラビリンス』などで有名な、俳優としてのボウイの演技を観ることができます。このショート・フィルムの監督を務めたのは、マドンナ「ハング・アップ」やビヨンセ「ミー、マイセルフ・アンド・アイ」、ザ・リバティーンズ「ホワット・ビケイム・オブ・ザ・ライクリー・ラッズ」などのビデオを手がけてきたヨハン・レンク監督。前述のTVドラマの監督も務めています。
これ、かなり見応えのある妖しいというか、ちょっとコワいビデオですが、ボウイ、むちゃくちゃカッコいいです。黒い惑星、目を覆われたボウイ、奇妙なキャラクターたちと奇妙なダンス、突然現れる伝道者のようなボウイ。これはアルバムのどんな暗示なのか、その深読みや新作との答え合わせも楽しい作品となっています。
多面的な表情と音楽性を持つボウイなので一概に言うのはやや憚られますが、このシングルを聞くと、新作の彼のモードは知性と妖艶さに加え、よりアヴァンギャルドな魅力と時代性が加味されたサウンドになるような予感がします。
残念ながらこれまでに取材のチャンスには恵まれていないのですが、実はかなり昔、一度だけ生のボウイに会ったことがあります。1996年、イタリアはフィレンツェで、第一回のビエンナーレ(芸術祭ですね)が行われた時、私は当時いた雑誌の取材でヨウジヤマモトのブース出展の取材のため現地を訪れたのですが、たまたまその隣のブースこそが、ボウイの手掛けたインスタレーションの出展ブースだったのです。
奥様のイマンと二人の屈強なSPらしき大柄な黒人男性を連れ立って、ダンガリーシャツと色の褪せたデニムで会場に現れた彼を、私は最初一目ですぐにボウイその人と認識できませんでした(笑)。というのも、この時の彼はかなり髭を蓄えていた上に、しかも連れの三人があまりに背が高くて『ん?誰?』という感じだったのです……。でも、よく見るとまさにボウイ!恥ずかしい話ですが、長年のファンだった私は、すぐさま走り込んでSPを見事(?)かいくぐって、たまたま持っていた手帳にサインをもらいました(編集者としてはほとんどご法度な行為ですが(汗))。彼は笑顔で快く接してくれました。フィレンツェでボウイと出会う。編集者というのは不思議な仕事だなあとしみじみ思ったものです。
さあ、すでにタイトルから彼らしい不穏さが漂う新作は、果たしてどのような仕上がりになるのでしょうか。「もうツアーはやりたくない」と話しているというニュースも時折目にしますが、ついつい来日公演も夢見てしまう今日この頃です。
ボウイは2013年に当時約10年ぶりとなったアルバム『ザ・ネクスト・デイ』をリリースしました。懐かしのアルバム『ヒーローズ』を更新するかのようなジャケット写真が話題となったこのアルバム、とても素晴らしい仕上がりでした。
2013年にはロンドンのヴィクトリア&アルバート美術館でビジュアル回顧展『David Bowie is』が開催され、開館以来最多の動員数を記録したものの、2000年台はそれほど多作ではなかったボウイ、ここに来てまた火が着いてくれたのなら嬉しい限りです。
約10分にわたる大作と言っていいスケールのショート・フィルムでは、さすが『戦場のメリークリスマス』『ラビリンス』などで有名な、俳優としてのボウイの演技を観ることができます。このショート・フィルムの監督を務めたのは、マドンナ「ハング・アップ」やビヨンセ「ミー、マイセルフ・アンド・アイ」、ザ・リバティーンズ「ホワット・ビケイム・オブ・ザ・ライクリー・ラッズ」などのビデオを手がけてきたヨハン・レンク監督。前述のTVドラマの監督も務めています。
これ、かなり見応えのある妖しいというか、ちょっとコワいビデオですが、ボウイ、むちゃくちゃカッコいいです。黒い惑星、目を覆われたボウイ、奇妙なキャラクターたちと奇妙なダンス、突然現れる伝道者のようなボウイ。これはアルバムのどんな暗示なのか、その深読みや新作との答え合わせも楽しい作品となっています。
多面的な表情と音楽性を持つボウイなので一概に言うのはやや憚られますが、このシングルを聞くと、新作の彼のモードは知性と妖艶さに加え、よりアヴァンギャルドな魅力と時代性が加味されたサウンドになるような予感がします。
残念ながらこれまでに取材のチャンスには恵まれていないのですが、実はかなり昔、一度だけ生のボウイに会ったことがあります。1996年、イタリアはフィレンツェで、第一回のビエンナーレ(芸術祭ですね)が行われた時、私は当時いた雑誌の取材でヨウジヤマモトのブース出展の取材のため現地を訪れたのですが、たまたまその隣のブースこそが、ボウイの手掛けたインスタレーションの出展ブースだったのです。
奥様のイマンと二人の屈強なSPらしき大柄な黒人男性を連れ立って、ダンガリーシャツと色の褪せたデニムで会場に現れた彼を、私は最初一目ですぐにボウイその人と認識できませんでした(笑)。というのも、この時の彼はかなり髭を蓄えていた上に、しかも連れの三人があまりに背が高くて『ん?誰?』という感じだったのです……。でも、よく見るとまさにボウイ!恥ずかしい話ですが、長年のファンだった私は、すぐさま走り込んでSPを見事(?)かいくぐって、たまたま持っていた手帳にサインをもらいました(編集者としてはほとんどご法度な行為ですが(汗))。彼は笑顔で快く接してくれました。フィレンツェでボウイと出会う。編集者というのは不思議な仕事だなあとしみじみ思ったものです。
内田 正樹
エディター、ライター、ディレクター。雑誌SWITCH編集長を経てフリーランスに。音楽をはじめファッション、映画、演劇ほか様々な分野におけるインタビュー、オフィシャルライティングや、パンフレットや宣伝制作の編集/テキスト/コピーライティングなどに携わる。不定期でテレビ/ラジオ出演や、イベント/web番組のMCも務めている。近年の主な執筆媒体は音楽ナタリー、Yahoo!ニュース特集、共同通信社(文化欄)、SWITCH、サンデー毎日、encoreほか。編著書に『東京事変 チャンネルガイド』、『椎名林檎 音楽家のカルテ』がある。