何百年も前の建築物が現存するイギリスでは、その土地ごとに採れる建材で建てられた建築物が街並みを形成しています。そこで、イギリス各地の街並みやお薦めスポットを、建築を通して愉しんで戴きたいと思います!
コッツウォルズへ行かれた際は是非窓やドアの色も併せてご覧になってみて下さい。 食べ物は、うわさ通りでとても美味しいです!
左はジンジャー・ビールをかけてこんがり焼いた豚肉に、西洋ナシのソースがかかったもの。柔らかく茹でた洋ナシと、ほんのりスパイスの効いたポテトと一緒に食べます。右はパンプキンとほうれん草のリゾット。 今まで食べたことのない組合せと美味しさです!お店のスタッフによるとコブナッツというヘーゼルナッツのような物も入っているそうです。
ストウ・オン・ザ・ウォルドへ行かれた際は是非行かれてみてはいかがでしょうか。
The Bell at Stow
www.thebellatstow.com
The Bell, Park Street Stow-on-the-Wold, Gloucestershire GL54 1AJ
次回はコッツウォルズの建築を愉しめる、お薦めのホテルをご紹介致します。
ハチミツ色の村「コッツウォルズ」
ロンドンから西へ電車で約1時間半の場所にあるコッツウォルズ地方。今でこそ有名になりましたが、私が初めて訪れた頃は、まだ日本人観光客もほとんどいませんでした。時が止まったかのようにのどかで穏やかな「コッツウォルズ」は、まるでおとぎ話に出てくるような村でした。どこまでも続く美しい緑の丘と、その草を美味しそうに食べる羊たち。そして何より驚いたのはハチミツ色の家々の愛らしさです!ハチミツ色の外壁、石や茅葺きの屋根、鉛格子の入ったレトロな窓、古びているけど味がある木製の玄関ドア、丸く刈り込まれた植木、そんな趣満点の建物が緑の中にぽこぽこっと建っている、いや、生えているのです。 イギリスで一番美しい村と言われているBibury(バイブリー)
朝から夕方まで美味しそうに草を食べ続ける可愛い羊たち。
Chipping Campden(チッピング・カムデン)にある茅葺き屋根の家。
もこもこに刈り込まれた植栽も計算された可愛さを感じます。
もこもこに刈り込まれた植栽も計算された可愛さを感じます。
ハチミツ色の石
コッツウォルズの建物に使用されている外壁材はハチミツ色の石「ハニーストーン」。このエリアで採れるライムストーン(石灰石)です。世界で最も魅力的だと言われるこの石は、太陽の光をめいっぱい吸収したかのような濃厚なハチミツ色で、見る人を元気にしてくれます。ちなみに、天然石のため地域の中でも色味に違いがあり、特に濃いハチミツ色の石が採れるのは、コッツウォルズを北東から南西に走るA429号線の左側、右側はベージュグレーがかった石が採れます。 ハチミツ色の石「ハニーストーン」の外壁は、世界中の旅行者を魅了します。
ハチミツ色の石が採れる採石場。
建物の特徴
コッツウォルズの建物は石積みのため、重心の低い可愛らしいフォルムが多いです。瓦も石で造られていて、上部にいくほど瓦の大きさが小さくなっていきます。これはその昔、瓦職人が重い瓦石を屋根に上って取り付ける際の工夫と言われています。(この形状ゆえに雨や雪溶け水も上手く流れるそうです。)イングリッシュオークの厚い無垢材で造られた玄関ドアには、手作りの黒いアイアンで出来たハンドルや蝶番が使用され、これまた雰囲気満点のアクセントです。 重心の低い外観に、2階まで届くバラや緑がまた映えます。
左:上に向かって小さくなる瓦。
右:イングリッシュオークのドアと黒塗りのドア金物。
右:イングリッシュオークのドアと黒塗りのドア金物。
敷地境界の塀「ドライストーンウォーリング」も外壁同様ハチミツ色で出来ています。
セージグリーンのペイント
コッツウォルズのハチミツ色の家々の愛らしさを、さらに引き立てるのがペンキの色使いです。木部のメンテナンスやイメージチェンジの際、コッツウォルズで最もポピュラーなペンキの色は「セージグリーン」色で、スモーキーで上品な色味が外壁のハチミツ色になんとも良く似合うのです。窓枠やドア、玄関庇に塗られたセージグリーン色と、柔らかなハチミツ色の色合せは見惚れる美しさです。コッツウォルズへ行かれた際は是非窓やドアの色も併せてご覧になってみて下さい。
セージグリーン色に塗られた木製建材たち。スモーキーな色味がイギリスらしいです。
私のお薦めのパブ
私の本業はイギリス住宅の建築です。そのため渡英時には、ほぼ毎日宿を変えるほか、食事をするレストランも、外観やインテリアの研究を主目的に訪問します。そんな私のコッツウォルズのお薦めのパブをご紹介致します。つまり、建物の外観が魅力的、インテリアが素敵、そして美味しい!の三拍子揃ったお店です。お店の名前は「The Bell at Stow」。コッツウォルズの北部でアンティークの町としても有名なStow-on-the-Wold(ストウ・オン・ザ・ウォルド)にあります。入口の両サイドに張り出した出窓が印象的な外観、窓枠は前述のセージグリーンで塗装されています。店内は温かみのあるイングリッシュ・コテージ・スタイルの内装です。薪ストーブが入った石造りの暖炉、暖炉上のぽってりとした白い塗り壁と楕円型の鏡、壁面のハニーストーン、天井の梁材・・・ カジュアルながらセンスの良さを感じるインテリアで、上階には泊まることも出来ます。左はジンジャー・ビールをかけてこんがり焼いた豚肉に、西洋ナシのソースがかかったもの。柔らかく茹でた洋ナシと、ほんのりスパイスの効いたポテトと一緒に食べます。右はパンプキンとほうれん草のリゾット。 今まで食べたことのない組合せと美味しさです!お店のスタッフによるとコブナッツというヘーゼルナッツのような物も入っているそうです。
ストウ・オン・ザ・ウォルドへ行かれた際は是非行かれてみてはいかがでしょうか。
The Bell at Stow
www.thebellatstow.com
The Bell, Park Street Stow-on-the-Wold, Gloucestershire GL54 1AJ
次回はコッツウォルズの建築を愉しめる、お薦めのホテルをご紹介致します。
小尾 光一
工学院大学工学部建築学科卒業後、輸入住宅会社、リフォーム会社勤務を経て、「地面から生えたような」と形容されるイギリスの家に魅了されて渡英を繰り返し、デザイン・知識の習得とともにイギリス建材の開拓を重ね、2000年にコッツワールドを設立。イギリスであれば何処のエリアの建物も、そしてインテリアも実現するイギリス住宅専門の建築家として活動中。日英協会、イギリスを知る会所属。
著書「英国住宅に魅せられて」
ホームページ:
www.cotsworld.com
ブログ:
cotsworld.blog136.fc2.com
Facebook:
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