Museumの楽しみ 第1回 医学の勉強? ウェルカムコレクション | BRITISH MADE

London Yarns Museumの楽しみ 第1回 医学の勉強? ウェルカムコレクション

2015.02.09

今はちょっとお散歩には寒いので今回は室内で一日過ごせる素敵な場所をご紹介したいと思います。

前回、前々回とロンドンの小道をご紹介しましたが、今はちょっとお散歩には寒いので今回は室内で一日過ごせる素敵な場所をご紹介したいと思います。

ロンドンは博物館や美術館で溢れていますが、大英博物館やナショナルギャラリーのような世界的に有名なものもあれば、まだまだあまり知られていないものもたくさんあります。
その中でも私のお気に入りのひとつが「ウェルカムコレクション」。ウェルカムという名前ですが、「ようこそ」のウェルカムではなく、ヘンリー・ウエルカムという企業家の名前から来ています。
 
ウェルカムコレクションの入っているビル。大きすぎて通りの向かい側からもフレームに収まりません。

ウェルカム氏はアメリカ出身で、製薬、医学の分野で活躍し、莫大な資産を築きました。その資産を医学や生物学に関する慈善事業に生かすため、ウェルカム財団が設立されました(1936年)。ウェルカムコレクションも財団の事業のひとつです。
ウェルカム財団は民間団体ではビルゲイツ財団に次ぐ資産を持ち、年間約4億ポンド(今のレートで700億円以上!)を生物医学研究に出資しているそうです。

ウェルカムコレクションは医学や科学をアートを通して一般の人にも親しみやすく、理解しやすい形で展示することを目的とした美術館です。
こう聞くと何か小難しいものを思い浮かべられるかもしれませんが、世界中を旅したウェルカム氏が集めてきた医学などに関わる珍品(ナポレオンの使っていた歯ブラシやミイラなんかもあります。)や資料を展示しているほか、体や健康をテーマにしたモダンアートを展示したり、ユニークな企画展を催していたりと、大人も子供も楽しめる内容となっています。
 
入り口を入ると早速アート作品がお出迎え。
モダンアートの展示室の中の「肥満」をテーマにした作品。
アートと思ったら、実際に医療現場で使っている模型だそうです。

内臓の名前のボタンを押すとその内臓が光る作品。子供も楽しめます。
モダンアートの部屋の私のお気に入り。靴下で表現したDNA。
展示の仕方もユニーク。引出しの中にも作品が隠れていたりします。
色鉛筆と画用紙が用意してあり、作品の中から印象深いテーマを選んでそれについての絵やコメントを書いて、壁に展示するという参加型の企画も。

この美術館の魅力は展示室だけにとどまりません。一般公開されている図書館があり、同じフロアに読書室があるのですが、その居心地のいいことと言ったらありません。椅子は肘掛付きでゆったりしていますし、何よりふかふかのクッションが並べられた階段は本を読むだけでなく、休憩にもピッタリです。 そして、この部屋にもウェルカム氏の珍品コレクションの一部が展示されています。
 

この階段が最高。読書だけでなく、歩き疲れたときに足を伸ばすのにもピッタリ!?
1925年から35年にかけて使われていたレントゲンを撮る台。
温かみのあるインテリアの読書室。
1920年代に歯医者さんで使われていた器具スタンド。
1871年製車いす。リクライニングもできるそうです。壁にかかっている絵もユニーク

1階には広々としたカフェもあり、お茶だけでなく、軽食もいただけます。そしてカフェの横にあるミュージアムショップと本屋さんもとても楽しいです。

明るくてオープンな雰囲気のカフェ。平日でもカフェは人でいっぱいです。

ミュージアムショップに並ぶオリジナル商品はおしゃれで、プレゼントにもお勧めです。ユニークなオリジナルポストカードも私の大好きな商品のひとつです。

オリジナルグッズやユニークな商品が並ぶ棚。
子供のお土産にお勧め。「バイ菌」のぬいぐるみ。

カフェの奥にはイギリスにいくつも支店を持つ「Blackwell’s」という書店が入っているのですが、ここの支店は専門書ではなく一般の人にもわかりやすい内容の医学系の本の他、写真集やアート本などセレクトが面白く、立ち読みをしているだけで1時間くらいあっという間に過ぎてしまいます。

私が買ったポストカードと「脳と感情」についての本。

もう何度も訪れていますが、飽きることがなく、医学や科学というとっつきにくいテーマを本当に楽しく見せてくれるセンスに脱帽です。
そして、ここに並んでいるものを見ると、住む場所や時代は違っても、健康でいられるようにとの思いはみんな同じなのだなと改めて思います。ウェルカムさんも医学的興味からだけではなく、そういう人々の願いにも魅せられてこれだけのものを収集したのではないかなと想像をめぐらせています。

残念ながらウェルカム氏のコレクションの展示室「Medicine Man」のコーナーは春まで改装工事中で今回は見られませんでしたが、リニューアルオープンすればぜひ見に行こうと思っています。

2015.2.10
Text&Photo by Amesbury Kae




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アムスベリー 加恵

アムスベリー加恵

ロンドン留学中にヴィンテージウエアを販売する「Old Hat」ロンドン店でアルバイトをしたことをきっかけに、紳士服に興味を持ち始める。職人の技を身近に見る機会にも恵まれ、英国のクラフツマンシップにも刺激を受ける。カレッジを卒業後、いったん帰国。結婚を機に2012年10月に再渡英、現在ロンドン在住。
夫に作ったニットタイが好評で、夫の友人たちから注文が相次ぎ、2013年11月にオーダーメイドの手編みニットタイを販売する「Bee’s Knees Ties」を立ち上げる。

Bee’s Knees Ties
ロンドンを拠点に、オーダーメイドの手編みのニットタイを制作、販売しています。
色はもちろん、ステッチや結び目の大きさ、長さや太さなど、お客様のお好みをおうかがいお伺いしてから、1本1本、手で編みあげます。素材にもこだわり、大量生産の糸にはない魅力を持つ糸を探し求め、何度も試作を繰り返した後に、品質が良く、ユニークで、長く愛用していただける糸だけを採用しています。手編みならではの親しみやすい風合いが、スーツだけではなく、ニットウエアやツイードにもよく合い、日常の色々なシーンでお使いいただけます。
ロンドンではサヴィル・ロウのテーラー「L G Wilkinson」にてお取り扱いいただいております。
facebook.com/bees.knees.ties

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